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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話56≪災害復興と礼節≫

2011年3月26日 公開 / 2012年4月19日更新

テーマ:日常生活におけるマナー

コラムカテゴリ:スクール・習い事

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え


マナーうんちく話56《災害復興は和の心と礼節に有り》

《災害復興のキーワードは「和の心」と「礼節」に有り!》

日本は日本人が感じている以上に世界の中では最高に評価の高い国ではないでしょうか?
理由は色々と考えられます。
「四季の美しい国」「経済力や技術力の高い国」「長寿の国」「長い伝統と豊かな文化を持つ国」等など、あげればきりがないくらい存在すると思いますが、一番の理由は「和を尊び、礼儀・礼節を重んじる国」だからではないかと私は思っています。

「和を尊び、礼儀・礼節を重んじる国」とは、思いやりの心を常に持ち、それを自国内のみならず世界に向けて、多種多様な形で発揮しているからではないでしょうか。

未曽有の天災が発生して2週間以上経過しましたが、多くの人が苦しんでおられる中、美談もたくさん生まれました。また、外国のメディアはこれだけの災害の中で秩序を守っている日本国民を褒め称えています。さらに地球上に存在する国の中で過半数以上の国が日本に救いの手を差し伸べてくれております。これは過去に前例のない数だと思います。
また、ある世界有数の旅行会社の調査では、世界で最も人気の高い旅行客は日本人であると答えております。その理由はやはり日本人の礼儀正しさにあるようです。

その源になっているのが、日本人の持つ「和の心」と「礼節」です。
「和」とは、主体性をキチンと持ちながらも、他と協調することだと思います。
この精神は、このコラム欄でも何回も触れてきましたが稲作文化と深いつながりがあります。すなわち、稲作は山を開墾し、更に水路を作らなくてはならない大仕事です。従って単独では無理なので、互いに協力し合って、規律を守り、創意工夫に励まなくてはいけません。

6日働いたら次の日は、皆揃って休養の時間をとらなくてはいけません。ある人は働き、ある人は休む、では規律が保てないし、仕事も効率的に進みません。これが「しきたり」の生まれた理由であるということは以前にも述べましたが、稲作とは常にそういうことです。現在でも田植えの頃になると、ほとんどの地域の稲作農家は、皆「協働体制」をとります。良い悪いは別として、ここが欧米諸国の「小麦文化」と異なる点ですね。欧米諸国は自己主張の強い国だそうですが、日本とは根本的に遺伝子が異なるからでしょう。

そして聖徳太子の時代になり「和を尊ぶ体質」が更に確立されてきます。
「和を似て貴しと為。」(わをもってとうとしとなす)。と聖徳太子の制定した「憲法17条(じゅうしちじょう)の憲法」の冒頭に、有名な条文が出ていることはご周知の通りです。

皆仲良くして和を保たなければその組織は保たれませんよ!ということでしょうね。
この教えは1400年も経過した日本人の心に脈々と伝わっております。
今でも、お祭りの時、「ワッショイ・ワッショイ」の掛け声をかけあってお神輿を担ぎます。「ワ」=「和」で、「ショイ」=「背負う」です。
和を背負いつつ神輿を担ぐのですね。

実にすばらしいことです。また、この「和を似て貴しと為」ということが謳われた「十七条の憲法」が、日本における成文化された最初のマナーだと捉えられています。
そして、日本人で初めて国際宇宙ステーションの船長になった若田光一さんも、その抱負を、「日本の和の心を大切にして、チームをしっかりまとめて行きたい」とのべられておりました。
まさに、今回の震災においても、命がけで原子力発電所の復旧作業に当たっている自衛官、警察官、消防士、電力会社等の皆さんも、和の心で持って任務に就かれております。

政治の世界にもぜひ、この「和の心」を積極的に取り入れて、復興に携わっていただきたいものですね。
「論語」に「和して同ぜず」という言葉があります。
「和する」と「同ずる」の違いを明確に表した非常に凛々しい言葉です。
すなわち、人と調和するが、主体性は失わないということでしょうか。
しかし個々の考え方は異なっても、和して、違いを認めることも大切だと感じます。
「接客・接遇」シリーズでも何回も述べましたが、接客の仕事に携わっていたら、きれい事だけでは済まないことも多々あります。「和して、同じて」も時と場合には必要です。
今、この時こそ、党派を超えて、和して、協力し合って、復興に当たっていただきたいと願うものです。今の政治に一番必要なことでしょう。


ところで、「十七条の憲法」から、やがて「有職故実」へと進展し、さらに室町時代には武家を統一するために「小笠原流礼法」が生まれ、「礼節」は時を経て、江戸時代になると武家階級のみならず一般庶民の間に普及してきます。「マナーうんちく話55」において、江戸時代は平和な時代であり多様な文化が花開いたと申しましたが、この頃には、一般庶民も、なんとか、まともに食事ができ、畳が普及し、寝巻を着て布団で寝る事が出来たようです。

こうなると、「衣食足りて礼節を知る」という事態になります。すなわち食べ物、着る物、住まいが充実してくると、次は、礼節をわきまえる様になるということです。礼節をわきまえるとは、読み・書き・そろばんをさし、そして他の人への思いやりの心が生まれてきます。
昔の日本人は本当に何から何まで本当に素晴らしかったと思います。

ちなみに、日本の礼儀作法の大きな特徴はこの成立過程にあると思います。
少し余談事になりますが・・・。
日本の礼儀作法は大変平和な時代に成立しています。常に戦いを意識した西洋のマナーとは、「稲作文化」と「小麦文化」の違いのみならず、ここにおいても根本的に異なります。

礼儀作法やマナーは何度も、「思いやりの心」「感謝の心」「尊敬の心」と、それらを言葉や態度で表現したもので、その表現の仕方はその国々で異なると申しましたが、これだけ日本と西洋では、成立過程が大きく異なりますので、当然表現方法も大きく異なります。
兎に角、平和な時代に礼儀・作法が成立しているということは、大変素晴らしい要素を沢山兼ね備えているということです。この点につきましては次回に触れていきます。

そして今の日本人です。
震災の発生する前は、「タイガーマスク」がブームになり、「無縁社会」や「孤独死」などが課題になる中、日本もまだまだ捨てたものではないなーと思っていましたが、今回の震災で改めて、それを大きく感じました。

命がけで普及に当たっている人、自分の家族や家が犠牲に会いながらも非難している人に心底尽くしている人、見返りを求めずボランティ活動に携わっている人等などきりがないようです。
まさに、「衣食足りずとも礼節を知る」ではないでしょうか。
頭が下がる思いです。

ご案内
《未曽有の大災害・災わい転じて福と為す!》
「復興のキーワードは和の心と礼節に有り」

岡山ハッピーコミュニケーションでは、今回の災害に際し、日本人が長きに渡り育んできた「和の心と礼節とは何か?」「なぜ今必要なのか?」「そしてそれらをどのようにして表現するか?」などといった内容の講演を企画いたしました。地域、学生の方々のお勧めです。90-120分位。
ボランティアOKです。地域によりお引き受けできない場合もあります。予めご了解ください。

この記事を書いたプロ

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平松幹夫(人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾)

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