地域企業の儲け方 ― 地元で20余年、儲かるためにやるべきこと ―Ⅰ
しかし、これらオーディオの世界におけるこの大きな変化は、事前に明確な消費者ニーズ、「こんなものがあればいいのになあ。」と具体的に考えていた訳ではなかったのです。
前述のように、当時はデカいLPレコードを当り前と思っていたし、その音質についても特に大きな不満があった訳ではありませんでした。
つまり、CDとCDプレーヤーの出現は、技術革新によるものであり、開発された商品コンセプトの方が、時代のニーズをリードしていたのです。
マーケティングからフィードバックされたものではなかったのです。
開発されて初めて人々は
「コンパクトで取り扱いやすく、音質がいいというのはこんなにも便利ですばらしいことなのか。」
という「ウォンツ」があったことに気付いたのです。
この技術革新によって後付けで新たな消費者ニーズが形成されました。
すぐに、CDラジカセという新しいオーディオ機器が出現しました。
この持ち運び自由でコンパクトなデザインのオーディオはLPレコードの時代には考えられないものでした。
CDはLPレコードに比べて収納が格段に楽になったのです。
しかしながら、このCDも携帯して聞くには少しかさばりすぎました。
そこで出てきたのが「MD」です。
MDはCDをさらにコンパクトにした名刺を正方形にしたくらいの大きさでした。
携帯するには便利であったがその商品寿命は意外に短かいものでした。
中途半端なその大きさは、市場の大きな支持を受ける前に廃れてしまったのです。
MDが廃れたのにはもう一つ大きな理由があります。
音楽は「配信事業」が主流になったからです。
コンパクトさを競うという点では、「配信」は限りなく0に近い訳であるからMDといえども敵うはずがありません。
つづく