古宮昇先生講演会
今年9月に心理系大学院受験をする人は必見です
今からのチェックポイントーまずは決意ができているか?
5月も後半に来ました。ここからは、8月や9月の受験を強く意識する時です。そのためチェックポイントを設けておきましょう。まずは受験の決意が固まっているかどうかです。最近、いくつかの学校で入試説明会をさせていただいていますが、学生の質問を受けていると、まだ受験を迷っている人が少なくありません。シューカツと天秤にかけている人もいますが、この時期になると、大学院を受けるなら、それ一本に絞る必要があると、私は考えています。当塾に来られる方で、受験の決意のない人はあまりいませんが、意外に多いのは「自力で勉強する」と言う人の中に、直前になってからの受験回避が目立ちます。大学院進学は極論を言えば、行かなくても生きていくことはできます。だからこそ決意なき状態で受験をしてしまうと、仮に合格できたとしても、「合格できちゃった」状態が続き、入学してからもこの決意なき状態のまま、時間が過ぎてしまいます。そこで「後ろには引かない決意の確認」をする必要があります。
受験校のイメージチェック
決意ができたら、次は漠然とでもかまいませんので、行きたい学校のイメージを作ることです。多くの人は大学を名前で決めます。別にそれでもかまわないのですが、本当は、名前以外の要素で方が重要です。どんな論文を書いている先生に習いたいか、どんな専門分野の先生がいるか、どんな施設を持っているか、少人数がいいか、大人数がいいか、実習はどんなことをしているか、などなど名前以外で考えるべきことはたくさんあります。
京都コムニタスでは先生をよく調べるように言っています。
臨床心理士や公認心理師のイメージ作り
学校決めまでができたら、次は、臨床心理士や公認心理師へのイメージ作りです。臨床心理士や公認心理師になるために大学院にいくわけですので、そのイメージが明確でなければなりません。私はよく「何屋さんですか?」と言いますが、何を売り物にしているかをイメージすることは大事なことです。臨床心理士や公認心理師は職域が広く、よく言えば何でもできるということでもあります。そのため、自分の行きたい職域について必ずしも決める必要はありませんが、ある程度考えておきたいところです。
臨床心理士の就職は、一般的には、教育(スクールカウンセラーなど)、福祉施設、医療などに進む人が多いと言えます。他にも公務員になった人、自衛隊に入った人などもいます。最近は産業系に進む人も増えています。私の考えでは、これからもっと職域を増やしていけば良いと思います。経営コンサルタント、スポーツのメンタルトレーナー、カラーコーディネーターなどにも知り合いの臨床心理士はいます。自分でバイタリティを持って、資格をうまく使えば、何でもできるところがこの資格の良いところでもあります。以前、当塾の講師をしていた人で、英文科を出て、そのあと臨床心理士指定大学院を出て、臨床心理士になり、さらにそれから医学部に編入して、医学生をしていました。できるならば臨床心理士のイメージを明確にしたあと、その資格取得後の設計もしておくのが望ましいでしょう。臨床心理士も公認心理師もこれから可能性が広がる資格です。
研究計画のチェック
臨床心理士指定大学院の研究計画は、やはり、臨床心理学的研究計画でなければなりません。私がこの仕事を始めたころは、それほど、臨床心理学的でなくともよかった記憶があります。「能と心理学」のような題目でも問題ありませんでしたし、文献研究でもOKの学校もありました。しかし、今は、数字で何かを物語ることを臨床心理学的研究ということが大半で、質問紙調査、半構造化面接など、複数の人間を対象にして、そこから統計やカテゴリー分類など、一定数の数字がなければ研究ではないという空気になっています。海外では、心理学や経済学はもともと理系の学問分野(日本ほど明確に理系、文系を区別するわけではありませんが)でしたので、統計学が心理学の方法論の一つであることにさほど違和感はありませんでしたが、日本では、統計の知識がゼロでも学部を卒業することは可能です。しかし、大学院はそうはいきません。学部で心理学を専攻していない方の場合は、特に研究計画で統計を意識したものを書いておいた方が良いでしょう。そのあたりの数字処理を意識しながら論文を読み、おそらく見たことのない統計用語
(t検定とか、バリマックス回転とか、重回帰分析とか単回帰分析とかなんとかかんとか)を見て、心が引くというのも早めに経験しておいた方が良いと思います。できるならば、研究計画を仕上げにかかる7月、8月までに引いた心を元に戻しておく必要がありますので研究計画のイメージは極力早い方が良いと言えます。また、臨床心理学的という条件として、もう一つ大切なことはクライエントを想定するということです。わかりやすく言えば困っている人を想定することです。もちろん心理的に困っている人です。医療分野と少し重なるくらいは問題ありません。
クライエントがイメージできていれば、研究計画は書きやすくなります。是非早めに準備しましょう。
学科も力を入れる時期です
志望校が決まり、研究計画のイメージができたら、学科に目をむけましょう。臨床心理士指定大学の場合、普通は心理学と英語が課されます。英語は長文読解が大半です。英語からして「何をしたらいいのかわからない」という声が多いと思います。そういう人はたいてい「とりあえず単語」となります。しかし、これは明らかな誤りです。最近は辞書使用可の学校も増えていますので、必ずしも大学側は単語力を試したいわけではありません。では、相手方は何を試したいのか?というと、内容読解力です。内容読解力は単語力だけでは身につきません。また辞書は幅広く間違いのない訳をくれますので、ピンポイントだと意味不明になることがあります。
「訳をもらっても意味がわからない」
このフレーズを発したことがある人は危険です。おそらく単語を辞書で引いても、訳が前後の内容とかみ合わず、迷子になってしまっていることを意味します。例えば心理学でよく出るinfantという単語がありますが、辞書に頼りすぎると、幼児、乳児など似たような訳語が並びます。この単語は幅が広く、赤ちゃんから、乳幼児小さな子ども全般を指します。そのため実際のイメージは読んでみないとわかりません。「読めばわかる」と言えたらベストです。
この「読めばわかる」というのは文法を前提にします。
英語が世界共通語になり得るのは、簡単ということあるでしょうが、文法の安定度の高さも重要な要素です。文法さえ、踏まえていれば、何人が書いても、だいたい同じ英語になるという特徴があり、様々な国の言葉を英語に変換するため、今や「グロービッシュ」という言葉も生まれる
くらいに世界共通言語になっています。そこでまずは文法から着手するのが妥当です。高校レベルの総合文法教材を手にとって目次を見ましょう。そうすると「5文型」「時制」「完了」「動名詞」などなど、聞くだけでも嫌な気持ちになると言う人もいますが、こういった文法用語が並びます。まず一通り、これらの用語の説明ができるか、少なくとも間違っていない範囲で説明ができるくらいの知識は必要です。私たちの大半は5文型さえ怪しいと思います。目的格補語と言われて、心が引く人は単語より、まず文法に耐えられる身体を作ることが優先されるのです。それが嫌だから、とりあえず単語というのは文法を回避している状態です。その状態で単語を覚えようとしても、なかなか頭に入りませんし、入っても使えない、あるいは使い方がわからない、どの単語の意味を選べば良いかわからないという現象が起こります。そうならないようにするには文法に沿って、一つずつ前から処理をしながら、読む練習をするのが適切です。文法的処理ができないまま、わからないものに出会うと、飛ばす、また飛ばす、そしてピリオドまで来る、行き詰まる、そしてバックして日本語になりそうなところに「かけようとする」。そして「かけどころがわからない」となったことのある人は危険です。まず、これを是正しておきましょう。
日本人は英語を使う必要性を感じないから苦手だと思う
日本人は英語が苦手な民族と自分で考えているようです。確かに他のインドヨーロッパ語族圏国家と比べると言語的ハンディキャップはあります。同じ系統の言語なら、単語を変えれば「何とか通じる度」は日本語の比ではないでしょうから。
しかし、そんなことよりも大きな問題は、例えば小学校での英語教育です。一体子どもをどうしたいのか?という疑問しかありません。やはり、日本人の中にはもはや深く刻み込まれすぎて無意識のレベルにまですり込まれた受験信仰が背景にあると思います。英語教育に期待されるのは、結局受験にだけ対応するものにすぎません。受験さえ終われば、英語学習を
大学で止める人が大半を占めているのが現状です。
なのに、小学校で英語???
今、一番教育を徹底しないといけないのは大学生なのではないのでしょうか?
英語論文に驚かない身体作り
私は、大学生の時、3回生の時に、仏教学は英語の論文の方が数が多く、最新の多くは英語で書かれていると、初めて知ったくらいです。はじめて師匠から英語の論文を手渡されて、どん引きした記憶が今も鮮明にあります。言い訳でしょうが、そんなこと誰からも習った覚えはありませんでした。
じゃあ、見つけたは良いものの、誰か一緒に読んでくれるか?となると、英語であろうとなかろうと、正解か間違いかしか教育を受けてきていない私にとっては、答えのない、あるいは和訳の存在しない英語など読んだことがなかったのです。
必死で辞書を片手に和訳しましたが、さっぱり意味がわかりません。今のようにネットもありませんから、本当に手詰まりでした。これでも英語は中学以来自信はあった方で、国語の次に点数が取れる科目として自負心を持っていたのですが、何の意味もない自負心だったとショックを受けたことも鮮明に覚えています。
こういったちょっとした挫折感から、英語の専門学校に行ったということはあったのですが、こんな経験からも英語を教育しないといけないのは、小学生ではなくて大学生であることには確信を持っていますし、大学院生になって、英語を運用できるようになりたいと願っている人をたくさん知っています。大学生と大学院生に、本当に役立つ英語教育をすることこそ急務だと確信しています。
まずは文法
大学院受験や編入受験において英語はほぼ必須科目です。もちろん私たちも英語を重視しています。大学院生になると、様々な学会や研究会に顔を出すのですが、ふと気がつくと、当たり前のように英語で講演や講義がなされます。日本人しかいないのに英語で研究会がなされることも珍しくありません。論文は英語で書くのが普通だという分野もかなりたくさんあります。博士論文は海外のジャーナルに掲載されたものを三点以上ためて、それを和訳してまとめたものとするという学科もあります。要するに英語はできて当たり前という世の中にいつの間にかなってしまっているということです。その流れは、我々が想像する以上にはやく、これからもどんどん進んでいくでしょう。
和訳テクニックは文脈とセット
まずは和訳テクニックを身につけることが優先されます。和訳テクニックにあまりコツはありませんが、丁寧に読むこと、訳をできるだけ直訳にせず、意訳を心がけること。このあたりは第一段階として、考えておきたいところです。
例えば、
I was frightened by my father.
と来て、
「私は父によって怖がらされていた」
と訳されると、すでにイメージが固定してしまいます。またいったいこのお父さんは何をしたんだ?という疑問がわいてしまいます。もちろん間違ってはいないわけですが、こういったところから文脈理解がずれてくるのです。これは単に
「私は父のことが怖かった」
と理解しておけば、それほどずれなくてすみます。
結局前から読む
文法を理解していくには、まず「前から読む」ことが重要です。日本人は日本語の語感で英語に触れて当然ではありますが、英語と日本語では言葉のならびが全く異なります。漢文のようにレ点返り点を打てば何となく日本語になるような気がすることが多いのですが、そのような「バック読み」は私たちが英語を読むのを阻害します。これはおそらく明治時代の教科書の名残であろうと思われます。できるだけ前から読み、バックしないように心がけることから始めて、できるだけそれを習得する必要があります。特にバック読みをすると、補語が取れなくなってしまいます。長文読解において、補語が取れないのは、致命的と言えます。私が生徒と英語の読みあわせをしていて、たいてい詰まったときは、バックして、「どこにかけたら良いかわからない」ときです。この「かける」がくせ者です。日本語は「かける」「かかる」といった言い方を確かに使います。しかし例えば
the man running in the park
は「公園で走っている人」となりますが、英米人がrunning という現在分詞をman という名詞にかけて、後ろから読むということはあり得ません。当然、前から読んで理解しているはずです。しかし、そうは言ってもこれは簡単にはなおせません。少しずつ地道に訓練を積み、後ろからかけなくとも意味がわかるようになることが必要です。
私は、英語の授業で、「目的格補語」という言葉を自由に使えるように強調しています。目的格補語は、目的語の補足です。したがって目的語を認識していることが前提です。しかし、これまでの私の経験上、この目的語こそが足かせになっている人が多いと思います。またやっかいなことに、自分の問題が目的語理解にあることに大半が気づかないという悪循環が生じます。そうすると、さらにやっかいなことに、他動詞や前置詞も正確に理解できていないことになりますし、そうすると、結局SV でさえ理解できていないことになってしまいます。逆からかえせば、目的格補語が分かれば、目的語→他動詞や前置詞→文がわかるというよい循環ができ、理解につながります。
本当の意味で目的語を理解しようと思えば、他動詞や前置詞以外にも「対格」「直接目的語」「間接目的語」など、様々な用語を知っておきたいところですが、実際はそこまで細かいところまで知らずとも英語を読むことはできます。ここでは、他動詞型と前置詞型の目的語が理解できれば十分です。例えば関係代名詞のwhomやin whichをみて嫌な感じのする人は、関係代名詞に問題があるのではなく、目的語に問題があるとみて良いでしょう。
例えば、
I play tennis.
She is a student.
と並んで、第二文型か第三文型かの区別がつかない人は、まずは他動詞の勉強から始めるのが良いでしょう。その次に自動詞という順番で動詞の勉強をして、その上で目的語理解につなげるのが良いでしょう。目的語理解ができてくると、少し目線を変えて、英文全体を見渡してみると、「セット」あるいは「かたまり」と言っても良いと思いますが、単語を単独で見るというよりも、単語と単語がセットになっているという見方ができてくるようになると、より正確に英文を読むことができます。これは、日本語の形態とは少し異なりますので、なかなか理解し難い部分もあります。五文型とは要するにセットの種類のことですが、SV が第一文型、SVCが第二文型 ですが、この場合、Cが主格補語でSCもセットです。まとめてSVCです。また、SVOは第三文型ですが、SVとVOのセットの集合体です。この他動詞と目的語のセットという感覚が我々日本人は苦手なようです。つい切ってしまい、セットという感覚が薄れ、漢文でいうレ点を打ってしまうのです。
次にSVOOの第四文型ですが、これはteach,show,ask,giveなどの特定の動詞が目的語を二つとるというセットです。最後に第五文型SVOCですが、SVとVOとOCというかたまりの集合体になります。第五文型の文を見て、瞬時に第五文型と
言える人は、実はかなり英語がわかる人です。
I always looked upon those who told me my faults as a friend.
私は自分の欠点を指摘してくれる人をいつも友人と見なした。
これも第五文型の一種です。look upon(これは他句動詞といいます)の目的語がthoseで、その補語がa friendです。asはこの場合よく補語の印と言われます。以上のようなセット感覚を身に付けると次は、細かい文法テクニックを習得することが必要になります。
今、京都コムニタスセミナーとして、私が今更聞けない英語特集連続講座をしています。
次回は、
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