暴力に教養で応える
かのチャールズダーウィンは適者生存を主張しました。
すなわち、強い者が生き残るのではなく、変化に対応した者が
生き残ると言いました。いわゆる進化論の基本となる部分です。
大学での仏教の講義中で、よくアンケートをとるのですが、
最近多い問いかけとして、
「仏教の平和理念は理想論で、今の弱肉強食の世界では通用しない」
「弱肉強食世界で生き残る術が知りたい」
こんな声があります。
また中学生くらいの子どもを持つ親の方からも同様の話を聞きます。
誰が若者にこんな教育をした?と言いたくなる一幕です。
自然界も人間界も弱肉強食とは限りません。
適応することこそが大切なことのはずなのに、弱者を食べることを
是とすることをわざわざ教えて、どうしたいのかが不明です。
仏教的には諸行無常ですので、永遠の命などあり得ません。
だから、あらゆるものは、いつかは滅びるのでしょうが、
それとは別に、人間がこの世界で生きていくには、望む、望まざるに
関わらず、大小様々の社会の中で生きます。そうでないと、
人間の新生児は、自然界の中でも最弱の部類ですので、
捕食されずとも、自力で生きていけません。だから、コミュニティ全体で
子どもを育てていこうというアイディアが、システムとして構築されて
いったのです。自然界全体からみれば、赤ちゃんであろうと、
大人であろうと、高齢者であろうと、個人で見れば、皆弱者です。
日本は穏やかな気候の部類でしょうが、世界的にはもっと厳しい
自然環境で暮らしている人々はたくさんいます。本来弱者が
寄り合って、知恵を出し合って、様々なものを分け合ってコミュニティが
成立します。弱肉強食というのは、人間界を含む自然界の一面にすぎません。
虎は強いはずですが、絶滅危惧種もいます。
実際は、新生児をはじめとする弱者に眼差しを向け、手を差し伸べることが、
この自然界の中でヒトという種族が適者にさせたのです。
この事実に目を向けず、弱肉強食こそが、この世界であるという
偏った情報を事実であるかのように教えている人がいるなら
大変残念なことです。今の世相を反映しているのかもしれません。
あらためて事実に目を向けることが重要です。
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