マナーうんちく話7≪敬老の日とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー


平松幹夫のマナーウンチク話⑦《敬老の日とマナー》


9月20日(第3月曜日)は「敬老の日」です。
長年において社会に貢献していただいた高齢者をいたわり、長寿をお祝いする日ですね。
そもそも長寿を祝う考えは、儒教に根ざしたもので、平安時代に中国から伝わったことに由来します。

家族間、親族間、地域間さらに世代間の絆の希薄化が危惧される中、長い年月に渡り築いてこられた、豊富な経験、知識、知恵を高齢者から学ぶのもいいと思います。

ところで日本には「姨捨山伝説」が各地に存在します。
昔々、年寄りの嫌いなお殿様が「年寄りは山に捨てる命令」を村に発しました。
どうしてもその命令に従うことのできない太郎は、年寄りを隠して住まいさせました。
ある日、隣国から「灰で縄をないなさい。さもなくば攻め込むよ」と言ってきました。
殿様は弱りはて、国中の知恵者を募りましたがだれもいません。
太郎はこのことを隠れて住んでいる母に相談しました。
母は「塩水に縄を浸して焼けばよい」と教えてくれました。
太郎はこのことを殿様に伝えました。
殿様は改めて年寄りのありがたさを実感し、これにより年寄り共々平和に暮らしました。

定めにより自分の母親を山に捨てる息子と、それに従う母親の親子の情愛を描いた「楢山節考」は記憶に新しいところです。

生活が大変貧しくて、歳をとれば食いぶちを減らすために山に捨てられた昔の老人。
世界屈指の豊かさの中、歳をとれば年金を始め多くの恩恵を受けられる現代の老人。
これだけ比較すれば現代の年よりの方がはるかにハッピーでしょうが、人と人との絆が失われ、介護、痴呆の不安を抱えつつ、「孤独死」「無縁社会」と向かい合わなければいけないのも事実です。
改めて敬老ということに触れてみたいと思います。

何回も書きましたが、マナーには「人に不快感を与えない」「人に好感を与える」「人を尊敬する」の側面があります。そして「人を尊敬する」の項目で特に重要視されているのがお年寄りを敬うことです。

そして、お年寄りを敬うことには3つの意味があると思います。
①うんで下さったこと、育てて下さったことへの感謝の気持ち。
②年長者を敬うという尊敬の気持ち。
③長年社会に貢献して下さったことへのお礼の気持ち。

またそれらの気持ちをプレゼントという形で表現することが多いようですが、そのポイントは
①「お祝い事用の祝儀のし」を使用します。水引は白赤の「蝶結び」が良いと思います。
②一般的には「祝敬老の日」「敬老の日お祝い」などと書き、下段には贈り主のフルネームを書きます。
③お孫さんが、おじいちゃん、おばあちゃんにする敬老の日の贈り物だったら、「おじいちゃん おばあちゃん ありがとう」などと書けば喜ばれると思います。
④デパートなどから送る場合は、敬老の日の前日に届くようにして下さい。
別便で手紙を添えていただければありがたいですね。


ところで電通が発表した意識調査では、お年寄りが「敬老の日にしてもらい事」として、「モノ」より「会話」という結果がでておりました。
私は「シニアライフアドバイザー」「健康生きがいづくりアドバイザー」として、県下各地に高齢者の健康と生きがいづくりに関する講演をしますが、いつも高齢者の方は私たちが考える以上にコミュニケーションを希望されていることを痛感しています。

そこで高齢者の方との「会話のマナー」に触れてみます。
①とにかく、「はっきり」&「ゆっくり」。
②横文字を連発しないで「相手が理解できる言葉をつかう」。
③特に大事なことは「繰り返し伝える」。
④何度も述べてきましたが「話し上手は聴き上手」。
⑤お年寄りの有益な話を聞かせていただくという「謙虚の気持ち」。
以上、基本的精神は相手に対する「思いやり」です。

特に日頃離れて暮らしている場合は、手書きの手紙や電話での会話で、あなたの思いやりの気持ちを伝えて見られては如何でしょうか?
思いのほか喜ばれると思います。

そして特に「敬老の日」だからではなく、常日頃から高齢者の方には温かく接することが、世界に前例のない超高齢社会を迎えている日本の有るべき姿ではないでしょうか?

「孤独死」「無縁社会」などという言葉は先進国の恥です!

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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