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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

特別な配慮が必要なのは、決して学校教育だけではない

2015年7月10日

テーマ:発達障害を考える

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

7月8日の神戸新聞NEXTに興味深い記事が載っていました。
それは
発達障害児8年で6倍 認知拡大、教員確保が課題という記事です。

特別な配慮が必要な子どもの数が激増

兵庫県内の公立小中学生のうち、
通常学級に在籍しながら発達障害の可能性があるため、
特別な指導を受けている児童・生徒が2014年度、1565人に上り、
なんと8年間で約6倍に急増したことが兵庫県教育委員会への取材で分かったとのことです。

これには驚きました。数が増えていることは実感としてわかってましたが、まさかこれほどだとは。

さらに少子化に伴い、教職員の削減をもくろむ財務省に対し、兵庫県教委などは
「通級指導へのニーズは高まっている。子どもの特性に合わせ、教員を増やして授業を行う必要もある」と国に教員配置の充実を求めているということです。

もっともですね。

しかし学校教育の問題だけではない

しかし考えてみれば、義務教育年で特別な配慮が必要な子どもが激増しているということは
決して学校教育だけの問題ではないのです。
今は子どもであっても数年経てば彼らは青年になり、更にその後は社会人となります。
そう考えると今後問題となるのは、「大人の発達障害者」の問題です。

私はスクールカウンセラーとして、特別支援学校から、小学校・中学校・高等学校・さらに大学では学生相談に携わっています。さらに自営のカウンセリングルームでは大人の発達障害の方々と関わらせていただいています。
ですからあらゆる年代を通して発達障害による生き辛さは続くのであり、問題は決して学校教育年代だけでは済まないことを実感しています。

学校教育の期間よりも、卒業後の社会生活の期間の方がはるかに長いことを考えると、
むしろ大人になってからの問題の方が深刻だとも言えるのです。

さらに問題は当事者だけにとどまらない

さらに問題は決して当事者だけにとどまりません。

もちろん当事者の生きづらさや困難に対する特別な支援・配慮は欠かせませんが、
先に述べたように当事者が社会人となり社会生活を営むようになれば、
例えば彼らの特性を生かした職場の受け皿や社会の側の構造的なサポートは今まで以上に必要となってきます。

また当然青年期になれば異性との関係の持ち方や性の問題が課題になるでしょうし、
就職すれば職場での人間関係に当事者だけでなく、周囲の側が悩むことも増えてきます。

さらに家庭を持った場合は、当事者だけでなく、
カサンドラ症候群と呼ばれるようなパートナーの心理的な影響も問題となっています。
パートナーへのサポートも必要なのです。

またあまり表には出ていませんが、独特の子育てを通じた、子どもへの影響も考えなければならないのではないか、と私は考えています。

決して問題は当事者だけにとどまらないのです。

このように当事者にとどまらない、彼らを取り巻く社会の側まで含めた多岐にわたる問題を考えた時、
特別な配慮が必要な生徒児童が激増したという事態は、
社会が真剣に、そして深刻に、長期の、そして幅広い対応を考えなければならない時代がきているのだ、ということを示しているのではないでしょうか。

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