質問と詰問

井上博文

井上博文

テーマ:思考方法

質問と詰問は違います。質問は、わからないから問うことです。詰問は、答えがわかっているのに、相手を責めるために問うことです。質問は問う意思がありますが、詰問は基本的に問う意思よりも責める意思の方が強くなります。人間関係を円滑にするのも、相手から何かを引き出すのも、気づきを与えるのも質問の方であって、詰問ではありません。詰問は、基本的にポジティブなものを生み出す可能性は低いと考えられます。質問は、うまく使うと、相手から良いものを引き出すことができます。詰問は、それを使う人の攻撃性が反映されることが多く、よくネット上でもありますが、「論破」という言葉を使う人が、その攻撃性の典型だろうと思います。例えば、「何で遅れてきたのよ!」という問いかけは、基本的には詰問です。これは、相手が遅れてきたという事実がすでに起こってから、生じた問いです。ここには、「あなたは遅れて来るべきではないのに、遅れてきて、私を待たせた。理由によっては許さない」という強い決意がにじんでいます。基本的にこんなことを聞いても、その回答はすべて「言い訳」になってしまい、「言い訳するな!」と火に油を注ぐことになり、(違った意味で)炎上・・と相成ります。どうも詰問する側が、自ら炎上と延焼を狙っているとしか思えないケースの方が多いという印象があります。
私は可能な限り(頭が冷静な限り)、この質問と詰問を使い分けるようにしています。正確には、詰問は使わないように心がけています。想定場面として、「どうして成績が上がらないんだ?」ではなく、「どうすれば成績が上がると思う?」と質問した方が、より具体的ですし、相手も回答の仕様があります。質問をする以上、相手に回答をさせることの方が重要です。良い回答が得られない場合、回答者の問題もあるにせよ、多くの場合、質問者にも問題があります。
私が院生の時、とある先生と朝一番で顔を合わせたのですが、その先生も話題に困ったのか(ということにしています)、
「井上さん、今日はどうですか?」と問われました。もちろん私の頭の中は「?」で埋め尽くされたわけですが、とりあえず「アイアムファインです」。と答えると、なぜか「ありがとう」とおっしゃって去って行かれました。この回答が正解だったかどうかは知るよしもありませんが、少なくとも何か答えを期待されたのだと思います。

一方、詰問は、たいていの場合、相手の答えを聞く意思がありません。詰問癖のある人のよくある会話で、「今日、何食べたい?」と聞きながら、「○○が食べたい」というと、「今日は△△を作ってる」「・・・」
じゃあ、最初から聞くなよ、と言いたくなるのですが、詰問癖のある人は、自分の興味のない質問をすることでトラブルを招くことも少なくありません。興味のあることを質問する能力を身につけましょう。


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井上博文
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井上博文(塾講師)

株式会社コムニタス

塾長以下、スタッフが、全ての生徒の状態を正確に把握している。生徒をよく観察し、成長度合、どのような不安や悩みを抱えているか、をしっかりと観察し、スタッフ間で情報共有をしている。

井上博文プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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