心理職大全を書こうと思った動機②
最近、よく公認心理師と臨床心理士との相違点を聞かれます。正直なところ職域の違いを今の所明確に言うことはできません。厚労省が言う公認心理師の定義をみても臨床心理士にできないものではありません。いずれ、有国家資格者でないとできない職域ができるかもしれませんが、まだしばらく先のことになりそうです。
今のところあげられる両資格の相違点は、学修段階にあると言って良いでしょう。典型的なものを一つ挙げるとすれば、公認心理師は単位取得資格であるためか、卒論と修論が要件に入っていません。学部の場合、指定された単位を取得して「卒業」することになっていますが、卒論がないということについては、少し違和感があります。しかし、これは公認心理師資格取得には、研究はしなくて良いと言っているわけではなく、どちらでも構わないという理解になります。臨床心理士指定大学院の場合は、学部で卒論を書いて、その後大学院で修論を書くならば、最低2回は研究活動をすることになります。当塾でも、卒論や修論を書くために延長受講される生徒さんは少なからずおられます。取材する中で先生方がおっしゃるには、アカデミック性という意味では臨床心理士の方が高いということでした。その面から鑑みても、公認心理師は臨床心理士指定大学院に行くことを、最も重要な前提として想定し、創設された資格なのだろうと考えられます。創設に携わった、臨床心理士側の先生方の努力の結果なのだと思います。仮に臨床心理士指定大学院がなくなってしまえば、おそらく公認心理師として研究をする制度が生まれる方向に行くのではないかと想像します。ただ、難しいところとしては、臨床心理士としての研究指導を受けないまま公認心理師になる人がこれから生まれますから、臨床心理士の資格を持っている人に比べると、少し、質が落ちるのではないかという懸念もあります。具体的には言えませんが、臨床心理士指定大学院をやめて、公認心理師だけに特化することを考えている大学院は、すでにいくつかあります。心理職の質を担保するのは研究であると、考えておられる先生方はたくさんおられます。やはり、現段階では、臨床心理士として研究活動をしっかりしておくことが望ましいと考えられます。言い方を変えると、二つの資格を持っている人は、公認心理師として、実践的訓練を受けつつ、臨床心理士として研究指導を受けて、研究能力を養った人ということになりますので、これに該当する心理職が最もグレードが高いということになりそうです。
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