【親子問題】子が性犯罪の加害者側になった場合|改正後の罪名と、親が関われる範囲
本記事は、成人したお子さんがひきこもりの状態にあり、親御さんと同居している、または親御さんの援助で暮らしている場面を前提にしています。病気や障害の有無、家計の状況によって取るべき対応は変わります。
「そのうち働くから」「来月から探す」。そう言われたまま何年も経っている、というご相談は少なくありません。本人が口にする「いつか働く」を信じて待つべきか、それとも親から何か働きかけるべきか。判断がつかないまま時間だけが過ぎていくことに、焦りを感じている親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、「いつか働く」という言葉の受け止め方、成人した子に対する親の扶養義務の考え方、そして「いつか」を具体的な話に変えていくための順序と相談先を整理します。
「いつか働く」という言葉をどう受け止めるか
まず押さえておきたいのは、「いつか働く」という言葉は、その場しのぎの言い逃れというより、本人なりの本音を含んでいる場合が多いということです。ひきこもりの当事者を対象にした民間団体のアンケートでは、9割近くが「働きたいという思いがある」と答えたと報じられています。
一方で、働きたい気持ちと、実際に動き出せる状態との間には距離があります。支援の現場で紹介されている内閣府の調査結果(平成30年度・40歳から64歳が対象)でも、「失敗が怖い」「馬鹿にされるのではないか」といった不安を挙げた人が半数前後にのぼっています。言葉と行動が結びつかないのは、意欲がないからではなく、不安のほうが大きくなっているからという場合もあるのです。
「いつか」が先送りになっていく背景
ひきこもりの期間が長くなるほど職歴の空白は広がり、本人の中で「今さら面接で何を説明すればいいのか」というハードルも高くなっていきます。本人が自分のあきらめを口にできないまま、「いつか」という言葉で家族との会話を終わらせている、という見方もできます。
支援の現場からは、親子が互いに依存し合う関係(共依存)が長期化の一因になっているとの指摘もあります。「受け止めて見守る」という対応が、条件や期限を伴わないまま何年も続くと、本人が社会との接点を持つ機会そのものが減っていくおそれがあります。
親が言いがちな言葉と、その受け止められ方
「いつになったら働くの」「早く仕事を探して」という声かけは、親としては自然な気持ちです。ただ、顔を合わせるたびに同じ言葉を繰り返すと、本人は責められていると感じ、親との会話そのものを避けるようになることがあります。結果として「いつか働く」という返事だけが残り、具体的な話に進めなくなる、という流れはよく見られます。
成人した子を、親はいつまで支えなければならないのか
法律の面から見ると、民法877条1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。親子はこの直系血族にあたるため、子が成人していても、親が扶養義務を負う場面はあります。
ただし、成人した子に対する扶養は、未成年の子を育てるときと同じ水準を求められるものではないと一般に考えられています。親が自分の生活を維持したうえで、なお余力がある範囲で援助するという考え方(生活扶助義務)が基本です。また、心身ともに健康で働ける状態にあるのに働かない子については、扶養の必要性自体が限定的に評価される余地もあります。
反対に、うつ病などの精神疾患や発達障害があり、働くことが難しい状態であれば、扶養の考え方は変わってきます。「いつか働く」と言いながら動けない背景に、医療につなぐべき事情が隠れていないかは、早めに確かめておきたいところです。
| 子の状態 | 扶養についての考え方の目安 |
|---|---|
| 働ける状態だが働いていない | 親の生活を損なってまで援助する義務は通常ありません。援助の範囲は親の資力に応じて調整できる余地が大きいといえます。 |
| 病気や障害で働くことが難しい | 一定の援助が求められる場面があります。医療や福祉の制度とあわせて検討します。 |
| 状態がはっきりしない | まず医療機関や支援機関で状況を確かめることが先決です。 |
扶養義務の範囲については【親子問題】親の扶養義務はどこまでか|成人した子を養う義務はあるのかで、病気との関係については【親子問題】ひきこもりと精神疾患の切り分け|医療につなぐ判断で詳しく解説しています。
「いつか」を具体的な話に変えていく順序
「いつか働く」に対して親ができるのは、本人を説き伏せることではなく、話し合いの中身を「いつか」から「いつまでに」「何から」へと少しずつ置き換えていくことです。次のような順序で考えると整理しやすくなります。
- 家計と親の今後の見通しを数字で書き出すこと。
- 本人に「働け」ではなく「この家の状況」を伝えること。
- 「働く」の手前にある小さな一歩を一緒に探すこと。
- 親が援助できる範囲と期限を決めて伝えること。
- 親だけで抱えず、第三者に間に入ってもらうこと。
家計と見通しを数字で書き出す
最初に取り組みたいのは、親の側の整理です。現在の収入と貯蓄、年金の見込み、毎月の支出、子にかかっている費用を書き出し、「今の生活をあと何年続けられるか」を数字で確認します。いわゆる8050問題として知られるように、親の高齢化とともに、親子がともに生活に行き詰まるおそれが指摘されています。
数字がはっきりすると、「いつか」がいつまでも続けられるものではないことを、感情ではなく事実として本人に伝えられるようになります。具体的な見積もり方は【親子問題】「あと何年この状態が続くのか」を数字で見積もるをご覧ください。
「働け」ではなく「家の状況」を伝える
本人に話すときは、「なぜ働かないのか」と問い詰めるより、「親の年金だけでは何年か後に生活が苦しくなる」「親が倒れたとき、あなたの生活費をどうするかを一緒に考えたい」といった形で、家の状況を共有する伝え方のほうが受け入れられやすい傾向があります。責める言葉を避け、親自身の不安として伝えることがポイントです。
話し合いの場では、その場で答えを求めないことも大切です。「次は来週の日曜にもう一度話そう」と区切りを付けておくと、本人が考える時間を持てます。
「働く」の手前にある一歩を探す
長くひきこもっていた人にとって、いきなり就職活動を始めるのは負担が大きすぎることがあります。生活のリズムを整える、短時間でも外出する、支援機関に話を聞きに行く、といった「働く」の手前の段階を目標にするほうが、結果的に前へ進みやすい場合があります。
自治体の中には、働いてみたいという気持ちを、まず家族以外の第三者、たとえば支援団体や地域若者サポートステーションのスタッフに伝えてみることを勧めているところもあります。就労支援の窓口については【親子問題】就労支援の選択肢|サポステ・就労準備支援事業の実際で、職歴の空白への向き合い方は【親子問題】仕事探しの現実|職歴の空白をどう埋めるかで取り上げています。
援助の範囲と期限を決めて伝える
話し合いを重ねても動きがない場合は、親が援助できる範囲と期限を決め、前もって伝えることも検討に値します。たとえば、小遣いの額を見直す、携帯電話料金など子の名義に移せる支払いを移していく、半年後を目安に家計の分け方を見直す、といった形です。
ただし、生活の手段をいきなり断って奮起を促すような方法は、本人を追い詰め、かえって状況を悪化させるおそれがあると専門家からも指摘されています。本人の同意なく民間施設へ連れ出すような手段も、法的なトラブルにつながることがあります。期限を設けるときは、その間に利用できる支援先をあわせて示すことが大切です。民間施設を検討する際の注意点は【親子問題】民間の自立支援施設を選ぶ前に確認すべきこと|契約・担い手・解約・本人の意思にまとめています。
親だけで抱えないための相談先
「いつか働く」をめぐるやり取りは、親子の間だけで続けるほど、こじれやすくなります。状況に応じて、次のような窓口を使い分けることが考えられます。
- ひきこもり地域支援センターや市区町村の福祉窓口は、本人や家族からの相談を受け、支援機関につなぐ役割を担っています。
- 地域若者サポートステーションや生活困窮者向けの就労準備支援事業は、働く前の段階からの相談に対応しています。
- 家族会は、同じ悩みを持つ親御さんと経験を共有できる場です。
- 精神疾患や発達障害が疑われる場合は、精神保健福祉センターや医療機関への相談が考えられます。
各窓口の役割については【親子問題】ひきこもり地域支援センターでできること・できないことや【親子問題】家族会・当事者会の役割|弁護士に頼む前にできることもあわせてご覧ください。
弁護士が関わることになる場面
「いつか働く」と言いながら親へのお金の要求が強まっている、話し合いの最中に暴言や暴力が出る、家を出てほしいと伝えても応じない、といった状況では、法的な整理が必要になることがあります。
当事務所では、弁護士が親御さんの代理人として子との間に入り、金銭の要求や暴力から親御さんを守る役割を担い、仕事探しや住まい探し、日々の生活の立て直しは自立支援カウンセラーがサポートするという、チームでの対応を行っています。子を孤立させるのではなく、親と子がそれぞれ自立していくことを目指す取り組みです。詳しくは【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応や【親子問題】弁護士とカウンセラーはどう介入するのか|4つの事例で見るサービスの実際をご覧ください。
まとめ
- 「いつか働く」という言葉には、本人なりの意欲と不安の両方が含まれていることが多いです。
- 成人した子への扶養は、親が自分の生活を維持したうえで、余力のある範囲で考えるのが基本です。
- 病気や障害が背景にある場合は、医療や福祉につなぐことが先になります。
- 家計を数字で示し、「働く」の手前の一歩と、援助の範囲・期限を具体的に話し合うことが、「いつか」を動かす手がかりになります。
- 親だけで抱え込まず、支援機関や弁護士など第三者の力を借りることも選択肢の一つです。
「いつか働く」という言葉を待ち続けるか、こちらから切り出すかで迷う時間が長くなるほど、親御さんの負担は大きくなっていきます。お金の要求や暴言が重なっているなど、家族の中だけでは話が進まない段階であれば、第三者が入ることで見えてくる道もあります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


