マナーうんちく話80≪心豊かな食卓創り①≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:洋食のテーブルマナー

マナーうんちく話80《心を豊かにする食卓①》

食事のマナー4、「心を通わせ、心が豊かになる食卓創りのお勧め(前篇)」

5月21日は二十四節季の一つ「小満」です。
程々に満足していますよと言う意味ですね。
では何に満足しているかと言えば、この「食のシリーズ」で述べてきた続きになりますが、前年の秋に蒔いた麦などの穂がでてきたので、安心(満足)しましたということです。

「貧乏人は麦飯を食え!」というお話しをしましたが、どうやら室町時代頃には、麦飯は、貧乏な人々の主食だったようです。当時は、米や麦や稗などの収穫具合で、生き死にが、決まっていたので、種をまいて穂が出るまでは大変心配だったわけですね。そしてその穂が出てくるのがこの頃で、やっとひと安心と成ります。
以前「生きることは食べること」と申しましたが、まさにその通りですね。
そして、今なお、これと同じような状況が、この地球上には存在するということですね。

また、「小満」は、麦などと共に、自然界全てのものが、満ちてくる頃です。多くの植物は花を咲かせ、動物たちは活発に活動し始めます。私たちも、益々元気で参りたいものです。


私は今年の春まで2年間、「内閣府食品安全委員会」(食品安全基本法に基づき、食品の安全行政を司る機関)の食品安全モニターを務めさせていただきました。会議に出席した時もそうですが、食品安全委員会から送信されてくる、食品の安全に関する豊富な情報を読んでも、日本の「食の安心・安全」に関するレベルは非常に高いと思います。優秀な学者も勢ぞろいで、しかも法律もしっかり整備され、世界屈指のレベルではないでしょうか?
このことは、多くの意味において実にすばらしいことだと思います。

しかし、「食を楽しむ」ことに関しては、日本人は非常に下手だと思います。

前回は栄養のバランス等を考慮した、「賢い食生活」をおすすめしましたが、今回は、それと同時に、「食を楽しむ」ことのお勧めです。

もともと日本では昔から、家族全員が仲良く暮らし、一緒に食事をする習慣がありました。家族同士のコミュニケーションを高め、絆を築くために、食事は大きな役割を背負っていたわけですね。
しかし、時代と共に、日本における家族形態は大きく変化し、やがて、「孤食」という言葉が生まれてきたのはご承知の通りです。さらに女性の社会進出も増加し、お母さんが働きに出かけるようになり、益々子どもの孤食は増えてきました。

特に最近では、核家族化から、さらに進んで、単身世帯が増加してきています。晩婚化、未婚化の影響で30代、40代、50代の独身者が増えているからです。加えて独居高齢者も加速度的に増加しています。当然ながら、一人で食事をされているわけですね。
つまり今は、「子どもの孤食」と「大人の孤食」が同時に浮上してきています。
心の面でも、栄養面でも、とても心配です。非常に由々しきことだと思います。

欧米諸国は個人主義が多いようですが、夕食は家族で共にするのが常識のようです。しかし、和の精神を大切にしてきた日本人は今、孤食に陥っています。皮肉なことですね。

「食を共にすること」は、理屈抜きで楽しいです。
楽しく食せば、消火液の分泌も促進され、消化吸収が良くなり、コミュニケーションも図れます。だから食事をする時は、皆で仲良く、楽しく、心を通わせてすることが必要なのです。しかし、世界一飽食の国になった日本は今、心を通わせて食事をする食卓が、どんどん失われています。出来れば一日に一回、無理なら三日に一回でも、週に一回でも、大切な人と共に、「楽しい食卓」を囲まれることをお勧めします。
一人暮らしの人は、「共に食事を楽しめる人」をつくられることをお勧めします。

次回は、「楽しい食卓づくりのポイント」について触れてみたいと思います。








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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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