ピグマリオン効果
精神保健福祉法は、本名を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と言います。
今年のブループリントでも大項目13 障害者(児)の心理学の箇所と、23 公認心理師に関係する制度の二カ所でこの法律が出ていますので、間違いなく重要なキーワードです。 この法律の成り立ちと、関連する法律群は複雑ですので、特化した勉強が必要です。逆から言えば、これをしっかり勉強していると、紐付けされたトピックも回答できる可能性が高いと言えます。
北海道試験
問105 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律精神保健福祉法の入院に関する規定について、正しいものを1つ選べ。
これは、この法律について典型的な問題と言えます。
① 応急入院の入院期間は 24 時間以内に制限される。
② 任意入院者から退院の申出があったときは退院の制限はできない。
③ 措置入院は自傷他害の恐れのある精神障害者を市町村長が入院させるものである。
④ 医療保護入院者の退院請求は本人又は入院に同意した家族名が行うことができる。
⑤ 精神科病院の管理者は医療保護入院者の退院促進に向けて退院後生活環境相談員を選任しなければならない。
正答は⑤です。公認心理師過去問詳解 2018年12月16日試験完全解説版によれば、正答率は38.2%ですから、難問と言えます。言い換えると、このトピックは、臨床心理士の方々としては、あまり専門とは言いにくい分野で、精神保健福祉士は得意と言えるかもしれません。
9月9日試験でも
問58 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく処遇について、正しいものを2つ選べ。
という問題が出ました。同じく知識問題です
① 措置入院では手紙の発信が制限される。
② 任意入院の際は精神保健指定医の診察を要しない。
③ 患者を隔離する際は精神保健指定医の診察を要する。
④ 治療上の理由があれば、複数の患者を同じ病室に隔離することができる。
⑤ 身体的拘束を行った場合は、身体的拘束を行った旨、身体的拘束の理由、開始と解除の日時などを精神保健指定医が診療録に記載する。
これは不適切問題で、正解は②③⑤で2つ合っていれば正解です。これは勉強になるので、見ておいた方が良い問題です。
②の精神保健指定医とは、厚生労働省の認める国家資格であり、精神保健福祉法において精神障害者の人権を制限する非自発的入院・処遇のすべてにかかわる。任意入院とは、本人の同意による入院であり、非自発的入院ではないため、精神保健指定医の診察は要しないとされます。
精神保健福祉法は「精神衛生法」に遡ることができます。この「精神衛生法」は、適切な医療と保護を目的として1950年に制定され、その後、1987年に精神保健法と改名。1995年には、現在の名称に変更されました。精神保健福祉法とは、現任者講習のテキストでも記載がありますが、9章、57条からなり、附則があります。第1条は、この法律の目的ですが、
第1条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
と盛りだくさんの目的を持っています。
この法律を考える際に、まず障害者基本法も知っておきたいところです。.障害者基本法とは、1970 年(昭和45 年)に制定された「心身障害者対策基本法」が1993 年(平成5 年)に改題・改正された、障害者施策に関する法律です。2011 年(平成23 年)にも大幅な改正を受けています。
関連法が、「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「精神保健福祉法」「学校教育法」「障害者総合支援法」「障害者差別解消法」などで、本題の精神保健福祉法が含まれるということになります。2004年に公布、2005年に施行された発達障害者支援法もこの障害者基本法がベースにあります。
精神保健福祉法制定の背景・目的
精神科病院の不足や私宅監視といった社会的背景から、適切な医療と保護の整備の必要性をうけて、障害者衛生法が制定されましたが、地域精神医療の必要性や、人権擁護の観点から改正を重ねて現行法へと至りました。精神障害者の社会復帰・社会参加への援助や障害の発生予防を行い、精神障害者の福祉増進と国民保健の向上を図る、となっています。
第5条 精神障害者の定義
統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。
第6条 都道府県は、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関(以下「精神保健福祉センター」という。)を置くものとする。
この精神保健センターはテスト的に重要で、国ではなく都道府県が設置しているということです。
業務は次に定められています。
2 精神保健福祉センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
1 精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、及び調査研究を行うこと。
2 精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談及び指導のうち複雑又は困難なものを行うこと。
3 精神医療審査会の事務を行うこと。
4 第45条第1項の申請に対する決定及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第52条第1項に規定する支給認定(精神障害者に係るものに限る。)に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
要するに精神障害者保健福祉手帳の交付申請に対する決定や自立支援医療費の支給に関する事務を行うということです。
5 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(=障害者総合支援法)第22条第2項又は第51条の7第2項の規定により、市町村が同法第22条第1項又は第51条の7第1項の支給の要否の決定を行うに当たり意見を述べること。
6 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第26条第1項又は第51条の11の規定により、市町村に対し技術的事項についての協力その他必要な援助を行うこと。
精神保健福祉センター以外に、地方精神保健福祉審議会と精神医療審査会というものがあります。
第9条 精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項を調査審議させるため、都道府県は、条例で、精神保健福祉に関する審議会その他の合議制の機関(以下「地方精神保健福祉審議会」という。)を置くことができる。
2 地方精神保健福祉審議会は、都道府県知事の諮問に答えるほか、精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項に関して都道府県知事に意見を具申することができる。
第13条 精神医療審査会の委員は、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(第18条第1項に規定する精神保健指定医である者に限る。)、精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者及び法律に関し学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。
2 委員の任期は、二年
第14条 精神医療審査会は、その指名する委員五人をもつて構成する合議体で、審査の案件を取り扱う。
2 合議体を構成する委員は、次の各号に掲げる者とし、その員数は、当該各号に定める員数以上とする。
1 精神障害者の医療に関し学識経験を有する者
2 精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者
3 法律に関し学識経験を有する者
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