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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

自粛から自衛?

2020年6月14日

テーマ:雑感

コラムカテゴリ:スクール・習い事

国全体のことでなく、東京のことなので、京都の人間がどうこう思うのも違うのかもしれませんが、現東京都知事は総理大臣と同等の人物であると、以前から書いてきましたので、少し言及します。この二人(及び狢仲間)に共通するのは、セリグマンさえ驚くのではないかと思うほどの日本人の学習性無力感の悪用に長けていることです。痛めつけるだけ痛めつけて、「諦めさせる」という手法は、現代社会においては斬新な手法でした。諦めてしまった一般人に対して、約束破りからスタートして、悪行も数え切れないくらい繰り返すと、過半数の人が忘れてくれるという「成功体験」がこれをさらに助長します。

前者は、経歴からもメディアを利用したプロパガンダの達人のようですし、後者はメディア最大手に、隠そうともせずに大量の税金を送ることで、プロパガンダをするという点でも同じです。こういった人々が各方面の政治のトップにいることは、この国の最大の不幸ですが、結局は国民や都民が選んでいるのですから、責任はこちら側にあります。
そのこちら側の責任を隠そうとも、オブラートに包もうともしない発言が、先日東京都知事が言った「自粛から自衛」です。元々語呂のいいことをカタカナ英語で言いたがる傾向のある人ですが、まさに「言語明瞭、意味不明」の言葉ばかりです。私からすると、「三密」も意味がよくわかりません。密教の三密から取ったのかどうかは知りませんが、3つを条件として考えるのではなくて、結局のところ、「他人に近づくな」と言っていることしか、頭をよぎりません。それにしても、「自粛から自衛」は語呂合わせだったのかもしれませんが、この人の性質を明確に表す言葉であったと思います。
このコラムは、私にとっても備忘録にもなっています。随分前に築地、豊洲問題がありました(あの時の都知事の迷走も皆忘れているでしょう)。このコラムでも触れましたが、東京都知事は「都民ファースト」と言っていました。もちろん、今は言いません。選挙ファーストです。当人が気づいているのか、ミスをしたのかはわかりませんが、自粛と自衛は似つかない言葉です。この方の軽率さはよくあることで「排除します」で大変なことになったこともあるくらいですが、この方の言葉のミスは、本音と本質を隠せず、前面に出してしまうところに出てしまいます。
自粛から自衛とは、そもそも関係がないのですが、実は似ている部分もあります。「自衛」とは、私が言うまでもありませんが、「他に頼らない」ことですから、他人から言われることではありません。自分で決めることです。他人から言われることではない点において、自粛も共通します。要するに「他人(公共)に頼るな」これがこの方の本音ということになります。今、言う必要あったのか?という疑問は十分に生じてきますが、いろいろお疲れなのかもしれません。しかし、国民全体が疲弊しているわけですから、別に政治家だけが疲れているわけではありません。それを政治家が一方的に、「公共に頼るな」と堂々と言ったわけですから、やっていることは、アメリカやブラジルと変わりません。自粛は、自分で誰でもやろうと思えばできますが、自衛ができない人はたくさんいます。アメリカ、ブラジル、そして総理大臣など、この種の政治家は、投票率の低さにつけ込んで、分断をすることで、得票数ではなく、40%の支持率を得ることを勝利とみなして生き残る、この手法が生命線の政治家です。分断の手法は各自少しずつ違いますが、差別心をあおっていることは同じです。全ての基準をマネーに求め、儲ける人と儲けられない人に分断をするところから始まり、儲ける人に寄り添い、さらに儲けるしくみを作るところに続き、そこから漏れた人を徹底的に差別対象とする。基本構造は皆同じです。アメリカは10万人を超える死者が出ているようですが、いよいよこの手法が限界に来ていると考えられます。アメリカ軍のあり方も憲法も知らない大統領が巻き起こした分断は、いよいよ国民を不幸に陥れていることに多くの人が気づき始めています。日本もそうなるのだろうと予測しています。世界地図と歴史が語るところによれば、分断は不幸しか生みません。また壁を壊す人々が現れ、そしてまた壁を作る人が現れるのでしょうが、一般人の幸せを願う分断はありません。政治の駆け引き、足の引っ張り合いに一般人が巻き込まれた事例しかありません。公共が呼びかける自衛とはまさに分断の推奨に他なりません。日本でもなぜ武士が台頭して、荘園がどうなって、自衛がどう生まれて、そして戦国時代になっていったかを考えると、公共が推奨する「自衛」という言葉の危うさが際立ちます。戦国時代にでもしたいのか、応仁の乱でも起こしたいのか。
都知事の言葉のフェーズが時代錯誤に変わりました。



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