見ると見える
京都では8月になると、下鴨神社で古本市が行われます。いつもお盆と五山送り火とに併せて行われ、人が少なくなった京都の良い風情です。今年もどこかで行きたいのですが、微妙な状況です。古書の魅力は、良い本に巡り会えることです。できるだけ古書はインターネットではなく、本屋さんで見たいと思っています。私たちが言うところの良い本というのは、学術書の良い本ということになります。学術書の良い本とは、中味が濃くて情報量が多い本ということになります。ページ数の多寡と中味の濃さは必ずしも一致しません。しかし、見た目でなかなか情報量が多いかどうかを判断することは難しいですし、中を詳しく読んでみないとわかりません。確かに学術書の分厚い本は、必然的に情報量が多くなりますから、確率的にはこの意味で良い本が多いかと思います。
私自身の経験でもありますが、駆け出しのころは読んでも意味がわからないところが多すぎて、本の良し悪しの判断に至らないこともあります。逆説的なのですが、良い本は読んでから選ぶというよりも、先に出会ってから、それをしっかり読んで、勉強させてもらい、鍛えてもらうものなのです。その意味でこの記事は大いに参考になります。私自身も最初は先生から良い本を教えてもらい、それで鍛え、こういう本が良い本なんだと学びました。しかし、他にも良い本を選ぶ見方があります。それは目次と索引が充実しているものです。そういった本はお金もかかってますし(その分高いですが)、多くの人のチェックが入っています。それだけ、本を作る側がチームで良い本を作ろうとした証でもあるのです。だから間違いも校正段階で直される率があがります。文章も何度も見直されているケースが多いと思います。ただ、最近は、オンデマンドで出してしまう出版社もあるようです。ワードで作った文章を、組み版もせず、出そうとするところは、チェックも甘いと思います。初版からオンデマンドになっている書店は、本に対する思い入れが少ないのではないかと思ってしまいます。これは、紙媒体が下火になってから生じてきた現象です。こんな時代だからこそ、良い本を作ろう、と考える出版社と、できるだけ手をかけず(かけられる職人もいない)、ほとんどの責任を筆者に丸投げして、利益優先に考える出版社とに分かれているようです。今は、本の装丁も含めて見る必要がありそうです。これを一つの目安にして、古本市に行って、是非良い本を手にしてみてください。
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