顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅲ
ところが、成長発展したいといろいろやっても、今の経済状況ではそれがなかなかうまくいくはずもありません。
昔のように循環型の景気変動ではないので、待っていても好景気が戻ってくるわけではないのです。
これまで同族経営の中で、会社に突っ込んできていた社長の個人資産もそろそろ底が見えてきた。
背に腹変えられない状況が迫ってきた。
仕方がないからできるだけ経費を削減してスリムなスリムな経営にもって行かざるを得ない・・・。
これが、今の中小企業経営者の置かれている現状ではないかと思います。
こんな状況の中、いつの間にか表だって大きな声では言えなくなったこの事業における「成長への願望」を私は顧客の「ウォンツ」と呼びたいのです。
業績の低迷があまりに長く続いたために、この「成長への願望」は、経営者の意識の後ろへと潜(もぐ)り込んでしまいました。
それは経営者における「潜在的なニーズ」つまり『ウォンツ』となってしまったのです。
それでも私は、会社を成長発展させる目途さえ立てば、それを実行することに反対する経営者はいないはず、と信じています。
また、どうしてもそう思えないという人は、あまり経営者に向いているとは言えないので、別の道へ身の振り方を考えるべきでしょう。
つづく