マナーうんちく話520≪電車内でお化粧するの、どう思う?≫
「接客や接遇を伴わない仕事はない!」といわれる位、多かれ少なかれ、仕事には人付き合いが必要です。
つまり、多くの仕事の場合、「人的サービスの質」が、相手の満足度を左右すると言っても過言ではないと思います。
では、「質の良いサービス」「質の悪いサービス」とは具体的になにか?ということですが、先ず、「質の悪いサービス」の例を挙げてみます。
○質の悪いサービス
・冷たい感じがする・態度が無愛想 ・態度が横柄 ・不潔である ・間違いをする
・時間がかかる ・待たせる ・無視する ・品が無い ・たらい回しにする ・事務的
・値段が高い ・商品が悪い ・品数が少ない等など
次に「質の良いサービス」の例を挙げてみます。
「質の良いサービス」といわれるのは実に多種多様で、言葉で表すと優に100を超えると言われておりますが、ここでは大きく3つに分類してみます。
○質の良いサービス(設備面等)
・綺麗 ・心地良い ・冷暖房がよく効いている ・景色がよい ・清潔
・利便性がよい ・安心と安全等
○質の良いサービス(種類・品質・料金等)
・量が多い ・種類が多い ・品質が優れている ・早い ・間違いが無い
・良心的な価格 ・安い
○質の良いサービス(人的サービス)
・温かい感じがする ・気配りや心配りが有る ・優しい ・愛想や愛嬌が有る ・感じがよい挨拶がある ・笑顔がよい ・品がよい ・言葉遣いがよい ・嘘をつかない
・信頼が持てる ・聴き上手 ・褒め上手 ・元気がよい ・明るい ・知識が豊富
大体以上のようですが、質の良いサービスの中で最も大きなウエイトを占めているのが、「人的サービス」です。すなわち、接客や接遇に係わる人の「人柄」が最も大きく影響するということです。「人柄」は「人間力」に置き換えても良いと思います。
ところで、今の日本は世界屈指の、「モノの豊かな国」であり、「利便性に優れた国」です。
衣・食・住においては、世界中で最も恵まれた生活をしている国の一つです。
さらに、長い伝統と歴史の有る国ですので、多様な経験もしています。
加えて、時代の移り変わりが大変早く、それに伴い人々の価値観も大きく変化しています。
このことは毎年、年末に発表される、世相を表す漢字や流行語に顕著に反映されています。
例えば、同じ大震災に見舞われた時、世相を表す言葉は、神戸大震災の時は「震」でしたが、昨年は「絆」でした。
つまり、「質の良いサービス」を提供するに当たり、「人的サービス」は確かに必要不可欠ですが、世の中が絶えず大きく変化している以上、人的サービスの質も、非常に複雑多様になるということです。
しかし、これに答えることは大変難しいことです。サービスの良し悪しを決めるのは、サービスを提供する側ではなく、あくまでサービスを受ける側(相手)です。相手の経験、目的、価値観、その時の気分などが、サービスの良し悪しを決めることになります。従って、TPOに応じた適切な判断基準を持たなくてはいけません。マナー美人になるとは、このようなことです。
また、マナーには「不易流行」的側面が有ります。俳句をたしなむ人はよくご存知だと思いますが、不易流行とは松尾芭蕉が唱えた言葉で、平たく言えば、「時代と共に変えなくてはいけないもの」と、「いくら時代が変わろうとも変えてはならないもの」の二面性が有るということです。
結論です。
いくらIT化や国際化が進展しようが、サービスの本質は、「人と人との心の交流」ですが、サービス自体も日々進化しています。多種多様なニーズに答え、質の良いサービスを提供するには、常に「自分磨き」に励み、総合的な人間力を高める必要が有ります。それが、ひいては社会貢献に繋がります。