マナーうんちく話266≪食文化と世界三大食法≫
マナーうんちく話82《美食と素食と手作り料理》
食事のマナー7、「手作り料理のお勧め」
質問です。
①今現在、世界一「美食の都市」はどこでしょうか?
②「手作り料理派」ですか、「出来合い料理派」でしょうか?
ミシュランガイドをご存知だと思います。
元々1900年に、パリ万博が開催された時、フランスのタイヤ会社である「ミシュラン社」が車の運転手向けに発行した地図のようなものですが、1930年代に入り、レストランを星で格付けするようになり、最近では日本のレストランが頻繁に登場しています。
そして今や、ミシュランガイドで世界一の美食都市は「関西」になりました。関西というのは、京都、大阪、神戸の3つの都市のことです。その前は東京でした。現在、3つ星がついているレストランは関西が最も多く、続いて東京、パリです。これにより日本のグルメ度は世界でもトップクラスになったわけですね。
店の数も日本は断トツで多いですが、いずれにせよ日本の食文化はすごいと思います。特に和食の専門店が健闘しており、その「専門性」が高く評価されたようです。
私は、ホテルでの最初の職場が「フレンチレストラン」だったので、フランス料理とは大変長い付き合いになります。そして今まで、世界一の料理はてっきりフランス料理だと思い込んでいました。ソースの種類が非常に多いことと、それらが美味であるというのがその理由です。さらに、「本格的なフルコース」は素晴らしい芸術だと思っていました。
現に「フランス人の美食」が、世界無形文化遺産に登録されたこともあります。
フランス料理のフルコースは、シャンパンに始まり、白ワイン、赤ワイン、コニャクやアルマニャック等の豊富で芳醇な飲み物、そして前菜、スープ、魚料理、肉料理、ロースト、サラダ、デザート、フルーツの手順に至るまで全ての料理に、実にすばらしい美味が施されております。料理と飲み物のハーモニーも絶妙です。
また、フランスは農業国であり、食料自給率も100%をはるかに超えております。幼い子供の味覚教育にも熱心です。これに比較し、日本は食料自給率約40%、子どもの味覚教育はないに等しいくらいではないでしょうか。加えて日本は古来より「素食」を美徳としてきた民族のはずです。
ところが、終戦を境に、アメリカのGHQにより、アメリカ式の食スタイルになったのは、御承知の通りです。そして60年後には、世界屈指の飽食の国、美食の国になり、贅沢な食べ物が氾濫している国になりました。
しかし一方では、「糖尿病」等の生活習慣病が多発し、医療や介護の深刻な問題が浮上しております。そこで、日本人の中に長い間根付いていた、「伝統食」や「素食」が見直されてきました。美食と素食、どちらがいいかといえば、年齢や仕事の内容等により、一概には言えないと思います。臨機応変に、ある時は粗食、ある時は美食でいいと思います。
ただ、いずれにせよ「出来合い料理」ばかりに頼らないで、出来る限り「手作りの料理」がお勧めです。
今年の春、関西と岡山で花見をしました。今までの職業柄、食べ物には大変関心があるので、花見客の弁当を見て回りました。いずれの会場でも、コンビニ弁当とかファーストフードの食べ物と、ペットボトルのお茶が幅を利かせていました。
「世界一の美食の国」でありながら、日本の伝統行事である花見弁当がこの調子ではいささか寂しい気分になりました。勿論それぞれの家庭には、それぞれの事情があるので一概には言えませんが、やはり「台所で作られた手作りの弁当」に勝るものはないと思います。
正月の「おせち料理」しかりですね。
今、手作りのおせち料理で正月を迎える家庭はすっかり少なくなりました。
いつの時代にも、子どもには、いりこやカツオや昆布でダシを出した料理を食べさせてあげたいものです。そしてそれが最優先されたら日本の未来は大変明るくなると思います。
和食も洋食も中華料理も出来る台所を有し、料理番組、料理教室、料理本等が氾濫している国の、「ハレ」の日の料理が、出来合い料理では寂しい限りですね。
何かとせわしい時代ですが、愛情一杯の、「手作り料理」の良さを見直されては如何でしょうか?