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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

コロナ被害者は選択肢を与えられない人々

2021年1月26日

テーマ:思考方法

コラムカテゴリ:スクール・習い事

最近、小論文の添削や卒論や修論の添削をしていて、思うところがたくさんあります。大学生や院生の人たちは、メディアであたかもコロナ感染を拡大しているかのように言われています。飲食店もそうかもしれませんが、大学生や院生が加害者かのように言われるのは、強い違和感があります。感染を広めている人は、どの世代にもいますし、飲食店だけが感染拡大を生むはずもなく、感染しない業種を探す方が難しいでしょう。通勤電車やバスやコンビニを見て、飲食店より安全と思う人はあまりいないのではないかと思います。飲食店は、動きようがありませんから、コロナが出た時に特定されやすいのでしょう。電車はバスは、どれに乗ったか特定するのは難しいし、コンビニも長居することはほとんどありません。しかし、人の流れが多いのは明らかに電車やバスやコンビニですから、リスクで言うなら、飲食店より低いということはまずないでしょう。

翻って、最近突然出てきた「自宅療養者」なる不可解な用語があります。この「自宅療養者」って何かと思って調べてみても、よく意味がわかりません。でも、最近死者が増えているとの報道があります。そうするとすでに5月には自宅療養の実施に関する留意事項というものがありました。冷静に読むと恐ろしい内容ですが、要するにコロナ軽傷者と判断されると、
「自宅療養に関しては、入院病床の状況及び宿泊施設の受入可能人数の状況や軽症者等の家庭の事情を踏まえ、必要な場合、軽症者等が外出しないことを前提に実施することになる。したがって、宿泊療養等の振分、実施方法を含め、軽症者等の療養体制に係る全体像について検討することが必要となる。」
のだそうですが、私はこれでも国語講師もしましたし、小論採点もしていましたし、今も論文添削をしていますが、この文章は何が書いてあるか、理解ができません。
ポイントは「自宅療養とは」「病院も」「宿泊施設も」「入れなければ」「軽傷者が外出しないことを前提に実施」「方法と全体像は」「これから検討ね」
ということのように読めます。合っているかどうか不安になりますが。役人文学というやつですかね。人の命がかかっているとはとても思えない文学作品です。ちなみに自宅療養の実施者の主語がありません。「実施する」とは書いていなくて、「実施することになる」となっているのは、そういうことでしょう。
こんな「感じ」の自宅療養者ですが、最近なくなっている人が増えているそうです。あのNHKでさえ報じざるを得ないところを見ると、隠しきれない(知らんぷりできない)くらいになっているのでしょう。
また、自宅療養者がコンビニに行かないということは難しいでしょう。この留意事項という不可解な文章では、自宅療養者に「配食サービス」なるものがあるようですが、
「1食当たり 1,500 円、1日3食当たり 4,500 円(いずれも配送費、飲料費を除く)を上限としている。」
「買うんかい!」って誰かつっこんでないのですかね?言い方を変えれば、1日4500円払って、自宅に自ら軟禁される、ということのように読めなくもない雰囲気です。そりゃ、無理でしょう。

冷静に見てみると、小学校から大学生(院生)まで、自分で望んで満員電車に乗っている人も、いるかもしれませんが、決して希望しない人もいると思います。この人たちには選択肢がありません。大学も対面授業に移行すると決まると、あとは、誰にも選択肢がなくなります。そういう教育機関が「だいばーしてぃ」というのは悪い冗談です。これは自宅療養者にも同じ事が言え、自分で選択できないのです。病院にも行けず、宿泊所にも行けず。自腹で、なんとなく自己責任で自宅軟禁しないといけない空気だけ出されるのです。制度を決める側が加害者とは言いませんが、選択肢を奪われた状態で電車、バスに乗って、通勤、通学をしている人たち、選択肢を奪われた状態で「自己責任型自腹セルフ自宅軟禁」を空気圧力で押さえられている人たち。不幸にもなくなる人も出ていますし、外出した人もいるでしょう。コンビニに行って食事を買う人もいるでしょう。世間様からは冷たい目で見られます。
被害者はこういった選択肢がない人々です。

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