公認心理師と臨床心理士は別資格と考えましょう(続)

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師になるには

以前、公認心理師と臨床心理士は別資格と考えましょうというコラムを書きましたが、守秘義務の違いは重要だと思います。基本的なこととしては、やはり国家資格ですので、法令遵守ということが重要です。今、各大学にインタビューをさせていただいていますが、同じ資格と仰る先生もおられれば、違う資格と仰る先生もおられます。私としては違う資格と考えています。

今の国家資格の基本は、前々総理大臣とは真逆で、法令遵守が基本です。法律を守らねばなりません。選挙違反や賄賂や口止めやあれやこれや内閣にいた人、近い人が法を犯すか、精一杯屁理屈をこねてグレーに持って行こうとするとか、総理大臣そのものが脱法を認めるとか、異様極まりない美しいこの国では、とてもわかりにくいことですが、法律は、好む好まざるに関わらず守るものです。法令遵守は重要なことです。

公認心理師と臨床心理士と決定的に違うのは「関係行政論」があることです。これに関連して公認心理師法と関連する法律がたくさんありますが、このあたりの勉強をしていかないといけないことです。また、医学関連の科目も臨床心理士とは必ずしも同じではないところです。このような違いに対応するには、やはり全科目に対応する教材が必要です。公認心理師試験は、事例問題は特にそうですが、それらが有機的に結びついて出題されます。臨床心理士と重なる科目だけ勉強していると、合格点に届かない可能性が高くなりますので、要注意です。
また第4回公認心理師試験の結果はまだですが、ここまでのところまだ現臨床心理士の方で受験していない人はたくさんいます。ここから第5回までで最も多くなる受験者のカテゴリーはGルートの方々になることが予想されます。Gルートの人の多くは臨床心理士の有資格者ではなく、別の資格をお持ちの方が多いと言えます。そのため、基本的には心理学の学部や院を出ているわけけではないため、専門分野については、この試験のために勉強をしていく必要があります。その意味で公認心理師は臨床心理士だけではなく、幅広い範囲の対人援助職の人がなっても良いということが想定されていることがわかります。それだけでも、臨床心理士とは別の資格であることがわかります。
ただし、実際に心理職のニーズとしては、やはり心理テストやアセスメントが多いと思われます。このようなものは大学院で学ぶ以外の方法がこの国では確立されていませんし、臨床心理士指定大学院が長い年月をかけて積み上げてきたものです。新カリキュラム適用の学生が今年大学院受験ですが、この学年が第7回公認心理師試験を受ける時くらいから少しずつ考え方が変わってくるかもしれません。この年の受験者から、純粋に公認心理師法施行以降の年代になってきますし、Gルートの受験が終わっています。この年以降に養成されていく公認心理師が臨床心理士との兼ね合いも含めて今後を決めていくことになるでしょう。


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