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岸井謙児

カウンセリング歴35年、経験と信頼のカウンセリングのプロ

岸井謙児(きしいけんじ) / 臨床心理士

カウンセリング・オフィス岸井

コラム

これもじっくりかみしめたい子育ての格言「三つ心、六つ躾・・・」

2014年7月31日

テーマ:子どもとどう接すれば良いか

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

昨日に引き続き、これまた含蓄のある子育ての格言を紹介します。

「三つ心 六つ躾 九つ言葉 十二文(章) 十五理で 末決まる」

う~む、なるほど。
それぞれの年代において大切な内容を簡単に表していますね。

「三つ心」と言うのは「世の中は自分を守ってくれている」「自分は世の中に愛されるだけの価値のある存在だ」という安心感のことでしょう。この時期までに心の中に安心感が芽生えていることが、その後の人生や人間関係に対する安定感を産み出してくれるとも言えます。

「六つ躾(しつけ)」
これも的確な言葉ですね。3歳ぐらいから芽生えた自信をもとに5歳ぐらいまでに育ってきた「万能感」を学校教育に参入することで「少しずつ諦めていく」経験が現実感を育ててくれます。

「九つ言葉 十二文(章) 十五理」
これまた言い得て妙。

「言葉」と「文章」と「理」は微妙に違うのですね。
どういうことだろうか、と私なりにいろいろ考えてみました。

まず9歳での「言葉」は、ちょっと難しく言えばピアジェと言う学者によれば、言葉でものごとを論理的に考えられるようになる、と言うことになります。ものごとを理屈で理解する力を身に着けることが課題。

ぐずぐずすねて、甘えるのではなく「自分はこうしたい。でもそれがこういう理由でできないから、悔しい」などと<言葉で自分の気持ちを筋道たてて表現すること>は大人への入り口です。

しかし思春期に入る12歳頃になると、その言葉が目の前の出来事だけでなく、「もしこうだったらどうなるだろう?」と仮定の話として膨らませることができるようになります。ピアジェはこれを難しい言葉で「形式的操作」なんていう風に言っているようです。

人間関係の中では、自分から相手への一方的なものではなく
「こうした方が良いと思うがあなたはどう思う?」とか
「こういうことをすれば相手の人はどう思うだろう?」のように、
<周囲の人との関係の中で「語られる」ものになること>が課題だ、ということではないでしょうか。

そして15歳の「理」とは、そういう周囲の人の思いや関係を踏まえたうえで、さらに
<自分なりの価値観に従った考えを持つことができるか>、
さらに<それに従って行動できるか>という自立の課題を表しているのでしょうね。

ピアジェなんて難しい名前を持ち出さなくても、昔の人は人間は普段の生活の知恵として子どもの発達をとらえていたのですね。

皆さんはどう思われますか?

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