最近の圧迫面接傾向
「自分が●●しないといけない理由」。例えば助産師なら、自分が赤ちゃんを取り上げねばならない理由ですし、医学部編入ですと、自分が医学研究者にならねばならない理由が必要です。相手から、その仕事でなくてもいいのでは?あなたでなくてもいいのでは?と思われてしまうと、状況は一気に厳しくなります。もちろん、これを簡単に作ることはできません。今も夜中までかかって、●●でなければならない理由を数名と作っていますが、なかなかうまくいくものではありません。やはり、情報収集から、時間をかけて、ゆっくり醸成していくのがいいでしょう。
このような理由をつくるコツとしては、まず、自分の分野において、困っている人をイメージすること、それから、自分がその仕事をしないといけないという使命感を持つことと言えます。「私がやらねば誰がやる」くらい思っていてちょうどいいと思います。この使命感を作るには、ある程度手順があって、まずはやりたいことを明確にもつことからがスタートです。それにうまく着手できると、次にそれがやらねばならないことに昇格します。そうすると、次に自分しかできないことが出てきます。自分しかできないことがあると、それはブランディングの基本ですが、他者からのニーズが生じます。そしてそのニーズを獲得していきます。そうすると、自分にしかできない「仕事」ができます。これは希少価値を持ちます。そうすると、最終的に、自分しかできない仕事をニーズに沿ってこなしていくことが「私がやらねば誰がやる?」となっていきます。
それが「自分が●●しないといけない理由」として育っていくつことでしょう。
その意味で、行動は非常に重要です。面接に行くと、相手は何ができるのかを聞いてきます。「できる」ことを言うには、それまでの行動を証明することで裏付けになります。賞、資格、スコアなどは、証明材料としてはわかりやすいので使いやすいと思います。ただし、相手が聞きたいことが、そのような類ではないこともあります。大学院の面接で、相手がまず聞きたいのは詰まるところ「何がしたいのか?」です。「何がしたいのか」ということをもう少しくだけば、「どんな問題を解決したいのか」あるいは「どんな証拠探しの旅がしたいのか」と言えます。前者は情報ありきです。後者は、未開のものに対する取材や探検も含みます。
研究計画とはそのいずれかのレシピと言うこともできます。私たちは、例えば研究計画を書く時には、「何がしたいですか?」という問いかけが最重要課題になります。今も何人もの人の苦しそうな顔を見ています。zoomでやると、顔が正面からうつりますので、余計に苦しさが伝わってきます。私はよく研究計画をレシピにたとえますので「何を作りたいか?」という問いかけもよくします。わかりやすいところでは「尺度」もありです(最近はそう簡単ではありませんが)。研究計画を作る際に、何をすれば良いかわからないという人は結構多いのですが、本来、指導者の腕の見せ所はここにあります。指導を受ける側の関心力を高める方向で指導ができるか否かがとりわけ、大学院進学用の予備校の指導者の腕と言って良いでしょう。「何がしたいか」は自分で決めることと切り捨てることは簡単なのですが、ここで、指導者がよく話を聞いて、
「つまりこういったことがやりたいのでは?」
「このキーワードはあなたにとって外せませんね」
「このようなテーマなら過去にこんな研究計画を書いた人がいますよ」
こういった形で、様々な提案をしていくことで、そのうちに自分にフィットするテーマが見つかります。これは意外に手間がかかります。また、一人で悩むことも必要な面もありますが、やはり誰か指導者と話すことで、自分が本当は何がしたいか、ということに気づきを得るということも少なくありません。
ここで、良い指導を受けられないと、よくあるパターンとしては
「●●をしたくない」
「●●(統計が多いです)はできないので、これを使わない研究がしたい」
こういったことを言い始めると危険信号です。これではやりたい研究ができず、やりたくないことだけを回避したものになります。これを私は「タマネギの皮むき」と呼んでいるのですが、そのうちに何もなくなってしまい、結局行き詰まってしまいます。
「行きたいところに行ってやりたいことをやる」これはとても大切なことです。しかし、一方で、大学院に行くと、「好きなことだけ勉強できる」と考えている人が意外に多いのですが、それは正確ではありません。他の機関と比べて、興味のあることを専門的に突き詰めることができる確率は高いと言えますが、だからと言って、やりたくないと思っていることを回避できるかと言うと、必ずしもそうではありません。例えば、私たち仏教学の学徒は梵巴蔵漢と呼ばれる4つの特殊言語の習得は必須です。能力の高い人は、これに加えて、中央アジアの今はない言語やミャンマー、タイなどの南アジアの言語、フランス語やドイツ語などのインドヨーロッパ語族も身につけている人は少なくありません。語学が嫌いな人が、仏教学を学ぶことができないかというと、そうではないとは思えますが、私たちが習ってきた常識からすると、語学が嫌いだったら学ばなくて良い、とは言えません。語学の好みいかんに関わらず、語学は学ぶ必要がありますし、その必要性は学んでみてはじめてわかることの方が多いのは私自身の経験でもあります。
やりたいことを極めるのは本当に重要なことです。しかし、一方でそれは「やりたくないことをしない」ということを意味しないのです。ここを間違えないようにしないといけないのです。「できない」を理由にする人、「嫌」を理由にする人は、ここで行き詰まります。例えば、将来IT企業に勤めたいという希望を持っていたとします。だからプログラミングに興味を持って、自分なりに学んでいくとします。しかし、企業に勤めるということは、当然ながら、プログラミングのスキルだけでは人材とはなり得ません。それだけで人材になるのは、よほど優れた能力を持った人です。これは全野球人口におけるプロ野球選手の数と同じくらいの比率になると思います。しかし、プロ野球選手でも、サッカー選手でもグローバル化しており、例えばメジャーリーグに行った人で、長く成功する人はその英語力も一緒に賞賛されます。サッカー選手も同様です。
繰り返しですが、やりたいことをやるのは大切なことです。同時に、やりたくないことをしないというのは不適切です。いざ、大学院に行ったり、社会に出たりすると、必要なことは全部するというのが基本であり、やりたいか、やりたくないかはそれほど重要ではなくなります。積極的に必要なことを見つけて、どんどん吸収していくことが適切と言えます。その中で最終的には自分しかできないことにたどりつけると幸せなのだろうと思います。
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