情報発信に関する方法論は格段に変化してきている―ビジネスモデルの革新について考える―Ⅲ
[現代は時間やお金を消費するための選択肢が増えている]
「商売というものが、ある定点に店舗を構え、そこで外部から訪れる客を待ち、その客に店側が予め取り揃えておいた商品を提示し、その商品の範囲の中から選ばせて、購入させる、というだけのビジネスモデルでは、やがて立ち行かなくなる。」
というのが、私が自分の著書の中で展開した論理でした。
この中で、私が触れた地方における商売の現状というのは、その不振の原因は主に過疎化の進む立地にあるとしたのです。
当時、今回のテーマであるネットとの競合という観点はまだありませんでした。
そのときは、ネット販売の潮流が、今回紹介したようなアメリカで起きている小売業全体に影響を及ぼすとは予想もしていませんでした。
まさか、これほど大きな流れとしてドミノ倒し現象が起きるとは考えてもいなかったのです。
昔は、とにかく商品を確保しそれをさばく店舗を経営しているだけで儲かっていた時代がありました。
人々がモノを求めて、手間や時間を厭わずに訪れてきたからです。
また、家族や友人と出かけるショッピングそのものが、人々の大きな楽しみの一つでもありました。
今でもその行為を楽しむ人の数が、それほど減ったとは思いません。
しかしながら、現代は時間やお金を消費するための他の選択肢も、かつてとは比較にならないほど増えています。
消費の対象はモノだけではなく、多くのコンテンツが選択可能な時代になっているのです。
それを現実のものとしたのは何といってもインターネットの登場でしょう。
インターネットを通じて、ショッピングばかりでなく他の様々なサービスを受けることができるのです。
手軽に済ませることが可能であれば、ショッピングに手間や時間をかけたくない、と思う人が一定程度出てくるのは不思議な話ではありません。
モノを売るばかりじゃ成り立ちません。
つづく