マナーうんちく話494≪和顔愛語≫
7月は「文月」と言われますが、これは習字や文が上達することを願って、詩歌や文を短冊に書き、笹につるしたことに起因する説が有力ですが、昔の人が、如何に文を書くことに重きをおいたかが理解できます。
そういえば、江戸時代には武士の子供は藩校で、一般庶民の子供は寺子屋で、読み・書き・算盤を習い、当時の日本人の就学率は世界で一番だったそうですね。
そして今ではすっかり、電話・ファックス・携帯電話・スマートフォン・メールが普及し、それらのやり取りが一般的になりました。確かにそれらは大変便利が良く、非常に効率的ではありますが、完璧ではありません。大切な人や、改まったシーンにおいては、今でも葉書や手紙の存在は不可欠です。
しかし、葉書や手紙は人間関係を良好にする素晴らしいコミュニケーションだと解っていても、多様な形式やマナーが良く解らず、つい礼を失してしまうケースが多々あるようです。
大切な人のことを頭に思い浮かべながらペンを走らす時は、事務的にメールを発信する時に比べ、ひと味もふた味も違った、心豊かな時間を過ごすことができます。
そこで、葉書や手紙で、自分の誠を伝えるために、これだけは理解して頂きたい事を、順を追って解説していきます。
「手紙や葉書は決まり事が沢山あるから面倒だ」と思われている人も多いと思いますが、決まり事が多いからこそ、そのポイントさえ把握していただき、それに基づいて進めれば、とても簡単で、素晴らしい味が出ます。
今回は「葉書」について触れてみます。
葉書の由来をご存知でしょうか?
「葉に書く」と書きます。
つまり、昔は紙が大変貴重だったために、紙が手に入らない人は、木の葉を使用し、文字を書き、届けていたわけですね。
それにしても昔の人は、一枚の葉っぱに、どのようなメッセージを綴っていたのでしょうか?気になるところですね。
そして今でも、「多羅葉(たらよう)」といわれる「葉書の木」があります。
この木は常緑高木で、郵便局のシンボルツリーになっているようですが、防火性に優れているので、お宮とか民家でも見かけます。
また腎臓に良いとされる、健康茶にもなっています。
加えて、葉書は、紙片等に書いた「端書」が起源だと言う説も存在します。
葉に書いたり、紙片に書いたりしたから、葉書はある意味では「正式」ではなく「略式」と捉えられている感がありますが、その用途は多種多様です。
ちなみに、「葉書」と「封書」の使い分けですが、「どのような用件で発信するか」が決め手になります。
葉書は、差出人も、受取人も要件を他人に見られてもOKという前提で出すものです。見られて困るもの、改まった内容、目上の人等には封書がお勧めです。
さらに、男性が既婚の女性に出す場合は、封書だと誤解を受ける可能性があるので葉書がお勧めです。
ところで葉書を書く上でのポイントは、字や文章の上手下手より、解り易く丁寧に、そして、その時の差出人の気持ちがキチンと相手に伝わるように、心をこめて書くことだと思います。
また、差出人の住所や名前も表になりますので、全体的なバランスが大切です。
ビジネスでもプライベートでも、「ありがとう」の気持ちを、手書きの葉書で、継続的に、発信されることをお勧めします。
即効性は期待できませんが、ジワジワと素晴らしい効果が出てきますよ!
次回からは、封書のマナーです。