第2回公認心理師試験問題分析①

井上博文

井上博文

テーマ:公認心理師試験対策

3月も後半に入って、そろそろ公認心理師試験の出願の時期です。延期されるのか、という問い合わせを時々いただくのですが、もちろん、わかりませんが、現時点では予定通りで考えて準備しておくと、万が一の延期があっても対応しやすいと思います。
最近よく質問を受けるのが、過去問の解説が少ないということです。是非、当塾の過去問詳解は質の良い解説になっています。かなりの知識が得られますので、ご覧いただきたいと思います。

あらためて、しばらく第2回試験の問題を見ていきたいと思います。

問1公認心理師の業務や資格について正しいものを1つ選べ。
①診断は公認心理師の業務に含まれる。
→もちろん含まれません。
②公認心理師資格は一定年数ごとに更新する必要がある。
→この問題はちょっと驚きました。もちろん、更新はありません。しかし、これが問題で出たということは、現時点では、更新は意図的にないということを意味しているようにとれます。これは別に法律に「更新しなくて良い」と書いてあるわけではなく、更新について何も触れられていないだけです。
③公認心理師の資質向上の責務について、罰則が規定されている。
→罰則規定はありません
④公認心理師が業務を行う対象は、心理に関する支援を要する人に限定されない。
→関係者も含まれますから、これが正解です。
⑤公認心理師以外でも、心理関連の資格を有していれば「心理師」という名称を用いることができる。
→これは名称独占資格であるので、この文字は使ってはいけません。

問2 統合失調症のデイケア利用者Aについてのケア会議で、スタッフBが「Aさんは気難しく、人の話を聞いていないので関わりが難しい」と発言した。Aには幻聴がある。
会議の中でBの発言に対する公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

この問題は選択肢次第の問題ですから、選択肢の日本語を正確に読まなければなりません。
主語は公認心理師です。
①スタッフに交代を提案する。
→それはないでしょう。
②専門職に困難はつきものであると諭す。
→もちろん、これもないでしょう。意味のない発言です。
③幻聴についてどの程度知識があるかを質問する。
→幻聴のことだけ知識があっても・・やはり違うでしょう。
④どのような場面で関わりが困難と感じるかを質問する。
→これは情報として必要です。また共有すべき情報でもあります。
⑤関わりを拒否するような態度は正しくないことを指摘する。
→これを指摘したら、どうなるのかがよくわかりません。
したがって④が正答でしょう。


問3
20 世紀前半の心理学の 3 大潮流とは、ゲシュタルト心理学、行動主義ともう 1 つは何か、正しいものを 1 つ選べ。
① 性格心理学
② 精神分析学
③ 認知心理学
④ 発達心理学
⑤ 人間心理学

前も言いましたが、今年はこの種の問題が多く、選択肢の日本語の問題で解ける問題が減りました。これだけでも難易度が上がったと言えます。これは②です。

問4
普通教育に適する子どもとそうでない子どもを見分けるための検査法を最初に開発した人物は誰か、正しいものを 1 つ選べ。
① A. Binet
② D. Wechsler
③ E. Kraepelin
④ F. Galton
⑤ J. Piaget

これは①です。今年はBinetさん大活躍でした。田中・Binet式知能検査が重要です。

問5
実験は実験者が操作する変数と観測される変数によって組み立てられるが、前者以外にも後者に影響を与える変数があることが多い。この変数は何か、正しいものを 1 つ選べ。
① 従属変数
② 剰余変数
③ 独立変数
④ 離散変数
⑤ ダミー変数

これは②だそうです。何も考えずに①かと思ったのですが、よく考えたら①は「後者」でした。

問6
順序尺度によるデータの散布度として、正しいものを 1 つ選べ。

① 中央値
② 平均値
③ 標準偏差
④ 不偏分散
⑤ 四分位偏差

これまた統計ですが、⑤です。


問7
量的な説明変数によって1つの質的な基準変数を予測するための解析方法として、最も適切なものを 1 つ選べ。
① 因子分析
② 判別分析
③ 分散分析
④ 重回帰分析
⑤ クラスター分析

これは②です。


問8プライミングについて、正しいものを1つ選べ。
①間接プライミングは、主にエピソード記憶研究で用いられる。
②直接プライミングは、先行情報と後続情報の間に意味的関連性が強い場合に生じる。
③プライミングは、絵などの画像刺激では生じず、単語などの言語刺激のみで生じる。
④プライミングは、先行情報が閾下呈示された場合は生じず、閾上呈示された場合のみで生じる。

これは長期記憶の問題です。解答は④です。そもそもプライミングとは長期記憶の非宣言的記憶に関する概念で、無意識に思い出される潜在記憶に属するとされます。

問9 ある刺激に条件づけられた反応が他の刺激に対しても生じるようになることを何というか、正しいものを1つ選べ。
①馴化
②消去
③般化
④シェイピング
⑤オペラント水準

学習言語心理学の問題で、古典的条件づけの知識を要します。正答は③です。正答率は90.3%でしたので簡単だったのかもしれません。次の10,11も同様ですが、ここまで日本語力で解ける問題は皆無です。それだけ今年は正確な知識が求められたということになります。

問10 社会的判断に用いる方略を4種類に分類し、用いられる方略によって感情が及ぼす影響が異なると考える、感情に関するモデル・説として、正しいものを1つ選べ。
①感情入力法
②認知容量説
③感情混入モデル
④感情情報機能説
⑤感情ネットワークモデル

感情人格心理学の分野です。正答は③です。



問11秩序や完全さにとらわれて、柔軟性と欠き、効率性が犠牲にされるという症状を特徴するパーソナリティ障害として、最も適切なものを1つ選べ。
①境界性パーソナリティ障害
②強迫性パーソナリティ障害
③猜疑性パーソナリティ障害
④統合失調型パーソナリティ障害

精神疾患とその治療の分野です。これは比較的簡単だったかと思います。②です。



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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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