顧客ニーズとウォンツについて―顕在化した需要と潜在的需要について考える―Ⅱ
考えてみれば、私たち夫婦も介護施設に入っていた祖母(私たちは孫とその嫁)のために介護用品専門店に特別仕様の室内履きを買いに行ったことがありました。
狭窄症で歩行困難になった母のために、同じ店に歩行補助器を探しに行ったのも私達でした。
こんな風に、介護が必要となったときには、それを使う本人たちよりもむしろ周辺にいる誰かが配慮なり手配して購入するケースがほとんどでしょう。
中でも、子供が親のために手配するというケースが最も多いのではないでしょうか。
しかも、介護が必要になる年齢に親が達している場合、子供もすでに独立して別生計を立てているケースがほとんどと考えられます。
その場合、遠く離れて暮らしているとしても珍しいことではありません。
そうなれば、介護用品が必要となったとき、インターネットで手配できればこんな便利なことはないのです。
遠く離れて住む子供が、親のために遠く離れた業者に手配を頼む、というのは普通に行なわれることなのです。
デリバリー費用に問題がなければ、親の住む地元の業者である必要すら特にありません。
適正な費用で無事配送してくれれば、どこの業者であろうがOKなのです。
こういったケースは他にいくらでも考えられます。
現在のように、物流のシステムが高度に発達した世の中では「もの」の手配というのは、エリアの範囲にあまり関係なく行われます。
つまり、ビジネスのタイプによってはエリアという概念は全く関係なくなりつつあるのです。
つづく