地域企業の儲け方 ― 地元で20余年、儲かるためにやるべきこと ―Ⅰ
[夏草や兵(つわもの)どもが夢のあと]
という訳で、いろいろと調査した私たちでしたが、さすがに2億円のリゾート会員権のニーズはあり得ず、どちらかといえば散々の結果でした。
クライアントさんには申し訳ないのですが、ほぼ予想通りだったと言えます。
それまで、あまりネガティブなことは書かないのが私たちのレポートの特長でした。
しかしながら、このときばかりは手放しで肯定はできなかったことを覚えています。
その後、バブルがはじけたため、この夢のようなリゾート計画は頓挫してしまいました。
とはいえ、地元への約束もあったのでしょう。
完全撤退という訳にはいかず、かなり規模を縮小して、当初の予定とは似ても似つかぬ形態で進められたようです。
結果的に、子供たちの学習体験施設として開発されたと聞いています。
バブリーで荒唐無稽なリゾート開発に比べれば、よほど健全な形に落ち着いて、却って良かったといえるかも知れません。
結局、私たちのマーケティングリサーチの会社は、あんなに力を入れてヒアリングし、レポートを提出したにもかかわらず、その開発プロジェクトの完成した姿は見ずじまいでした。
今、あの仕事を振り返ってみると、なんだか、芭蕉の「夏草や兵(つわもの)どもが夢のあと」という句を思い起こさせます。
バブルがはじけたあと、日本中にこんな風に頓挫してしまったリゾート開発の瓦礫のような施設が見られたのではないでしょうか。
特にゴルフ場開発などはひどいものでした。
今、インバウンドの外国人客を想定した施設の拡充があちこちで進められています。
今度はきちんと洗練された計画のもとに、昔のような馬鹿な轍を踏まないことを祈るばかりです。
その後もいろいろな仕事を依頼されましたが、これが、私たちが手掛けた案件の中で、当初、最もプロジェクト費用の巨大なものだったのです。
リゾート計画は頓挫
おしまい