現任者講習#2
事例問題が続きます。おそらくは昨年と同じ配点なのだろうと思います。今年は昨年より難問が多かったので、合格点が少し下がる、配点が変わるとの予想がネット上で出回っていると聞きます(私はあまりそこには関心がないので見ていません)。しかし、主任に言わせると「そんなに難しいですかね?」とのことで、彼は8割以上は取れる問題だと見ているようです(彼ならということでしょうが)。トータルで昨年と比べて、そこまで難易度が上がったとは見ていないようです。ただ、私から見ると、難しくなったようには見えます。でも、それは「日本語力で解ける問題」が減って、正確な知識が必要な問題が増えたという意味で難易度が上がったということですから、心理学のテストというカテゴリーとして正確な意味では、難易度が上がったとは言えないのかもしれません。確かに心理学検定の方が難しい問題はたくさんあります。専門家の見方と、素人の見方では意見が異なることが多いということと、専門家から見ると、「このくらいはできて当たり前」という問題だったそうです。あまり振り回されない方がいいのではないかと思います。
問612歳2か月の男児A。Aの保護者は、Aの言葉の遅れと、視線の合いにくさが気になり、市の相談室に来室した。現時点では、特に家庭での対応に困ることはないが、同年代の他の子どもと比べると、Aの発達が遅れているのではないかと心配している。また、どこに行っても母親から離れようとしないことも、気にかかるという。Aの保護者からの情報とAの行動観察に加え、公認心理師である相談員がAに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
①WPPSI-Ⅲ
②CAARS日本語版
③新版K式発達検査
④日本語版KABC-Ⅱ
⑤S-M社会生活能力検査
正答は③です。ポイントは対象年齢で2歳2ヶ月に対応するテストということで、これも正確な知識が問われる問題です。この対象年齢で一覧表を作った方がいいかもしれません。
次回がどうなるかはわかりませんが、いずれにしてもテストの知識は必須です。公認心理師試験の問題は、私から見ても良問が多く、よく見ると、国が公認心理師に何を期待しているのかが見えてきます。それをつかむことが、公認心理師試験対策につながることは間違いありません。私個人はまだそこまでわかっていませんが、当塾の主任を筆頭とする解説作成チームはそのあたりのことをしっかり理解しているようです。
問6231歳の女性A。身体疾患により一時危篤状態となったが、その後回復した。主治医は、再発の危険性はないと説明したが、Aはまた同じ状態になって死ぬのではないかという不安を訴え、ベッドから離れない。病棟スタッフからはリハビリテーションを始めるよう勧められたが、かえって不安が強くなり、ふさぎ込む様子がみえたため、主治医が院内の公認心理師に面接を依頼した。公認心理師がまず行う対応として、最も適切なものを1つ選べ。
①心理教育として死生学について情報提供を行う。
②不安を緩和するためのリラクゼーションを行う。
③再発や危篤の可能性が少ないことを引き続き説得する。
④面接の最初に「あなたの不安はよく理解できる」と言う。
⑤死の恐怖とそれを共有されない孤独感を話してもらい、聞く姿勢に徹する。
キーワードは一時危篤状態からの回復、再発の不安、公認心理師がまず行う対応です。
①は論外です。②は微妙です。③も論外です。公認心理師がそんなことを言えませんし、説得する事柄ではありません。④微妙です。共感でしょうか。でも「面接の最初」が引っかかります。インテークということでしょうか?それとも単に初回面接という意味でしょうか?インテークは一回、初回だけとは限っていません。この問題は「まず」とあるので、違うのかなという印象です。⑤は死の恐怖は事例にありますから、否定しようがありません。それを共有されないことっもその通りです。事例の「ふさぎ込む様子」から「孤独」を持っているかどうかが論点でしょう。聞く姿勢に徹するを否定する余地はありません。おそらく②か④なのでしょうが、不安を緩和するためのリラクゼーションて、具体的に何か?と考えると、アロマ?という疑問がでてしまいます。「まず」アロマかと言われると、まずは聞いた方がいいだろう、ということで⑤を支持します。
問6332歳の女性。民間のカウンセリングセンターに電話で申し込んだ上で、来所した。申込時の相談内容には「夫婦の関係で困っている」と記載されている。インテーク面接を担当する公認心理師が自己紹介や機関の説明をした上で、具体的に相談内容を聞き始める際の発言として、最も適切なものを1つ選べ。
①今日は、どういうご相談でしょうか。
②どうして、ご夫婦の関係が問題なのですか。
③ご夫婦の関係についてのご相談ということですが、なぜここに相談を申し込まれたのですか。
④お電話ではご夫婦の関係で困っていらっしゃると伺いましたが、ご結婚はいつなさったのですか。
⑤お電話ではご夫婦の関係で困っていらっしゃるとのことでしたが、もう少しご事情をお話しいただけますか。
これはインテークと書いてありますから、その問題です。①は論外です。事例に「夫婦の問題」とある以上、それを無視した選択肢を選ぶ必要はありません。②も③も④聞くことはそれじゃないだろうって感じです。⑤しかないと思います。
問6475歳の男性A。総合病院の内科で高血圧症の治療を受けている以外は身体疾患はない。起床時間は日によって異なる。日中はテレビを見るなどして過ごし、ほとんど外出しない。午後6時頃に夕食をとり、午後8時には床に就く生活であるが、床に就いてもなかなか眠れないため、同じ病院の精神科外来を受診した。診察時に実施した改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉は27点であった。診察した医師は薬物療法を保留し、院内の公認心理師に心理的支援を指示した。Aに対する助言として、最も適切なものを1つ選べ。
①寝酒は寝つきに有効かもしれません。
②眠くなるまで布団に入らないようにしましょう。
③1時間程度の昼寝で睡眠不足を補ってください。
④健康のために、少なくとも8時間の睡眠が必要です。
⑤午前中に1時間くらいのジョギングをしてみましょう。
ちょっと伝説の問題になるのではないかと思いましたが、75歳で高血圧はよくありそうで、他は疾患がないとなると、まぁ一般の人です。夜8時に寝るとありますが、ちょっとはやいなぁ、くらいです。ポイントはHDS-Rですが、27点は認知機能に問題なしです。医師は薬物治療を保留しています。論点は「眠れないこと」これ一点と見ていいでしょう。①は論外以前に言うべきでないのではないかと思います。④は「眠れないって言ってるだろ」としかられそうです。⑤は、試験のあった8月なら、場合によっては違った意味で意識を失い、命に関わります。②か③になりますが、要は健康づくりのための睡眠指針2014 を見ていればわかるという問題なのでしょう。ここには「第10条眠くなってからふとんに入り、起きる時刻は遅らせない」とありますので②でしょう。
昼寝は眠れない人のためのものではなく、昼間に眠くなってしまう人のためのものとして記されています。しかも30分以内がいいそうです。
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