現任者講習#2
問14 集団思考〈groupthink〉に関する説明として、正しいものを1つ選べ。
今年はこのような知識を問う問題が多かったと思いますが、このような問題に対する対策は基本的にはなく、何が出るかはわかりませんので、幅広く勉強していないととりにくい問題です。こういった問題は、やはり心理学出身者の方が有利でしょう。この集団思考については、当塾の教材では、産業・組織心理学で言及がありますが、いくつかの分野で言及があってよい分野です。最近、駅伝で、骨折しながらも、文字通り這って次の走者にたすきを渡したという出来事があり、賛否両論飛び交いました。当然、周囲が止めないといけないですし、監督も止めるように訴えたそうですが、結果そうはならず、当該の選手はかなりのダメージをおってしまったようです。駅伝は、「心のたすきリレー」などといったキャッチフレーズも多く、自分がたすきをとぎれさせると、チームのそこまでのプロセスが終わってしまうというチームプレイです。非常に同調圧力が高くなりやすい傾向にあり、いわゆる集団浅慮がおこりやすいスポーツであり、責任感が強いと故障を隠して出走してしまうこともあります。
今回の問題は
① 集団内で同調圧が高いと感じるときに生じやすい。
② 集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れている。
③ 集団構成員間の親密性が低いとき、思考や発言が抑制されやすい。
④ 集団で課題を遂行すると、一人当たりの成績は単独で遂行するときよりも低下する。
⑤ 緊急時に援助できる人が自分以外にもいる場合、自分しかいない場合より援助行動が抑制されやすい。
という選択肢で、当塾の解説では、
集団思考とは、集団による意思決定が、かえって不適切な決定となることをいう。I.L. Janisが提唱した概念で、集団浅慮とも訳される。集団の凝集性が高い場合にメンバーが陥る思考様式であり、意見を一致させようという動機づけが、他の選択肢を現実的に評価する動機づけを上回ることで生じる。集団思考の兆候としては、集団の特長や斉一性に対して過大評価をすること、意見の自己検閲が行われ反対派に圧力がかかること、外集団に対する蔑視や外部からの情報の遮断等の閉鎖的な傾向をもつことがあげられる(下山晴彦(編)、誠信 心理学辞典[新版]、誠信書房、2014、p625)。
集団思考(groupthink)は、斉一化への圧力、不敗幻想、外集団のステレオタイプ化といった特徴を伴い、集団の凝集性が高く、状況が切迫しているときに生起しやすい(Janis,1982)(子安増生(編)、アカデミックナビ 心理学、勁草書房、2016、p155)
1.〇。集団思考の生じる先行条件に凝集性の高い集団であることが挙げられている。その他の先行条件には、外部の影響からの集団の独立、異なった行動方針の賛否両論を吟味する組織的な手順の欠如、明示的にある特定の行動方針への賛意をあからさまに示す指導者、高いストレスが挙げられている(リタ・L・アトキンソンら(著)、内田一成(監訳者)、ヒルガードの心理学、ブレーン出版、2002、p1253-1257)。
2.×。集団思考は、集団による意思決定が、かえって不適切な決定となることである。
3.×。集団凝集性の高い集団では、斉一化への圧力が生じやすい。つまり、集団構成員間の親密性が高いときに、思考や発言が抑制されやすくなる。
4.×。集団思考の説明ではなく、社会的抑制の説明である。
5.×。集団思考の説明ではなく、傍観者効果の説明である。
このように解説されていました。
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