マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
台風が気になるところですが、明日は「一五夜」ですね。
では、今日のお月様には、どんな名前が付いているかご存知でしょうか?
先人たちは古来よりお月さまに対し、とても深い愛着を持っており、月齢毎にそれぞれ素敵な名前を付けております。
十五夜の前のお月様には、明日の一五夜を待つと言う意味で「宵待月」と言う名前を付けました。「十四夜の月」ともいいます。
満月に比べると心持ちかけている感がありますが、とても美しいお月です。
ゆっくり観賞したいところですが、今日の天気予報では無理なようですね。
一方、「宵待月」と同じような理屈で付けられた花があります。
夕方を待って咲き始める「待宵草」です。
初夏から晩秋にかけて非常に長い期間、白色・黄色・ピンク色等の花を咲かせます。「月見草」と言う名前の方が、良く知られているかもしれません。
ちなみに、岡山県瀬戸内市出身の、大正ロマンを代表する画家で詩人の竹久夢二が作詞した、「宵待草」と言うタイトルの曲をご存知の方も多いと思いますが、これは「待宵草」と同じです。
正しくは「待宵草」だそうですが・・・。
「待てど暮らせど こぬひとを 宵待草の やるせなさ こよいは月も でぬそうな」の歌詞は有名です。
この恋の哀愁が漂う詞に、なんともいえない感傷的な旋律が加味された、古き良き時代を代表する歌ですが、物語は次の通りです。
明治の終わり頃に訪れた千葉県の海岸で、夢二は一人のかわいらしい女性に出会い、心を引かれます。
しかし、来年に訪れた時には、もう彼女はいませんでした。かわいらしい女性はすでに嫁いでいなくなっていたわけです。
夢二はたいそう落ち込み、自身の実らなかった恋を歌に託したわけです。
叶わぬ恋だと知りつつも、ひたすら来るはずもない人を待つ!
そんな儚い思いを経験した人にとっては、今宵のお月さまは甘くてせつないモノに感じるかもしれませんね。
しかし人は、このような経験を繰り返しながら磨かれていくものだと思います。
好きな人を失うのは本当につらいことですが、その辛さを超えられたら、以前より素敵に輝き、また他者に対する思いやりの心も身につき、大きな財産を得るのではないでしょうか?
振られて傷つくことを恐れるより、当たって砕けろ的な精神でのぞまれることをお勧めします。