【親子問題】大麻の使用が罪になった|改正後に何が変わったか
離婚後、元配偶者のもとで暮らしていた子が、ある日を境にこちらの家へ戻ってきて、そのまま住み続けている。最初は一時的な避難のつもりで受け入れたものの、数か月たっても出ていく気配がなく、生活費も入れてもらえない。こうしたご相談は、子が成人している場合にも、まだ未成年の場合にも寄せられます。
この場面は、同居している子に出ていってもらうという問題に、「元配偶者との関係」という要素が重なる点に特徴があります。子の年齢によって、誰が子の住む場所を決めるのか、元配偶者に何を求められるのかが大きく変わります。この記事では、最初に確かめておきたい事情を整理したうえで、成人した子の場合と未成年の子の場合に分けて、取り得る対応を順に解説します。
この記事は2026年10月時点の法令をもとにしています。離婚後の親権に関する改正民法(2026年4月施行)を反映していますが、個別の事情によって結論は変わりますので、具体的な対応は専門家にご相談ください。
最初に確かめておきたい3つの事情
子に出ていってもらうか、条件を決めて同居を続けるかを考える前に、次の3点を整理しておくと、その後の見通しが立てやすくなります。
- 子が成年に達しているかどうか。
- 親権者と養育費についての離婚時の取り決め。
- 家の名義と、子を受け入れたときの約束の有無。
とくに重要なのは子の年齢です。民法では18歳で成年となり、成年に達した子には親権が及びません。成人した子であれば、元配偶者との関係は主に養育費などお金の取り決めの問題になります。これに対して未成年の子であれば、親権者が誰かによって、子をどこに住まわせるかを決める立場そのものが変わります。
成人した子が戻ってきた場合
家に住む資格は「使用貸借」として考えるのが一般的
親の名義の家に成人した子が無償で住んでいる場合、法律上は、親が子に家を無償で貸している「使用貸借」の関係にあると考えるのが一般的です。家賃を払っていないから住む資格がまったくない、というわけではなく、親が受け入れた時点で、一定の利用の約束が成り立っていると見られることが多いためです。
使用貸借は、期間や目的を定めていない場合、貸主がいつでも契約を終わらせる意思を伝えることができるとされています(民法598条2項)。ただし、親子の同居では「生活の本拠として住む」という目的が読み取られることもあり、実際には、同居に至った経緯や子の生活状況、関係がどこまでこじれているかといった事情が総合的に見られます。元配偶者の家を出てきた理由が子にとってやむを得ないものだった場合などは、すぐに退去を求めるのは難しいと判断される余地もあります。
家を出ていってもらう法的な筋道については、【親子問題】子を家から出ていかせることはできるのか|占有と明渡しで詳しく解説しています。
元配偶者に引き取りや費用の負担を求められるか
「もともと向こうで暮らしていたのだから、元配偶者が引き取るべきだ」と感じる方は少なくありません。しかし、成人した子をどちらの家に住まわせるかを元配偶者に強制する法的な仕組みはありません。親の扶養義務は父母のどちらにも同じようにありますが(民法877条1項)、成人した子に対する扶養は、自分の生活に余力がある範囲で援助する程度のものと解されています。
一方で、お金の取り決めには見直しの余地があります。離婚の際に「大学を卒業するまで」などと定め、あなたが元配偶者に養育費を支払い続けている場合、子が実際にはあなたの家で暮らしているのであれば、事情の変更として養育費の減額や支払いの終了を話し合ったり、家庭裁判所の調停で求めたりすることが考えられます。反対に、あなたが養育費を受け取る側だった場合には、子が戻ってきたことで取り決めの前提が変わったと元配偶者から主張されることもあり得ます。いずれにしても、支払いを一方的に止める前に、取り決めの内容を確かめておくことが大切です。
元配偶者に子の状況をどこまで伝えるかについては、【親子問題】離婚した元配偶者に子の問題を伝えるべきか|伝える場面・伝えない場面も参考にしてください。
鍵を替える・荷物を出すといった対応は避ける
出ていく気配がないからといって、子の不在中に鍵を替えたり、荷物を外に出したりすることは控えてください。裁判所の手続を経ずに住まいを取り上げることは「自力救済」と呼ばれ、法律上、原則として認められていません。かえって子から損害の賠償を求められたり、関係がさらに悪化したりするおそれがあります。詳しくは【親子問題】鍵を替える・締め出すことの可否|自力救済の限界をご覧ください。
話し合いで期限と条件を決めて書面に残す
現実的な第一歩は、退去の時期や、それまでの生活費の負担について子と話し合い、合意した内容を書面にしておくことです。たとえば次のような項目を決めておくと、後になって「そんな約束はしていない」という食い違いを防ぎやすくなります。
- 家を出る時期の目安。
- それまでの生活費や光熱費の負担。
- 家の中での生活のルール。
- 期限を過ぎた場合の扱い。
親子間の合意書にどこまでの効力があるかは、【親子問題】親子間で合意書を作る|約束を書面にする意味と限界で解説しています。子が仕事や住まいを見つけられずに出ていけない場合は、【親子問題】子を家から独立させる具体的な手順も参考になります。まだ子が戻ってくる前の段階であれば、【親子問題】独立した子が家に戻りたいと言ってきた|再同居を断るときもあわせてご覧ください。
話し合いがまとまらない場合の手続
話し合いに応じてもらえない場合は、内容証明郵便などで使用貸借を終わらせる意思をはっきり伝え、それでも退去しないときには、建物の明渡しを求める訴訟を検討することになります。判決が出ても退去しない場合は、強制執行の申立てという段階に進みます。ただ、訴訟には時間と費用がかかり、親子の関係にも影響が残りやすいため、手続はあくまで最終的な手段と位置づけ、その前に第三者を交えた話し合いを試みることが一般的です。家を売却して同居を解消するという考え方については、【親子問題】家を売って引っ越せば、子との同居を終わらせられる?で整理しています。
未成年の子が戻ってきた場合
子の住む場所を決めるのは親権者
子が未成年の場合は、考え方が大きく変わります。親権者には子の住む場所を定める権限があるため(民法822条)、元配偶者が単独の親権者であれば、子が自分の意思でこちらに来たとしても、元配偶者から子を戻すよう求められることがあります。家庭裁判所に子の引渡しを申し立てられる可能性もあります。
そのため、未成年の子が戻ってきたときは、子の安全を確保したうえで、できるだけ早く元配偶者に子の所在を知らせておくことが望ましいといえます。子が元配偶者の家で暴力やネグレクト(養育の放棄)を受けていたことがうかがえる場合は、児童相談所への相談も検討してください。
今後もこちらで暮らすなら親権者変更などを検討する
子がこのままこちらで暮らすことを望み、それが子のためにもなると考えられる場合は、家庭裁判所に親権者の変更や監護者の指定を求める調停・審判を申し立てることが考えられます。2026年4月に施行された改正民法により、離婚後も父母が共同で親権をもつ形を選べるようになり、すでに離婚している場合でも、親権者変更の手続の中で共同親権への変更を求める道が設けられました。どの形がよいかは、子の意思や生活の状況、父母の関係などを踏まえて判断されます。
養育費についても、子と暮らす親が実際に費用を負担している実態に合わせて、取り決めを見直すことが考えられます。
未成年の子を家から出すことには慎重に
未成年の子については、親権者でなくても、同居して世話を引き受けている以上、家から締め出したり、必要な世話をしないまま放置したりすると、保護責任者遺棄などの問題が生じるおそれがあります。手に負えないと感じたときは、子を家の外に出す前に、元配偶者や児童相談所、弁護士に相談してください。
暴力や金銭の要求がある場合は安全を優先する
戻ってきた子から暴力を受けている、または繰り返しお金を求められている場合は、退去の話し合いよりも、まず身の安全と記録の確保を優先してください。身の危険を感じたときは、ためらわずに110番通報をすることが大切です。家庭内のことであっても、暴行や傷害は犯罪として扱われ得ます。対応の目安は、次の記事で解説しています。
弁護士に依頼すると何ができるか
親子の話し合いは感情がぶつかりやすく、当事者だけでは前に進まないことがよくあります。弁護士が親の代理人として間に入ることで、次のような対応が可能になります。
- 子との話し合いの窓口を弁護士が引き受けます。
- 退去の時期や生活費について合意書を作成します。
- 元配偶者との間で、養育費の見直しや子の今後の生活について調整します。
- 話し合いが難しい場合に、使用貸借を終わらせる通知や明渡しの手続を進めます。
- 未成年の子の場合に、親権者変更や監護者指定の手続を検討します。
当事務所では、弁護士が親の代理人として介入し、民間の自立支援カウンセラーとチームを組んで、家を出た後の子の住まい探しや仕事探し、生活の立て直しまで支える取り組みをしています。子を孤立させずに距離を取る方法を一緒に考えることができます。サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
よくあるご質問
子が「自分の家でもある」と言って出ていきません。子に住む権利はあるのでしょうか
家が親の単独名義であれば、子に所有者としての権利はありません。子が住んでいられるのは、親が使用貸借として住むことを認めているためと考えられます。ただし、子が家の持分を相続している場合や、購入費用の一部を負担していた場合などは考え方が変わりますので、名義と経緯を確かめてください。
元配偶者が「そちらで面倒を見て」と言って話し合いに応じません
成人した子の場合、元配偶者に引き取りを強制することはできません。ただし、養育費の取り決めが残っているときは、その見直しを調停などで求めることができます。未成年の子の場合は、親権者変更や監護者指定の手続の中で、子の生活をどちらが担うかを整理していくことになります。
子に家賃を払ってもらうことはできますか
話し合いで負担額を決めて書面にしておくことは可能です。もっとも、家賃として定期的にお金を受け取るようになると、使用貸借ではなく賃貸借と見られ、退去を求める際の条件が厳しくなる場合があります。生活費の分担として決めるのか、家賃として決めるのかは、事前にご相談ください。
まとめ
離婚した元配偶者の家から子が戻ってきた場面では、子の年齢、親権と養育費の取り決め、家の名義によって、取るべき対応が変わります。子を受け入れた気持ちを大切にしながらも、いつまで、どのような条件で同居するのかを早めに整理しておくことが、親子それぞれの生活を守ることにつながります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


