【親子問題】覚醒剤・大麻の所持と使用|親が知っておく罪の重さ
子の暴力やお金の要求、ひきこもりが続く家庭では、警察や行政、病院、支援機関、そして子本人とのやり取りが少しずつ増えていきます。そのときに「家族の中で誰が連絡を受け、誰が子と話をするのか」が決まらないまま時間が過ぎてしまうことは珍しくありません。父親は仕事で日中に動けない、母親は子と顔を合わせることがつらい、きょうだいは遠方に住んでいる、といった事情が重なると、全員が少しずつ関わりながら、誰も全体を把握していない状態になりがちです。
この記事では、家族の中で窓口を決められないときに、どのような順序で整理すればよいかを、法律上の立場の違いもふまえて解説します。
この記事は、主に成人した子の暴力・金銭の要求・ひきこもりなどに悩むご家庭を想定しています。未成年の子の場合は、親権や児童相談所の関わりなど、別の考え方が加わります。
窓口が決まらないまま動くと起きやすいこと
家族それぞれが善意で動いていても、窓口が定まっていないと、かえって状況が複雑になることがあります。よく見られるのは次のような場面です。
- 母親が警察に相談した内容を、父親が知らないまま別の窓口に相談している。
- 父親は「もう援助しない」と伝えたのに、母親が子にお金を渡している。
- 支援機関からの連絡が誰にも届かず、面談の日程が流れてしまう。
- 子が家族の言い分の違いに気づき、話を通しやすい人にだけ要求を向ける。
- 相談の経緯を覚えている人がおらず、相談先ごとに一から説明し直している。
特に、子が家族の間の方針の違いに気づくと、要求はいちばん応じてくれそうな人に集まりやすくなります。窓口を決めることは、家族の誰かに負担を押しつけることではなく、家族の対応を一つにそろえるための手段と考えるとよいでしょう。
法律は「家族の窓口」を決めていない
まず前提として、家族の中で誰が窓口になるべきかを定めた法律はありません。窓口は、あくまで家族の話し合いで決めるものです。
ただし、問題の種類によっては、法律上「本人でなければ決められないこと」があります。たとえば次のような事柄です。
- 子から暴力を受けた人が、被害届を出すかどうか。
- 親名義の預貯金や不動産を、どう扱うか。
- 親が契約者になっている賃貸借契約や携帯電話の契約を、どうするか。
- 弁護士に正式に依頼し、委任契約を結ぶかどうか。
これらは、被害を受けた人や、財産・契約の名義人が自分の意思で決めることが基本です。きょうだいが窓口として連絡を引き受けていても、親の財産の処分や親名義の契約の解約を、親の意思を確かめずに進めることはできません。窓口になる人と、最終的に決める人が別になることもあるという点を最初に押さえておくと、整理がしやすくなります。
なお、警察・行政・弁護士がそれぞれどのような場面で関わるのかについては、【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担で解説しています。
窓口の役割を3つに分けて考える
「窓口」と一言でいっても、その中身にはいくつかの役割が含まれています。一人ですべてを担おうとすると負担が大きく、それが決められない原因にもなります。次のように役割を分けて考えてみてください。
| 役割 | 主に担うこと | 向いている人の例 |
|---|---|---|
| 決める人 | 援助の打ち切り、被害届、住まいなど大きな方針の判断 | 被害を受けている人、財産や契約の名義人 |
| 連絡をまとめる人 | 警察・行政・病院・弁護士との連絡、記録の保管、家族への共有 | 日中に連絡を受けやすく、記録をつけることが苦にならない人 |
| 子と接する人 | 日常の声かけ、家族で決めたことを決まった言葉で伝えること | 子との関係が比較的保たれており、暴力の対象になりにくい人 |
この3つを同じ人が担う必要はありません。たとえば、方針は両親が話し合って決め、外部との連絡は近くに住む長女がまとめ、子への日常の声かけは父親が担う、という分け方もあり得ます。大切なのは、それぞれの役割を誰が担っているかを、家族全員が知っていることです。
また、子と接する役割については、家族の中に適任者がいないことも少なくありません。その場合は、後で触れるように、家族の外に窓口を置くことも検討できます。
窓口になる人を選ぶときの目安
連絡をまとめる人を選ぶときには、次のような点を目安にすると話し合いが進みやすくなります。
- 暴力や暴言の主な対象になっていないこと。
- 平日の日中にも電話やメールに対応しやすいこと。
- 子に頼まれても、家族の方針と違う行動を取らずにいられること。
- 相談の経緯や日付を記録し、家族に共有できること。
- 心身の負担が限界に近づいていないこと。
すべての条件を満たす人がいないのは、ごく普通のことです。足りない部分はほかの家族が補う、あるいは外部に任せる、という考え方で埋めていくことをおすすめします。
なかでも一つ目の条件は大切です。暴力を受けている人が、子との話し合いまで一人で担うと、心身の負担が大きくなり、判断も揺らぎやすくなります。親自身が疲れ切っている場合の手配については、【親子問題】子の問題で親自身が限界|親が先に休むための手配もあわせてご覧ください。
決められない理由ごとの整理
夫婦で方針が割れている
窓口が決まらない理由として多いのが、両親の考え方の違いです。一方は距離を置くべきだと考え、もう一方は子をかばってお金を渡し続けている、という状態では、どちらが窓口になっても対応がそろいません。この場合は、窓口を決める前に「最低限ここだけはそろえる」という点を話し合うことが先になります。考え方の違いの整理については、【親子問題】夫婦で方針が割れる|一方の親が子をかばうときで詳しく解説しています。
親が高齢・体調不良で動けない
親が高齢であったり体調を崩していたりして、外部とのやり取りを続けることが難しい場合には、きょうだいが連絡をまとめる役を担うことがあります。この場合も、先に述べたとおり、親の財産や契約に関わる判断は親自身の意思によるのが基本です。
きょうだいが窓口になるときは、親の意向を確認したうえで、確認した日付と内容を書き留めておくと、後で家族の間で行き違いが生じにくくなります。親の判断能力に不安がある場合には、成年後見などの制度を検討する場面も出てきます。きょうだいが相談者になる場合の注意点は、【親子問題】きょうだいが相談者になる場合|親が動けないときで解説しています。
家族の誰もが子と向き合える状態にない
長年の暴力や要求が続き、家族全員が子と話すこと自体に強い不安を感じている場合もあります。このような場合、無理に家族の中から窓口を選ぶ必要はありません。
弁護士が家族の代理人として子からの連絡を受ける窓口になる、支援機関の担当者に間に入ってもらう、といった方法で、子と直接やり取りする役割を家族の外に移すことができます。窓口を外部に移す考え方については、【親子問題】弁護士に頼むと何が変わるのか|窓口を代えるという選択をご参照ください。
親戚の意見が入り、話がまとまらない
親戚が独自に子へ連絡を取ったり、家族の方針に反対したりして、窓口が決まらないこともあります。まず方針を決める人の範囲を確かめ、それ以外の親戚には、決まった方針を尊重してもらうようお願いする形にすると、話がまとまりやすくなります。伝え方については、【親子問題】親戚から子の問題に口出しされる|家族の方針を守る伝え方で解説しています。
家族で最初にそろえておきたいこと
窓口がすぐに決まらなくても、次の点を家族の中で確認しておくだけで、対応のずれは減らしやすくなります。
- 子からの金銭の要求に応じるかどうかと、応じる場合の上限。
- 子に何かを伝えるときに使う言葉と、伝える人。
- 警察や行政に相談した内容を記録する場所と、記録をつける人。
- 暴力があったときに通報する人と、避難先を確保する人。
- 決めた内容を見直す時期。
記録は、ノートでも家族で共有するメモアプリでもかまいません。日付、相談先、担当者の名前、伝えた内容と言われた内容を残しておくと、窓口が途中で交代した場合にも引き継ぎがしやすくなります。
警察に相談した記録が持つ意味については【親子問題】警察に相談した記録を残す意味|相談票と後の手続で、外部に相談する前にまとめておくとよい情報については【親子問題】相談の前に整理しておきたい5つの情報で、それぞれ解説しています。
弁護士に相談・依頼するときの窓口
弁護士に相談する段階では、家族の誰が問い合わせをしてもかまいません。きょうだいや親戚が最初に連絡をしてくることもあります。ただし、正式に依頼する段階では、誰が依頼者になるのかをはっきりさせる必要があります。
弁護士が親の代理人として子と向き合う場合、依頼者は通常、暴力や要求を受けている親になります。依頼者以外の家族が打ち合わせに同席したり、進み具合の報告を受けたりすることは、依頼者である親の了解があれば可能です。日常の連絡はきょうだいを通じて行い、方針に関わる判断は親に確認する、という分け方をとることもあります。
一方で、家族の中で利益が対立している場合には注意が必要です。たとえば、親の財産をめぐってきょうだいの意見が対立している場合、弁護士は利益が対立する人の双方から依頼を受けることが制限されています。家族の誰を依頼者とし、誰の意向に基づいて動くのかは、最初の相談の段階で確認しておくと安心です。
弁護士が窓口になった後は、子からの連絡を弁護士に集めることで、家族が直接要求を受ける場面を減らすことが期待できます。相談した内容が子に伝わるかどうかの考え方については、【親子問題】相談内容は子に伝わるのか|守秘義務と連絡の取り方をご覧ください。
よくあるご質問
窓口になった人が途中で交代してもよいですか
交代すること自体に問題はありません。窓口になった人の体調や仕事の事情が変わることもあります。交代する際は、それまでの記録を引き継ぎ、外部の相談先にも新しい窓口を伝えておくと、連絡の行き違いを防ぎやすくなります。
子に「窓口は誰か」を伝えたほうがよいですか
伝えるかどうかは状況によります。家族の中の誰かが窓口になる場合、子に伝えることで、その人に要求や不満が集まるおそれもあります。弁護士が代理人として窓口になる場合には、子に通知を送り、今後の連絡先を伝えるのが一般的です。最初の通知で伝える内容については、【親子問題】弁護士から子に最初の連絡が入るとき|通知で伝えることで解説しています。
離れて暮らすきょうだいでも窓口になれますか
なることはできます。外部との連絡は電話やメール、オンラインの面談でも行えるため、住んでいる場所だけで決める必要はありません。ただし、暴力があったときにすぐ駆けつけることは難しいため、緊急時の対応は、同居している家族や近くの支援者とあらかじめ分担しておくとよいでしょう。
家族の中で窓口が決まらないのは、家族が問題から目をそらしているからではなく、それぞれが手一杯の中で関わっているからであることが多いものです。まずは役割を分けて考え、家族の中で担いきれない部分は外部に任せる、という順序で整理してみてください。当事務所では、弁護士が親の代理人となり、自立支援カウンセラーと役割を分担しながら、窓口の置き方を含めてご家庭ごとに対応を組み立てています。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


