突破できるのか、業界の常識というハードル―業界の常識は世間の非常識??―Ⅰ
[他者に対して優位に立ったという記憶はなかなか消えない]
おそらく人は、本質的に誰かに対して「威張りたい、威張ってみたい」という、欲望を持つ動物なのでしょう。
だから例え一時でも、他者に対して優位に立ったという記憶はなかなか消え去らないものなのではないでしょうか。
私が思い出すのは、バブル全盛の頃、東京では「カフェバー」と名乗る飲食店や、「DCブランドショップ」というファッション系の専門店が大流行りだったことがあります。
この頃、そういった店舗やショップで働く従業員たちは、鼻持ちならないくらい客に対して上から目線でした。
まるで、下手(したて)に出たら人生の敗北にでもなるとでも思っているのかい?と見えるくらい、徹底して生意気に見えたものです。
そして現在どうかというと、さすがにそんな馬鹿な従業員たちはいなくなりました。
今はどんな人気ショップに行ったとしても、比較的端正に接客するようになっています。
考えてみれば、滑稽とも思えるあんな接客態度は、バブル当時のバカげた時代背景のなせる業(わざ)だったのでしょう。
このように、時として信じがたいほどのパワーを持った「成功体験」という魔物が世の中を席巻することがあります。
バブルというのはまさにそういう時代でした。
そんなときに、その狂ったような雰囲気に流されないように自分を保つのは、結構難しいことなのかも知れません。
とはいえ、ここで
「その『成功体験』という魔物がけしからんのだから、除霊するかのように努力をしてみなさい」
とか
「カウンセリングでも受けて潜在意識から消し去るように治療しなさい」
とか言っても無駄な話です。
過去の事実に向かってそのような努力をしてもエネルギーの無駄遣いに過ぎないでしょう。
それよりも未来へ向かって何をして行くかです。
つづく