コラム
反社の定義
2019年12月14日
この国の今の政府の恐ろしさは、随分前から言ってきました。少し前ついに来てしまった恐怖を書きましたが、とどまることはありません。今度は得意の閣議決定で、反社は「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的、かつ、統一的に定義することは困難だ」としたそうです。要するに「定義できない」ことを閣議で決めたと・・・これまで定義があったにも関わらず、自分の都合の悪い事案が出ると、こんな愚かしい閣議決定をしてしまう内閣は、もはやここから先は自分の都合だけで何でもできるので、恐怖以外感じません。独裁国家は時代ではなく「社会情勢」でできるのだと学習させられました。定義が「できない」とくると、当然続きの「だから」「故に」の文脈があるわけです。「だから総理大臣が気分で決める」というニュアンスが残されたわけです。これより先は、私たちは「誰でも反社にされる可能性」がこの閣議決定によって発生したということは忘れてはなりません。歴史はしっかり勉強しておくべきだと私は考えていますが、本当に歴史は繰り返されます。ユダヤ人はかつて大虐殺をされたわけですが、ユダヤ人とは、民族でも遺伝子でも肌の色でもありません。宗教で決まるのです。その定義に政治的が関わっていることは言うまでもありません。今の総理大臣は狙っていたのでしょうか?だとすれば、やはり恐ろしい話です。野党も質問内容によってはこんな馬鹿な閣議決定をする内閣であることくらい予測がつかない時点で、支持が得られないのも当然のことだと思います。当然、内閣は野党の質問のせいにするのでしょうから。
あとは、総理大臣がそんなことをする人格であるかどうかを一般人がどう考えるかの問題が重要です。
もちろん、私たちの日常生活に影響がなければ、殿上人だけが雅びなみやこで、蹴鞠でもしておいてくれれば、外で、承平天慶の乱がおきようとも「よきにはからえ」で結構ですが、この攻撃性の強い総理大臣を筆頭に、よきにはからえではなく、余計なことをするだけにとどまらず、やってはならないことを次々と繰り返されると、その先を想像するにろくでもないことしか待っていません。このあと、私たちの生活を良い方向に導いてくれると思っている人はどのくらいいるのでしょうか?よく支持率と言いますが、アンケートを取る人たちは、今の内閣が私たちの生活をこれからよくしてくれると思っているか、その根拠を選択肢にして、聞いてみると、今とは違った数字になると思います。研究者でこのような調査をしている人はいないのでしょうか?よく憲法改正反対とか、○○条の会みたいな集まりに、大学の先生がいることはありますが、まっとうな研究として地道な調査をしている人を私は寡聞にして知りません。是非とも社会学、政治学、経済学、法学など、社会科学系から研究成果が出ることを期待します。「ご飯論法」の先生もツイッターに加えて、しっかりと成熟した言論で人々に問いかけて欲しいと願っています。この国は政治家に優しい国民性ですから、生活に影響がなければ、政治家に期待する人などほとんどいないと思います。しかし、消費税を上げて、それをすべて社会保障に使うと(実際はそれさえ嘘なのですが)言う同じ口が「反社会」を定義できない・・・ちょっと衝撃的すぎて、コメントができない人があまりにも多いのではないかと思います。そのような声を拾うのは、もはや野党ではなく、研究者の仕事のはずです。
私は先日、合同会社コムニタス総合研究所を立ち上げたばかりですが、銀行で通帳を作るには審査があります(無事通っています)。前にも株式会社で作っているので、簡単にできるのかと思ったら、2週間かかりました。もちろん、反社でないかどうかも含まれた問い合わせです。定義は明確のはずです。大家さんのところにも法務局から問い合わせがあったそうです。大家さんが冗談でも反社だとか言ってしまうと、多分、会社設立も通帳を作ることもできないはずです。これからはこういった審査も調査も意味をなさなくなるのでしょうか?閣議決定したということは、法務大臣はこれを了承したということですから、もう滅茶苦茶です。社会に混乱をもたらすのが反社であるなら、「今の社会情勢に照らして」内閣こそが反社と定義できるでしょう。しかし、現実には、この閣議決定の最も恐ろしいことは、反社の定義は、この内閣が恣意的に決められるということです。定義が明確でないなら、どうにでもなってしまいます。メディアは、今の政権がそういうことをすると思うか、しないと思うか、嘘をつくか、つかないか、も支持率を問う時に聞いてみるのが良いでしょう。今の内閣の支持率ではなく、信用度調査に切り替えるべき時が来たと思います。
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