根性が違う、100歳の経営者魂―店長を震え上がらせた祖母の営業トーク―Ⅰ
[完璧に売り手市場の中でのビジネス]]
車が急激に増えて、日本中にどんどん普及していった頃、車関係の仕事は完全な売り手市場でした。
そんな中で、一つ印象に残っているお話があります。
車の修理依頼が多くて毎日さばききれないくらい忙しかった頃(昭和の頃です。)のお話です。
仕事を終えようとしていた夕方、急な修繕依頼が飛び込んできたりすると、
「ちっ、しょうがないなあ・・」
と舌打ちしながら引き受けていた、というのです。
仕事を受けるのに舌打ちをする!!
驚くべき態度ですが、これは
「あの頃はそんな態度で仕事していたなあ・・」
と、懐かしそうにある車関係の社長さんが自分でおっしゃっていたことです。
また、あるブライダル関係の社長さんは、最も仕事が多かった頃は、
「さばききれない申し込みをいかに上手に断るか、いかにうまく平日の挙式に変更させるかが腕の見せ所だったよ。」
とおっしゃっていました。
式次第などもすべてこちらの言う通り、完璧に売り手市場の中でのビジネスだったのです。
これは私のお客さんに限らず、日本中がそんな「売り手市場」だったのです。
人々は様々なモノやサービスを求めて、それを提供してくれる相手、すなわち商工業者にいわばひれ伏していたわけです。
さてそれから、時代はすっかり様変わりしました。
モノは全国津々浦々、隅々までいきわたり、物質的な渇望という状況はなくなりました。
また、日本の場合特に、サービスはかなり質の高いレベルでなければ支持されないようになってきたのです。
つまり、買う方が主導権を握る時代、「買い手市場」の時代へと変化してしまったのです。
ド派手なウエディングは影をひそめて・・・・
つづく