マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
前回は、「盆」と「正月」は日本人にとって、先祖と子孫が一体となって有意義なひと時を過ごす、一年の内で最も大切な一時だ!と申しましたが、実はこれと似たような日が存在します。
おわかりでしょうか?
「秋分の日」「春分の日」、すなわち「お彼岸」ですね。
では、「盆と正月」と「お彼岸」はどう異なるのか?と言えば、盆と正月は、ご先祖様が里帰りされるのをお迎えする一連の行事ですが、お彼岸は、ご先祖様が眠っているとされるお墓に出向き、供養する行事です。
いずれも仏教行事だとされていますが、仏教の教義・教典では理解できないことも多々あります。
例えば、霊の捉え方や、亡くなられた人の魂が本当に帰られるのか否か、多様な考え方が存在するのは確かです。
しかし、この世で生きている我々を守って下さるとされる、ご先祖様を供養し、感謝すること、あるいは子孫が集まり絆を深めることは、何に増しても大切なことで、マナーの根源をなすものだと考えます。
だから、日本では昔から、「お陰様」とか、「MOTTAINAI」精神が根付いたのではないでしょうか?
ところで、お盆を迎えるに当たり、具体的にどのようにしたらいいのか?簡単に解説しておきますので参考にして下さい。
お盆の準備は、立秋の頃からお墓掃除をしたり、仏壇・仏具等をきれいにし、精霊棚を用意します。
そして、「迎え盆」と言われる13日には、ご先祖様が実家にスムーズに里帰りできるように「迎え火」を焚きます。これは正月の門松に当たります。
また、精霊棚には野菜やソーメン等をお供えします。
胡瓜や茄子に、割れ箸やマッチで足や手を作り、トウモロコシの茶色くなった毛で、尾っぽを作った記憶の有る方も多いと思います。
既にお話ししましたが、胡瓜はご先祖様が里帰りされる際に使用される馬です。
「ご先祖様」に早くお目にかかりたいから、スピードの速い馬に乗ってお帰り下さいと言う意味です。
一方、茄子は、お帰りの時に、「送り団子」などのお土産を抱えて乗られる牛を意味します。
ご先祖様がお帰りの時には、名残り惜しいので、ゆっくりとスピードの遅い牛に乗ってお帰り頂くわけです。
加えて「ほおづき」は、提灯に明かりが灯った状態に似ているので、「お盆提灯」を意味しています。
何を、どのようにお供えするかは、地域や宗派により異なりますが、要はご先祖様が浄土(天国)から里帰りされるのを、心を込めてお迎えすることに意味があると思うわけです。
さらに、里帰りされたら、前回お話ししたように、子孫と共食されるわけですが、他にアトラクション等も楽しまれます。
そのアトラクションが「盆踊り」や「打ち上げ花火」ですが、「盆踊り」は次回に詳しく触れます。
そして最後は、「送り盆の知識とマナー」を予定していますので、最後まで宜しくお付き合いください。