マナーうんちく話87≪ハッピーな食卓とは?≫
マナーうんちく話97《洋食とナプキンのマナー》
食事のマナー22、「ナプキンをもっとお洒落に・・・」
中世のヨーロッパの食卓は、お世辞にも優雅だったとはいえないようです。戦争に明け暮れていた史実から考えれば頷けることですが・・・。
競い合いながら、鷲掴みで、なりふり構わず。そんな風景が目に浮かびます。
そして中世に残った数少ない食具に、テーブルクロスとフィンガーボールがあります。
テーブルクロスの歴史は大変古いですが、当時はテーブルが汚れるのを防ぐために使用されたのではなく、食卓を囲んでいる人達の服や手の汚れを取るためだったそうです。しかし、そのクロスを皆で共有していたのでは使い勝手が良くないので、やがてそれを個々に切り取って使うようになったのが、ナプキンの由来だといわれています。
○ナプキンとブローチ
日本の懐紙と同じように、ナプキンは西欧の上流階級の人達の間で普及したものです。そして彼らは、ベートーベンやモーツアルトなどの肖像画でもわかるように、大変お洒落をしていました。その美しい服が汚れてはいけないので、ナプキンで覆うわけですから、大きさも相当大きかったようですね。
そしたら折角のお洒落が目立たなくなります。そこで当時の貴族階級の人達は、そのナプキンを止める小物にこだわりました。これがブローチの由来で、家紋を施したり、宝石をちりばめたりして、贅を尽くしたわけです。
従って今でもヨーロッパの貴婦人たちのお洒落のポイントは、ブローチに有るそうですよ。
洋服に合わせてブローチを求めるのではなく、ブローチに合わせて洋服を作るそうですね。また、パーテイーの内容、出席者の顔ぶれにより、ブローチにも格式を設けたという話を聞いたことがあります。
○家紋とナプキン
ブローチで止めるスタイルは次第に薄れて行きましたが、ナプキンに家紋を入れ、客人をもてなす習慣は今でも残っています。日本のホテルでも、皿・グラス・テーブルクロス・ナプキンなどにもそのホテルの家紋が施されています。
余談事ですが、そのナプキンに紐をつけたのが「エプロン」です。
また、ナプキンでは落としきれない汚れを、水で洗うために用意されたのが「フィンガーボール」です。
○ナプキンの知識と扱い方のマナー
・大きさ⇒純白の無地が正式とされ、約75㎝・55㎝・35㎝角があります。
・ナプキンの形⇒王冠や薔薇等が良く見かけられますが、結婚式などでは鶴・亀・結び昆布・扇等の形でお見かけしますね。シンプルに4つ折りにしたり、丸めたりもします。
・使用目的⇒服の汚れを防ぎ、手や口を拭いたりします。「懐紙」によく似ています。
・使用するタイミング⇒そろそろ料理が運ばれてきますよという時に、二つ折りにして膝に掛けるのがベターです。和服の時には、帯が汚れないように、一枚に広げて、帯にはさんでも構いません。ポイントは何と言っても姿勢です。
公式のテーブルでは、主品が取ってから取って下さい。
・中座する時⇒中座する時には軽くたたんで椅子の上に置いて下さい。椅子の上にナプキンを置くということは、「用事がすんだらまた戻ってきますよ」の意味です。
・終わった時⇒食事が終わったら、たたんでテーブルの上側に置けばいいです。キチンと畳まないようにして下さい。和食の「割り箸」を置く時にも箸袋に入れておきます。この時、「この割り箸は使用済みですよ」という意味を込めて、箸袋の端を少し折って入れます。これと同じ理屈です。「このナプキンは使用済みですよ」の意味を込めて軽くたたむ程度でいいです。この時も、ナプキンを置くタイミングが大切です。主品が置いてから置いて下さいね。よくわからなかったら、なるべく遅めに置いて下さい。帰る間際でもいいです。
皆より早く置いたら、「早く終わりたい」「早く帰りたい」と取られることもあります。