【親子問題】子に貸したお金を返してもらいたい|「もらった」と言われたときの整理と請求の進め方
この記事は、18歳以上の成人した子が精神科・心療内科などへの通院を自分の判断でやめてしまった場面を想定しています。2024年4月施行の改正精神保健福祉法(市町村の相談支援の対象拡大)の内容を反映しています。
「薬が合わない」「もう治った」と言って、子が通院をやめてしまった。その後、昼夜が逆転したり、部屋にこもる時間が増えたり、家族への当たりが強くなったりして、親としてどうにか通院を再開させたいと考えるのは自然なことです。
一方で、成人した子の通院は、最終的には本人が決めることでもあります。親が焦って強く迫るほど、かえって受診から遠ざかってしまうこともあります。この記事では、通院をやめた子に対して家族ができること、家族だけで使える相談先、急いで動くべき場面を順に整理します。
通院をやめた理由を、まず確かめる
通院をやめる理由は人によって異なります。理由によって、家族が手伝えることも変わります。よく聞かれるのは次のような理由です。
- 薬の副作用(眠気、体重の増加、だるさなど)がつらい。
- 通院の費用や交通費が負担になっている。
- 医師との相性が合わず、話を聞いてもらえないと感じている。
- 症状が落ち着き、もう通わなくてよいと思っている。
- 病気だと認めたくない、薬に頼りたくない。
- 外出そのものがつらく、予約の時間に家を出られない。
たとえば副作用が理由であれば、薬の種類や量を医師と相談し直すことで再開しやすくなることがあります。費用が理由であれば、公的な負担軽減の制度を調べることができます。「なぜ行かないのか」と問い詰めるのではなく、「何がつらかったのか」を聞く姿勢のほうが、本人の本音を引き出しやすくなります。
なお、処方薬を自己判断で急にやめると、体調が不安定になることがあるとされています。本人が服薬もやめている場合は、その点も含めて医療機関や相談窓口に早めに伝えておくことをおすすめします。
成人した子の通院は本人の意思が前提になる
成人した子には、治療を受けるかどうかを自分で決める権利があります。親であっても、本人の意思に反して病院へ連れて行くことはできません。家族が力ずくで車に乗せたり、民間の業者に依頼して連れ出したりすると、状況によっては逮捕・監禁などの罪や損害賠償の問題になるおそれがあります。この点は、【親子問題】本人の同意なく連れ出すことが違法とされる理由|親の依頼では代わりにならないで詳しく解説しています。
また、医療機関には守秘義務があり、個人情報保護法のもとでも、本人の同意なく家族に診療内容を伝えないのが原則です。親が主治医に問い合わせても、病状や通院の状況を教えてもらえないことがあります。ただし、これは「家族から医療機関へ情報を伝えること」まで妨げるものではありません。この違いは、後で述べる主治医への連絡で大切になります。
通院の再開に向けて家族ができること
受診までのハードルを一つずつ下げる
通院をやめた理由が分かったら、その理由を一つずつ取り除くことを考えます。予約の電話を家族が代わりにかける、病院まで車で送る、待合室まで付き添うと申し出るなど、本人が「それなら行けるかもしれない」と思える形を探します。付き添いを嫌がる子もいますので、申し出はしても、断られたら引き下がる余地を残しておくことが大切です。
医師との相性が理由であれば、別の医療機関に変えるという選択肢もあります。「前の病院に戻る」より「新しい病院で一度話してみる」ほうが、本人にとって受け入れやすい場合があります。
費用が理由であれば、精神科の通院医療費の自己負担を軽くする「自立支援医療(精神通院医療)」という制度があります。原則として自己負担が1割になり、所得に応じて月の上限額も設けられています。申請の窓口は市区町村です。
主治医や医療機関に家族から情報を伝える
前述のとおり、医療機関から家族に診療内容を伝えることには制限がありますが、家族が医療機関に家庭での様子を伝えることはできます。通院をやめたこと、服薬の状況、家庭での言動の変化などを、日付を添えてメモにまとめ、手紙や電話で主治医に伝えておくと、本人が再び受診したときに治療方針を考える材料になります。医療機関によっては、本人が来院しない段階での家族相談を受け付けているところもあります。
家族だけで相談できる公的な窓口を使う
本人が受診を拒んでいても、家族だけで相談できる窓口があります。保健所(保健センター)や都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターでは、家族からの相談を受け付けており、受診の勧め方や利用できる支援について助言を受けられます。地域によっては、保健師などが自宅を訪問する支援につながることもあります。
さらに、2024年4月に施行された改正精神保健福祉法では、市町村が行う精神保健の相談支援について、精神障害のある方だけでなく「精神保健に課題を抱える方」も対象にできることが明確にされました。診断がはっきりしない段階や、通院が途切れている段階でも、市町村の窓口に相談しやすくなっています。窓口の使い方は、【親子問題】重層的支援体制整備事業とは|市町村窓口の使い方もあわせてご覧ください。
声のかけ方で気をつけたいこと
通院の話を持ち出すときは、言葉の選び方によって本人の受け止め方が大きく変わります。次の表は一つの目安です。
| 避けたい言い方 | 伝えやすい言い方 |
|---|---|
| 「病院に行かないからおかしくなるんだ」 | 「最近眠れていないように見えて心配している」 |
| 「薬を飲まないなら家にいさせない」 | 「薬で困っていることがあれば、先生に一緒に相談したい」 |
| 「いつまでこんな状態でいるつもりか」 | 「行けそうな日があれば、送っていくよ」 |
本人の行動を責めるのではなく、親自身が見て感じたことを「私は心配している」という形で伝えると、本人が身構えにくくなります。一度の声かけで結果を求めず、断られても間をおいて何度か伝える、という構えが現実的です。
急いで動くべき場面
通院の再開は時間をかけて取り組むことが多い課題ですが、次のような場面では、家族だけで抱えずにすぐに外部へ連絡することをおすすめします。
- 「死にたい」と繰り返し口にする、または自分を傷つける行為がある。
- 家族に暴力をふるう、刃物を持ち出すなど、身の危険を感じる。
- 何日も食事や水分をとらず、体の状態が心配される。
- 現実にはない声が聞こえるなど、本人の言動が急に大きく変わった。
差し迫った危険があるときは、110番や119番に連絡します。夜間や休日に精神科の受診先を探すときは、各都道府県が設けている精神科救急の相談窓口を利用できます。時間帯別の相談先は【親子問題】夜間に子が暴れたときの相談先|時間帯別の窓口で整理しています。
状態によっては、精神保健指定医の判断で入院となる場合もあります。家族が入院への同意を求められることもありますので、その意味については【親子問題】医療保護入院の同意を求められた|家族が同意することの意味を参考にしてください。
暴力や金銭の要求が重なっているとき
通院が途切れた時期と重なって、家族への暴力や金銭の要求が強まることがあります。こうした場合、通院の再開だけを目標にすると、家族の安全や生活が後回しになりがちです。まず家族の安全を確保し、暴力や金銭要求への対応と、医療につなぐ取り組みを分けて考えることが大切です。
当事務所では、弁護士が親の代理人として子との窓口になり、暴力や金銭の要求から親を守る対応をしています。あわせて、民間の自立支援カウンセラーとチームを組み、生活の立て直しや通院のサポートなど、日常的な支援をカウンセラーが担う形で取り組んでいます。弁護士が通院を強制することはできませんが、親子が直接ぶつかる場面を減らすことで、本人が医療に向き合いやすい状況をつくれることがあります。サービスの内容は、【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
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まとめ
通院をやめた子に再開を促すときは、理由を確かめ、受診までのハードルを下げ、家族だけでも使える窓口を活用することが出発点になります。成人した子の通院は本人の意思が前提となるため、無理に連れて行くのではなく、本人が戻りやすい状況を整えることに力を注ぐほうが、結果として近道になることがあります。暴力や金銭の要求が重なっている場合は、家族の安全を先に確保したうえで、医療につなぐ取り組みを並行して進めることをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


