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コラム
親の愛というもの―本当の「愛」なのかを考える―Ⅱ
2017年12月30日
「コントロール」という言葉が物語るように、これは母親のエゴです。
親は子に対して愛情は注いでも、「コントロール」下に置くべきものではないことは明らかです。
娘にとって不幸なのは、母親が自分をコントロールしようとしていたことに気付くのは、大人になってからがほとんど、という点なのです。
つまり、あまり判断力のない子供のうちに散々父親の悪口など言われても、子供はそれをどう消化していいかわからないはずです。
そこで戸惑うばかりの娘側の不幸を思うと気の毒としか言いようがありません。
それでも冒頭に書いたように日本では、親の愛というものは特別なものであり、中でも母親の愛は「無償の深い愛」である的な表現がされてきたのです。
「無償の愛」なのだからエゴイスティックな感情など入り込むはずがない、という価値観なのです。
しかし一方で、人間は自らが元々持っている価値観からはそう簡単に離れられるわけではない、といった研究も進んできています。
「無償の愛」的な画一的な価値観に対しては一定の疑問を持ち、冷静に距離を置いて考えるべき時期に来ているのかも知れません。
そういった美辞麗句的捉え方が、本質的な問題把握の機会を遠ざけてきたかも知れないのです。
またこの問題の背景には「年長者のいうことには逆らってはいけない。」といった儒教的な価値観も垣間見えるような気もします。
だいぶ薄れてきたとはいえ、母親の言いつけは守るべきだ、という呪縛にも似た基本的な考え方は日本人の奥底には消えないで残っているのかも知れません。
こんな風に、母親の愛はひたすら子を思ってのことでありエゴイスティックなものであるはずがない、また子供はその人生の先輩たる母親に逆らうものではない、といった2重の呪縛にがんじがらめにされているのが、この特集に取り上げられている子の世代なのでしょう。
特に同性である娘に対しては、母親のエゴがストレートに反映されるようです。
読売新聞のカウンセラーは、次のように結論付けている。
― 子育てが難しい、夫と意見が合わないなど、家族関係に問題を感じたら、こうした親子関係が原因の可能性もある。
その場合、親と距離を置くことが不可欠 ―
「親と距離を置く」などという言葉には、おそらく抵抗を感じる人たちもいるかも知れません。
しかし、これはより大きな不幸を回避するための現代人の智恵なのです。
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