マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
【冠婚葬祭の知識とマナー14】 お彼岸とお墓参りのお勧め
9月と3月の秋分・春分の日を中日とし、その前後3日ずつ計7日間を「彼岸」と言います。今年は、9月20日が彼岸入りで、23日が「秋分の日」です。
何かと迷いや苦悩の多いこの世を「此岸(しがん)」というのに対し、あの世(極楽浄土)のことを「彼岸」と呼んでいますが、彼岸には「おはぎ」と「ぼたもち」が欠かせません。
以前にも説明しましたが、同じ材料で作られるにもかかわらず、秋分の日にお供えするのは「おはぎ」、春分の日にお供えするのは「ぼたもち」と呼び方が異なります。それぞれ季節を代表する花です。ちなみに、秋の萩は万葉集で一番多く歌われている花で、春のぼたんは「百花の王」と呼ばれています。
ところで彼岸の中日前後には、お墓参りをして故人をしのびます。先ずお墓周辺と墓石をキレイにして、花台に花を生け、菓子や果物をお供えします。ろうそくに火をつけ、さらに線香を焚きます。そして故人と縁の深かった順にお参りします。
以上のようなことを理解されたら、彼岸の墓参りは、さらに意義の深いものになりそうですね。ここで改めてお墓参りをする効用に触れてみたいと思います。
先ずお墓参りの目的ですが、ご先祖に近況報告を行い、改めて感謝することにあります。ご先祖も、自分の子孫が元気で頑張っている報告を聴けば喜ばれるというものです。
この他、お墓参りには多様な効用が期待できます。
○心を清め、身体を活性化させます。
○冷静に、自分を見つめ、自己を省みることが出来ます。
○家族と共にお参りすることで、家族間の絆が強まり、子供の情操教育にも役立ちます。
○親族でお参りすることで、親族間のコミュニケーションが図れます。
○夫婦でお参りすることで、夫婦間の絆が深まります。
○一人暮らしの人にとっては、家族の在り方が改めて認識できます。
○何事にも感謝の気持ちが湧いてきます。
マナーは、人間ばかりのためではありません。自然に対するマナー、目に見えない神様・仏様に対するマナーも存在します。
そして合掌は神様・仏様に対するとても美しい礼儀・作法です。
加えて、お辞儀は、感謝の気持ちを一杯込め、深々とされることをお勧めします。
3月に発生した東日本大震災は、改めて、故人を偲び供養する意味を投げかけてくれたのではないでしょうか?
ご先祖を供養しても、早速明日からの生活が物質的に豊かになることはありません。
しかし、自分のご先祖に祈りを捧げることで、明日へのエネルギーが充満されてくることは確かだと感じます。
お墓参りはご先祖のためばかりではなく、自分自身のためでもあります。
だから、季節の節目・節目にはお墓参りをしなさいよ!と諭してくれているのが、「お彼岸」ではないかと思っています。