参議院選挙(続)

井上博文

井上博文

テーマ:雑感

参院選の期日前投票に行きましたが、大変なことが起こってしまいました。元総理大臣が、凶弾に倒れるという、日本の歴史にもそうはないテロです。なんと奈良で応援演説中だったとのことで、にわかに信じられませんでした。ご遺族や急に大切な方を失った方々にお悔やみ申し上げます。
犯人は滅茶苦茶な理由を言っているように報道されていますが、「いかなる理由があろうとも・・」という台詞は、無数の人が言っているし、思っていることでしょう。私もそう思うます。選挙期間中のテロというも、正直許し難い行為ですし、SPが批判されていますが、SPなら撃たれてもいいわけでもありません。警備態勢が大切なのはわかりますが、どんな人でも安心して、選挙活動ができない国であって欲しくはありません。分断社会を象徴する出来事でしょうが、本来、政治は、「自分に反対する人の(も)面倒を見て、食べさせる」ものです。私が言うまでもなく、たくさんの人が引用していると思いますが、ヴォルテールの名言「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」が何度も頭をよぎります。18世紀を生きた人物の言葉を引用しないといけないほど、今この国は退化しています。
考えが異なる人はいて当たり前ですし、受け入れ難い考え方を持っている他者は必ずいます。しかし、人間は、「世界で最も嫌いな人と共存する智慧」を持っています。それが言論です。今も「炎上」を恐れて言いたいことが言えない人がたくさんいると思いますが、いつからかこの国に限らず、世界がそんな方向に向かっているようです。
この事件で分断された双方が、さらにお互いを憎み、感情がエスカレートすることを危惧します。元総理大臣が撃たれたことがクローズアップされますが、周囲にいる人、応援してもらっていた候補者、SP、様々な関係者、一歩間違えれば命を落としたかもしれません。その命に優劣はありません。今、ネット上では比較的有名人が、「あいつが悪い、こいつが悪い」と言っていますが、最も悪い連中は、どちらかにレッテルを貼って、分断を煽る輩です。元総理を静かに追悼することが大切であり、大騒ぎすることが大切ではありません。粛々と選挙に行って、自分の意見を投じるのが妥当だと信じます。


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