顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅱ
それぞれの分析の具体的な事例として、私の仕事である「税理士」という職業をサンプルとして当てはめたいと思います。
第1段階は、現在既に存在している一般的なニーズです。
例えば、ものを食べない人はいないし、服を着ない、家に住まないという人もいません。
これらは誰もが理解できる一般的な市場であり、ベースとしての需要もあるのでビジネスの土壌は大きいといえましょう。
その代わり多くの人が参入するので競争は厳しいものとなります。
人は必ず食事をします。
飲食店の開業が多くみられるのも、参入が比較的容易だからです。
一方でよく知られているように廃業撤退が早いのもこの分野です。
一般的なニーズというのは、私の仕事でいえば、世の中の中小企業の帳簿を整理したり、決算を組んだり、税務申告書を作成し、税務署やその他の役所に申告を行なう業務を指します。
日本の場合、納税者自身による自己申告が基本的な制度となっているので、事業を行なっている限りこれを避けることはできません。
したがって、日本の事業者の99.7%を占めるという中小企業の記帳や申告をサポートする仕事は、一般的なニーズとして日本中どこにでもあるといっていいでしょう。
こういうベースがあるので日本の津々浦々、税理士及び税理士事務所が存在するわけです。
これが税理士における一般的なニーズといえましょう。
つづく