マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
日本との時差が8時間あり、マナーの本家ともいえるイギリスで開催されているオリンピック。その観戦で寝不足になっている人も多いと思います。
夜のテレビも目が離せませんが、昼の空を眺めて見て下さい。
今までは、前回触れました入道雲のように、縦に長く、モクモクと威勢の良い雲が主流でしたが、これからは、箒(ほうき)で掃いたような筋状の、横に長い雲が多くなってきます。
これが「秋の雲」です。
この秋の雲が発生してくると、夏の高気圧は次第に弱くなり、それに連れ、風の流れも、蝉の鳴き声も、草木も、街のショーウィンドウも変化が感じられます。
立秋も過ぎ、丁度今頃が、夏と秋の入れ替わりの頃でしょうか。
「夏雲は岩のごとく 秋雲は砂のごとく」と正岡子規は、夏から秋への四季の移ろいを雲の変化から詠んでいます。
里山でも、栗や柿の実が、まだまだ青いですが、秋に向けて美味しく熟す用意を整えております。そういえば、8日の山陽新聞朝刊に、「立春の記事と栗の実」が掲載されていましたね。
毎日毎日、これだけ暑い日が続いたら、つい見落としがちですが、色々な場面で、夏と秋が混じり合っているわけですね。
すでにトンボだって飛び始めましたよ!
ところで、冬の終わりは、なんだか明るい気配が漂いますが、逆に夏の終わりは感傷的になります。
夏休みを謳歌している学生や、夏に売り上げをしっかり稼いでいるビジネスマン等は特にそうではないでしょうか?
一方、秋の到来をひたすら待ちわびている人も多々おります。
グルメや芸術や読書を好む人等ですね。
いずれにせよ、夏を心おきなく過ごし、秋を楽しく迎えるには健康が一番です。
季節の節目の今、日常生活の在り方を総点検されることをお勧めします。
特に冷たい食べ物や飲み物中心の食生活や、オリンピックの見過ぎによる睡眠不足にはくれぐれもご用心ください。
さらに、これからお盆も控えており、なにかとエネルギーを要する時節です。
猛暑で疲れた身体と心が安らぎを欲しがっています。
心と身体にも、素敵なマナーを発揮して上げて下さい。
さて、最初の続きになりますが、正岡子規は、夏と秋の雲の他にも、春の雲は「綿」のごとく、冬の雲は「鉛」のごとくと詠んでおります。
明治を代表する文学者の感性には足元にも及びませんが、何かと慌ただしい毎日の合間を縫って、たまにはのんびりと、空を眺めたり、虫の音を聞いたり、吹く風を感じたりするのも良いモノです。
意外に、人生を大きく好転させる、すばらしい「ひらめき」は、このような時に湧くかもしれませんね。