補助金ってなんだろう?―その本質と現実について考える―Ⅲ
以前、テレビの特集で国の補助事業について取り上げていたことがありました。
そのときは、風力発電の補助事業についての特集でした。
風力発電はクリーンエネルギーということで、全国的に補助事業として普及しました。
ところがこれが全国で全事業の60%が赤字ということなのです。
何故そんなことになったのでしょうか?
テレビではそこのところを重点的に取材していました。
結論からいえば当初の目論見通り採算が取れなかったのです。
風の力が弱くエネルギー交換の効率が思ったほどではなかったとか、雷による損傷が予想以上だったとか、信じられないようなお粗末な原因が挙げられていました。
何故そんな甘い見込みで事業を始めてしまったのでしょう?
何故見込み違いが起こったのでしょうか?
なんとその原因の一つは「補助金」にあったのです。
風力発電は、初期の設備投資費用を国が半分肩代わりしてくれていました。
つまり風力発電事業に手を挙げた地方自治体に補助金をつけてくれたのです。
その結果どうなったか?
自治体はこんな風に考えました。
もともと予算5千万円で事業を始めようとしていたとします。
そこへ国が費用を半分負担してくれることになったので、手出しが2千500万円で済むことが分かったのです。
そこで、自治体は、負担が減った、こりゃあ良かった、助かった!・・・とは考えませんでした。
半分くれるんなら当初の出費の5千万円は変えずにプラス5千万円もらって1億円の事業にしてしまおう、と考えたのです。
その結果、事業規模が自治体の管理能力を上回ってしまい、その後の維持費、修繕費、メンテナンス費がかさんでにっちもさっちも行かなくなってしまった、という結末なのです。
ランニング費用が計算できなかったという訳です。
できるだけ沢山他人にタカってやろう、というさもしい根性がこんな結果を生んだのです。
つづく