マナーうんちく話78≪飽食の国のマナー①≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:和食テーブルマナー

マナーうんちく話78《飽食の国のマナー①》

食事のマナー3、「腹一杯食べられることに、最高の幸せを感じて下さい」

「人間にとって最高の幸せ!」とは何だと思いますか?

およそ人類が誕生して約300万年間。
人間は常に「飢えとの戦い」でありました。日本人しかりです。前回、日本人も約50年前まではかなり貧しい食生活に耐えていたと申しました。団塊世代の私も、幼い時には食べ物にかなり不自由した記憶があります。私らの年代の人はほとんどがそうです。戦争を経験した人はなおさらです。
食べ物が不自由なゆえに、栄養状態が悪く、終戦直後の、日本人の平均寿命は先進諸国中最下位でした。まして日本は敗戦国になりましたから、食べることもさることながら、立ち直るまでは、言葉では言い表せない苦労がありました。
決して忘れてはならないことだと思います。


22年夏、恒例の「和の礼儀・作法と和食のテーブルマナー講座」に参加いただいた、あるご高齢の女性が、「疎開時代の食生活」についてお話しして下さいました。
そして、その当時のことを思えば、「こんな素晴らしい会場で、こんな話が聞けて、こんな美味しいものが食べられるということに、最高の幸せを感じる」と申されました。

「人間にとって一番の幸せ」とは、「安心して食べ物を腹一杯食べられること」ではないでしょうか。
貧しかったら十分食べることはできません。またいくらお金があっても、糖尿病や高血圧等の生活習慣病が気になる人、ダイエット中の人、病気の人等も思う存分に食べることはできません。

また世界に目を向けても、貧しいがゆえに、充分に食べ物を食べることができない人が大勢います。
今、地球上には約69億人が生活しています。10月には70億人になるとの予想です。その内、約12億人は、国連が定義する「貧困層」です。また約8億人は、「恒常的栄養失調」に陥っています。さらに「チャイルドラバー(児童労働)」といって、幼い子供が食べるために、学校に行くのではなく働きにいっています。その数は日本の人口以上です。加えて1日に数万人の人が、飢餓が原因で命を落としています。

そんな現状下で、食料自給率が約40%で、先進諸国の中で最下位の日本人は、「世界一飽食の国」になり、「世界一贅沢な食生活」を謳歌しています。
素晴らしいことです。
幸せなことです。

日本人はそれがごく当たり前になってしまっていますので、今さら「腹いっぱい食べられることを幸せだ」と感じる人は少ないようですが、実は最高に幸せなことだと思います。

問題は、毎日好きな物を充分食していることを、「最高に幸せだと感じられるか否か」ではないでしょうか。
そして、子育て中の親や教育に携わる人は、そのことをキチンと子どもに教えてあげることだと思います。

私は学校、地域、職場等での、マナーや生きがい創りの講演で、このことを一番に伝えます。「幸せを感じることができるということ」は、マナーや生きがいづくりの原点だからです。
「満足に食べられること」を、幸せだと感じるだけで、自殺は大幅に減少すると思います。

そして、満足に食べられる事をハッピーだと感じることが、飽食の時代を生きる私たちの究極のマナーではないでしょうか?
次回は飽食を別の側面から捉えて行きます。












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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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