自動化はいつになるのか―競争はアプリからボットへ―Ⅱ
[自分で工夫したり考えたりするように]
我々も、税務一辺倒から次のビジネスモデルを模索しなければ、この業界の明日はないな、と私は考えました。
そこで私は、副所長的な立場だったにもかかわらず、職員のみんなに
「これからは、いろいろな角度で自分の仕事を見直すように。新しい仕事の芽やチャンスといったものがないか、自分で工夫したり考えたりするように。」
といった方針を伝えたのです。
これには、彼らは一応に相当戸惑ったと思います。
今までと全く真逆のことを言われた訳ですから。「自分で考えるな。」と言われていたのが「自分で考えろ。」と、言われたのです。
仕事に関する様々な案件は、すべて父に聞き父の指示を受ければ事足りる、となっていた父の事務所では、こんな風に自分で考え、提案をした方がいいケース(2期比較決算書が打ち出せることを父は気付いていなかった。)でもそういう思考回路が働かなくなるのです。
これはある意味怖いことでもあります。
父もそこまで禁じていた訳ではないのに、職員の方で自主規制が働くか、思いつきもしないか、という事態にまで至ってしまうのです。
こういったことが高じてくると、非常に狭い範囲で想定内と想定外が形成されることになります。
ちょっとしたことは、すべて「想定外」に振り分けられ、自分たちとは関係のない対象としてスルーされることになります。
狭い範囲で済まされる「想定内」などほとんどあり得ない経営の世界において、このスタンスは致命的と私は思いました。
そこで、改革路線を打ち出したわけですが、それが困難を極めたのは言うまでもありません。
つづく