あなたを将棋の駒に喩えると?
近年、臨床心理士指定大学院受験で集団討論が出されることはほとんどなくなりましたが、以前は結構よく出題されていました。現在は近隣では龍谷大学だけになってしまいました。今年から受験者数が増えるので、もしかすると、また討論を課す大学が増えるかもしれません。ただ、要綱の中に集団討論が予告されていることはあまりなく、受験当日に討論があることを知る人も少なくありません。しかし、当然ながら準備をしているのと、していないのとでは、結果は大きく違ってきますし、当日も備えがある方が良いパフォーマンスができるはずです。
集団討論のための心構え
集団討論の中で重要なことは、当たり前のことですが、「議論」をすることであって、意見を一つにまとめることではありません。ですから、少数意見にも目を向ける必要がありますし、多数決は論外です。論理は正しいことを求めるものであり、その場合、事実でなければなりませんし、事実で誰が見ても正しいことが他人を説得するのですが、やっかいなことに、その意味での正しいことは一つとは限らないのです。だから、自分が正しいと信じていることが、間違っていないまでも、他人の正しいも、自分と同等か、あるいはそれ以上に正しいこともあり得るのです。それは視点や立場によって変わるというのが一般的です。だから、「自分だけの正しい」「○○しかない」という言い方は、討論では御法度になります。だから結論をまとめるよりも意識しておかねばならないことは「情報提供」です。
仮に、「虐待について討論せよ」と出題されたならば、まずは例えば「虐待を予防するにはどうすればよいか」と問いを皆の同意のもと設定します。それについて皆で意見とその根拠となる情報を出すことが必要です。この際最も重要な提出物は「事実」です。自分の主観にもとづいた「感想」ではありません。好き嫌いも論外です。また確たる根拠のない決めつけなども論外です。論外はたくさんありますが、論内を意識しましょう。
討論の練習をしておきましょう
当塾では、集団討論の練習には力を入れています。理由はたくさんありますが、アウトプット、プレゼンテーションという観点から非常に有用です。受験者は、多くの場合、他人の前で話すことに慣れていません。そのため、やはり十分な準備が必要になります。当塾では、実際に過去に出題された問題を出して討論をしてもらっています。その方がイメージがわきやすいですし、自分の言葉がどのように歩いていくか、あるいはすぐに消えてしまうか、自分の生み出した言葉が、どのくらい力をもっているかについて知る良い機会です。また、自分が集団の中でどのように機能するか、何が期待されるかを知ることもできます。無意識のうちに頼られる人もいますし、逆に頼ってしまう人もいます。どちらが良いかは一概には言えませんが、それぞれに合ったパフォーマンスの仕方がありますので、それを知って、習得してもらうことを目的の一つにしています。
また、討論対策としては、まずは意見を話しやすい環境設定が重要ですので、そのための方法を練習します。さらに問題設定と情報提供のセットを必ず言えるように練習をします。自分の思いだけ言うよりも、具体的なデータや情報を提供することの方が重視されます。要は、試験採点者が「良い討論だった」と思えばよいわけです。オブザーバーがどういった討論を良いと感じるのかがポイントです。基本的には「勉強になった」「その情報は知らなかった」「良い情報が聞けた」こういった討論を見た時だと思ってもらえれば良いでしょう。
当塾の対策のポイントだけ言えば、
①司会はとってしまいましょう。
②司会は、全員何らか話せる(情報が出せる)ように心がけましょう。
③話が止まったら(あるいは1周したら)問いをスライド(設定し直して)して、話題を変えましょう。
④できるだけ皆でたくさん情報を出しましょう。
⑤討論なので、意見集約の必要はありません。
⑥多数決は絶対避けましょう。
大雑把に言えばこんなところです。細かい点はたくさんありますが、それは実践してみないとわかりませんので、実際に討論をしてもらったあと個人ごとに指摘しています。
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