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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

偶然か運命かー最後は科学です

2021年8月19日

テーマ:雑感

コラムカテゴリ:スクール・習い事

よく塾でも「これは運命の出会いですよね!」「運命の出会いと思ったのですが・・・」と言われたり、運命という言葉を色々な文脈で聞きます。私は、身も蓋もない人間ですので、口には出さないですが、「そりゃ偶然やな」とまぁまぁ思っています。「あそこで2回も偶然出会うなんて」「これは神様が引き合わせてくれたんだと思うんです」と言われると、顔と口は「そうなんや、すごいね」としていますが、頭の中の半分は「ストーカーも考慮に入れなあかんな」と囁いています。確かに偶然とは思えない(思いたくない)現象は多々あります。私の兄は、ウルトラ雨男です。イベントに行くときに彼の存在があると、必ず雨になります。ただ、彼の結婚式の時は、びっくりするくらい暑くて晴れて、私と母はそれが偶然と思ったくらいですが、相手方は「運命」とか「日頃の行い」と思ったようです。つまり、解釈にすぎないわけです。

偶然=運命=必然という構図を無条件で決めてしまう人がいますが、とても危険です。もちろん、偶然をおろそかにしたり、全て無視をしろと言っている訳ではありません。人間に限らず、出会いの大半は偶然です。私も仏教との出会いも、師匠との出会いも偶然です。昔『キャプテン翼』というサッカーの漫画がありましたが、翼と天才キーパー若林は、偶然ですが、運命的な出会いに「この後この2人によって日本サッカー界が大きく発展していくとは、この時誰が予想できただろうか」といったことが書いてあって、とても印象的でした。確か小学生でしたが、「漫画の作者は未来がわかっているんだ」と身も蓋もないことを考えたことをよく覚えています。運命は、未来予測という意味で、ちょっと超常的なニュアンスを含みますが、つまるところ結果論です。結果論でないとすれば、未来を知っている人か、知った人にしか知り得ない情報になります。コロナ禍において、日本はどんな運命を辿るかは誰も知らないことですし、知り得ないことであることは、比較的多くの人が知っています。アホなメディア(テレビに限らず個人も含みます)は、総理大臣や東京都知事が、コロナについて、感染爆発を予測できなかったことを非難しますが、これはアホの典型です。変異することはわかっていたとしても、どんな変異株が出るかなど、誰にもわからなかったはずです。非難されるべきは、予測できていることをせずに、失敗すると総括もせずに強弁と嘘を重ねる姿であって、予測できなかったことではないのです。また、オリンピックが感染爆発に何の関連もないと言ってみたり、むしろ自宅で過ごしたのだから、抑制につながったとさらにアホの上塗りを言う場合は、全力で批判すべきです。結果が出ていれば、運命論ではなく、プロセス論で検証が必要であって、オリンピックとともに感染爆発したのは時期として間違いないわけですから、違う可能性はあるにせよ、検証が必要な事柄です。運命でも偶然でもなく、必然として科学の考察対象になります。

人間で言うならば、出会った人がどんな人かを予測できなかったことは仕方がありません。しかし、例えば相手がDV大好き人間だったとして、対処できなかったり、被害が大きくなった場合は、プロセスに反省が必要で、DVを受けることが運命であったはずはないと考えることは重要です。「あの人には私がいないとダメなんです」を運命論に持って行くことは明らかに間違いです。いかなる時も科学を手放してはいけないのです。



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