【親子問題】子がネットで知り合った人に呼び出されて家を空けている、心配なときは?

若井亮

若井亮

テーマ:親子問題

この記事は、2026年10月時点の法令をもとに、一般的な考え方を整理したものです。個別の事情によって取れる手段は変わりますので、具体的な対応は専門家にご相談ください。


「最近、夜になるとスマホに連絡が来て出かけていく」「ネットで知り合った人に会いに行くと言って、何日も帰ってこない」。お子さんの様子にこうした変化があると、親としては相手が誰なのか、危ない目に遭っていないかと不安になるものです。

 一方で、問い詰めたり外出を力で止めたりすると、かえってお子さんが親に何も話さなくなり、状況が見えなくなることもあります。また、お子さんが18歳未満か成人しているかによって、親が法律上関われる範囲は大きく変わります。

 この記事では、子がネットで知り合った人に呼び出されて家を空けている場合に、まず確かめたいこと、年齢ごとに親ができること、危険の兆しがあるときの相談先を順に整理します。

まず落ち着いて確かめたい4つのこと


確かめること確かめておく理由
お子さんの年齢(18歳未満か、成人しているか)親権者として関われる範囲や、相手に問われうる責任が変わるため
外出・外泊の頻度と、連絡がつくかどうか日中の外出と、深夜の外出や連絡が途絶える外泊とでは、急ぐ度合いが違うため
呼び出しの中身(会う、仕事、お金、勧誘など)交際なのか、仕事や勧誘を装った呼び出しなのかで、警戒すべき点が変わるため
気になる変化(金銭の出入り、持ち物、けが、怯えた様子など)事件やトラブルに巻き込まれている兆しかどうかを見極めるため


 ネットで知り合った相手と会うこと自体は、今では珍しいことではありません。心配の大きさは、相手が誰かよりも「何のために呼び出されているのか」「お子さんが自分の意思で断れる状況にあるのか」によって変わってきます。上の4点を、分かる範囲でメモにしておくと、その後の相談がスムーズになります。

子が18歳未満の場合 親権者として動ける範囲

 お子さんが18歳未満であれば、親は親権者として子の監護や教育にあたる立場にあり、子が住む場所を定めることも民法で認められています(民法820条、822条)。未成年のお子さんの外出や外泊について、親が関わり、必要に応じて止めることは、親権者の役割の範囲内といえます。

相手の行為が法的な問題になる場面

 未成年の子を呼び出す相手の側には、次のような法的責任が問われることがあります。

  • 保護者の同意なく未成年の子を自宅に泊めるなどして親の監護から離すと、子本人が同意していても未成年者誘拐罪(刑法224条)にあたる可能性があります。
  • 東京都の条例では、保護者の同意や正当な理由なく、深夜(午後11時から午前4時)に18歳未満の子を連れ出したり、とどめたりすることが禁じられており、16歳未満の子への違反には罰則があります。
  • わいせつの目的で16歳未満の子に会うよう求める行為や、実際に会う行為は、それ自体が処罰の対象とされています(刑法182条)。
  • 18歳未満の子との性的な行為は、条例や児童買春の規制、不同意性交等罪などにより、処罰の対象となることがあります。


 もっとも、どの罪や条例違反にあたるかは、相手の年齢やお子さんとの関係、具体的な経緯によって判断が分かれます。親が「誘拐だ」と相手に言い立てるよりも、事実関係を記録したうえで警察や弁護士に相談するほうが、お子さんを守ることにつながりやすいでしょう。

帰ってこない・連絡がつかないとき

 未成年のお子さんが帰宅せず、連絡も取れない場合は、ためらわずに警察へ相談してください。親権者は行方不明者届を出すことができ、相手と一緒にいる可能性があること、相手のアカウント名ややり取りの内容などを伝えると、捜索の手がかりになります。命や身体に危険が迫っている疑いがあるときは、110番が優先です。

子が成人している場合 止めるよりも、見失わないこと

 18歳以上のお子さんは法律上の成人であり、どこに住み、誰と会うかを自分で決めることができます。親が外出を禁止したり、本人の意思に反して連れ戻したりする法的な権限はありません。この点の整理は、【親子問題】成人した子の問題に親が介入できる法的な範囲でも解説しています。

 ただし、成人していれば何が起きても見守るしかない、というわけではありません。呼び出しの背景によっては、お子さんが被害者にも加害者にもなりうるため、親として状況を把握しておく意味は大きいといえます。成人のお子さんで特に気をつけたいのは、次のような場面です。

呼び出しの背景気をつけたい点
「高収入」「即日払い」などの仕事の誘い受け子や運び役など、犯罪の一部を担わされるおそれがある
スカウトや、素性の分からないグループとの接触個人情報を握られ、抜けにくくなることがある
恋愛感情や投資話をきっかけにした送金ロマンス詐欺や投資勧誘の被害につながることがある
交際相手やその周辺からの金銭の要求親にまで支払いを求められることがある


 それぞれの場面の詳しい対応は、【親子問題】子が闇バイトに関わっていると分かった|親の立場でできること・してはいけないことや、【親子問題】スカウト・匿名流動型グループに取り込まれている疑い|接触を断つ順序と安全確保の考え方で整理しています。

 成人のお子さんと連絡が取れなくなった場合でも、親族として警察に行方不明者届を出すことはできます。ただし、本人が自分の意思で家を離れていて、居場所を親に知られたくないと話した場合には、警察から親に居場所が伝えられないこともあります。安否が確認できること自体に意味があると考えて、相談をためらわないことが大切です。

年齢を問わず、親が今日からできること


問い詰めるより、話せる関係を残す

 「誰と会っているのか」「どうして帰ってこないのか」と強く問い詰めると、お子さんは相手との関係を隠すようになりがちです。相手が悪意のある人物であるほど、親との関係が途切れることは相手にとって都合がよい状況になります。「心配している」「困ったことがあれば、いつでも迎えに行く」と短く伝え、お子さんが助けを求められる窓口を残しておくことが、何よりの備えになります。

分かることを記録しておく

 後で警察や弁護士に相談するときに役立つよう、次のような事実を日付とともに残しておきましょう。

  • 外出や外泊の日時と、帰宅した時間。
  • お子さんから聞いた相手の呼び名、SNSのアカウント名、会っている場所。
  • お子さんが見せてくれたやり取りの画面(本人の了解を得て撮影したもの)。
  • お金の出入りや、見覚えのない持ち物、けがなどの変化。


控えておきたい対応

 心配のあまり取った行動が、かえって問題を大きくすることもあります。

  • 鍵をかけて部屋や家に閉じ込めると、特に成人のお子さんに対しては、行動の自由を奪うものとして法的な問題になることがあります。
  • 本人に無断でスマホのロックを解いて中身を見たり、位置情報アプリを入れたりすると、プライバシーの問題が生じ、知られたときに信頼関係が大きく損なわれます。
  • 相手に直接連絡して脅すような言葉を送ったり、SNSで相手をさらしたりすると、親の側が責任を問われるおそれがあります。


 なお、未成年のお子さんについては、親権者としてスマホの利用ルールを決めたり、フィルタリングを設定したりすることは一般的に認められています。どこまでが見守りの範囲かは、お子さんの年齢や状況によって変わります。外出が増えたお子さんへの関わり方は、【親子問題】ひきこもりの子が急に外出を始めた、親は何に気をつける?も参考になります。

危険の兆しがあるときの相談先


状況主な相談先
今まさに危険が迫っている、事件に巻き込まれた疑いがある110番
緊急ではないが、警察に相談したい警察相談専用電話(#9110)
20歳未満の子の非行や犯罪被害が心配警視庁ヤング・テレホン・コーナー、少年センター
18歳未満の子の生活や養育全般の悩み児童相談所
性的な被害を受けた疑いがある性犯罪被害相談電話(#8103)、ワンストップ支援センター(#8891)
相手との交渉、金銭の要求、画像の削除弁護士


 性的な被害が疑われる場合の窓口は、【親子問題】18歳未満の子が性的搾取の被害に遭っている場合の窓口で詳しくまとめています。画像を撮られたり送らされたりしている場合は、【親子問題】性的画像を撮られた・拡散された子への対応|削除と刑事手続の二段構えもあわせてご覧ください。

弁護士に相談すると何ができるのか

 弁護士は、親の代理人として相手方に通知を送り、お子さんへの接触をやめるよう求めることができます。相手から親に金銭を求められている場合には、弁護士が窓口となって直接のやり取りを止めることもできます。お子さんが被害を受けている場合には、刑事手続の中で被害者側の立場から助言することもできますし、反対にお子さんが何らかの形で加害の側に関わってしまった場合にも、早い段階からの対応が考えられます。

 当事務所では、成人したお子さんの問題について、弁護士が親の側に立って介入し、自立支援のカウンセラーがお子さんの生活面を支える形で取り組んでいます。お子さんを孤立させずに、相手との関係から距離を置けるよう、ご家庭の事情に合わせて方針を考えていきます。

よくあるご質問


相手のSNSアカウントしか分からなくても、警察に相談できますか

 相談できます。アカウント名やプロフィール画面、やり取りの記録があれば、相手を特定する手がかりになることがあります。アカウントが削除されることもあるため、見られるうちに画面を保存しておくとよいでしょう。

成人した子がしばらく帰ってこない場合も、行方不明者届は出せますか

 親族として届け出ることはできます。事件や事故に巻き込まれた疑いがある事情があれば、あわせて警察に伝えてください。ただし、本人の意思で離れていることが確認された場合には、居場所が伝えられないことがあります。

子が「相手はいい人だ」と言って聞き入れません

 頭ごなしに否定すると、かえって相手との結びつきが強まることがあります。相手を責めるより、お金や仕事の話が出ていないか、断りにくい状況になっていないかを一緒に確かめる姿勢のほうが、お子さんも話しやすくなります。親だけで抱えきれないときは、第三者を間に入れることも検討してください。

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まとめ


  • まずは、お子さんの年齢、外出や外泊の状況、呼び出しの中身、気になる変化の4点を確かめます。
  • 18歳未満であれば、親権者として外出に関わることができ、相手が法的な責任を問われることもあります。
  • 成人していれば外出を止める権限はありませんが、状況を把握し、安否を確かめる手段は残されています。
  • 問い詰めや閉じ込め、無断でのスマホの確認は避け、記録を残しながら相談先につなぐことが大切です。


 ネットで知り合った相手との関係は、外からは見えにくく、親が気づいたときには深入りしていることもあります。お子さんの年齢や状況によって取れる手段は異なりますので、心配が続くときは、一人で抱え込まずにご相談ください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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