【刑事事件】恋人が18歳未満だった場合、交際していても罪になる?

若井亮

若井亮

テーマ:刑事事件

本記事は、2023年施行の刑法改正(不同意性交等罪・面会要求等罪の新設)、性的姿態撮影等処罰法、2025年6月施行の拘禁刑への一本化を反映しています。青少年健全育成条例の内容は都道府県ごとに異なるため、条例については東京都の条例を例に説明します。


交際している相手が18歳未満だと分かったとき、「付き合っているだけで罪になるのか」と不安になる方は少なくありません。結論から言えば、交際していること自体を処罰する法律はありません。ただし、交際の中で行われる性行為や画像のやり取り、金品の受け渡し、深夜の外出などは、相手が18歳未満であることによって法令の対象になることがあります。

 本記事では、相手の年齢によって何が変わるのか、「真剣な交際」かどうかがどのように見られるのか、そして相手の保護者に知られた場合や警察から連絡が来た場合に何に気をつけるべきかを整理します。

交際していること自体は罪にあたらない

 18歳未満の人を守るための法令は、「交際」という関係そのものではなく、関係の中で行われる個々の行為を対象にしています。一緒に出かける、連絡を取り合う、好意を伝えるといったことだけで処罰されることは、通常はありません。

 一方で、注意したい点もあります。以前は「女性は16歳で結婚できるのだから、18歳未満との交際も法律上想定されている」という説明がよく見られました。しかし、2022年4月の民法改正で婚姻できる年齢は男女とも18歳に統一されています。古い解説をそのまま当てはめると判断を誤るおそれがあるため、現在の法令に沿って確認することが大切です。

 また、18歳になったばかりの方であっても、相手が17歳であれば、成人の側として条例の対象になり得ます。「年齢が近いから大丈夫」とは言い切れない点にも注意が必要です。

問題になり得る行為と、主な法令

 交際の中で問題になりやすい行為と、関係する主な法令は次のとおりです。

行為主な法令ポイント
性行為(相手が16歳未満)刑法(不同意性交等罪など)同意があっても成立し得る(13歳以上16歳未満は年齢差の要件あり)
性行為(相手が16歳・17歳)青少年健全育成条例「みだらな性交」にあたるかが問われる
金品を渡しての性行為児童買春・児童ポルノ禁止法交際中でも「対償」と評価されれば児童買春になり得る
性的な写真・動画の撮影や保存児童買春・児童ポルノ禁止法、性的姿態撮影等処罰法相手が自分から送ってきた場合も問題になり得る
深夜の連れ出し・家出への関与青少年健全育成条例、刑法(未成年者誘拐罪)本人の同意だけでは足りない場面がある
立場を利用した関係児童福祉法教師・指導者・雇用主などの立場が問われる


 以下、相手の年齢による違いから順に見ていきます。

性行為があった場合は、相手の年齢で扱いが分かれる


相手が16歳未満のとき

 2023年の刑法改正により、いわゆる性交同意年齢は13歳から16歳に引き上げられました。相手が13歳未満であれば、同意の有無にかかわらず不同意性交等罪などが成立します。相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為をした側が相手より5歳以上年長であるときに、同意があっても処罰の対象になります(刑法177条3項など)。不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と重く、交際していたという事情があっても、この点は変わりません。

 年齢差の要件や年齢の認識の問題については、16歳未満との性的行為|「5歳差要件」と年齢の錯誤で詳しく解説しています。

相手が16歳・17歳のとき

 相手が16歳以上18歳未満の場合、刑法上の不同意性交等罪は、暴行や脅迫、酩酊などによって同意しない意思を形成・表明することが難しい状態でなければ成立しません。この年齢層で中心になるのは、各都道府県の青少年健全育成条例です。

 東京都の条例は、何人も青少年(18歳未満の者)と「みだらな性交又は性交類似行為」を行ってはならないと定め(18条の6)、違反した場合の罰則を2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金としています(24条の3)。

 ここでいう「みだらな」の意味について、最高裁判所(昭和60年10月23日判決)は、青少年を誘惑・威迫・欺罔・困惑させるなど心身の未成熟に乗じた不当な手段による場合や、青少年を自己の性的欲望を満たす対象としてしか扱っていないと認められる場合を指すと判断しています。反対に、婚約中の関係や、これに準じる真摯な交際関係の中で行われた性行為は、これにあたらないと考えられています。

「真剣な交際」かどうかは、何で見られるのか

 「真剣に付き合っていた」という気持ちがあっても、それだけで条例違反にあたらないと判断されるわけではありません。捜査機関や裁判所は、本人の言い分ではなく、関係の実態を示す客観的な事情から判断するのが一般的です。たとえば、次のような事情が考慮されることがあります。

  • 知り合ったきっかけや経緯。
  • 交際期間の長さと、会っていた頻度。
  • 性行為以外の交流(食事や外出、日常的な連絡など)があったか。
  • 相手の保護者が交際を知っていたか、認めていたか。
  • 年齢差や、学校・職場などでの立場の違い。
  • 金品のやり取りの有無や、その中身。
  • 将来についての話し合いがあったか。


 知り合ってすぐに性的な関係になった場合や、会うたびに性行為が中心になっていた場合などは、真摯な交際とは認められにくい傾向があります。一方で、保護者が交際を知っていたことも一つの事情にすぎず、それだけで違法でなくなるわけではありません。どこまで主張が認められるかは事案ごとに異なるため、詳しくは淫行条例違反|「真摯な交際」の主張はどこまで認められるかもご覧ください。

交際中でも注意したい、性行為以外の行為


写真や動画のやり取り

 18歳未満の人の性的な写真や動画を撮影したり、保存したりすると、児童買春・児童ポルノ禁止法の児童ポルノ製造罪や所持罪にあたることがあります。交際相手が自分から送ってきた画像であっても、保存しているだけで問題になり得る点には注意が必要です。また、相手が16歳未満の場合などは、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪も問題になります。

 東京都の条例には、18歳未満の人に裸の写真などを送るよう求める行為そのものを禁じる規定もあります。受け取った画像の扱いについては未成年から送られてきた画像を保存した|受け取った側の責任、求める行為については自画撮りを求めた|要求だけでも処罰される条例と法律で解説しています。

お金や物を渡すこと

 交際相手への誕生日のプレゼントや食事代の負担が、直ちに問題になるわけではありません。ただし、性行為の見返りとして金銭や物を渡した、またはその約束をしたと評価されると、交際関係があっても児童買春にあたるおそれがあります。児童買春の法定刑は5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。どのようなものが見返りと評価されるかは、児童買春の『対償』とは何か|金銭以外の提供でも成立するのかで取り上げています。

深夜の外出や泊まり、家出への関与

 東京都の条例は、深夜(午後11時から翌日午前4時まで)に、保護者の承諾などの正当な理由なく青少年を連れ出したり、一緒に過ごさせたりすることを禁じています。さらに、相手が家出をしてきたときに自宅に泊め続けるなど、保護者のもとから引き離していると評価される場合には、刑法の未成年者誘拐罪が問題になることもあります。この罪は保護者の監護を守ることも目的としているため、本人が同意していても成立し得るとされています。詳しくは未成年を連れ回した|未成年者略取誘拐と「同意があった」主張をご参照ください。

教師や指導者、雇用主などの立場にある場合

 学校の教師と生徒、習い事の指導者と生徒、アルバイト先の上司と従業員のように、相手に影響を及ぼしやすい立場にある場合は、交際のつもりであっても、その立場を利用して性行為をさせたと評価されると、児童福祉法の「淫行をさせる行為」として重く扱われることがあります。どちらの法令で問われるかの違いは、児童福祉法違反と児童買春はどちらで立件されるのかで整理しています。

相手の年齢を知らなかった場合

 相手が年齢を偽っていたなど、18歳未満だと知らなかった場合には、処罰の対象とならないことがあります。罪が成立するためには、原則として相手が18歳未満であることの認識が必要とされるためです。

 もっとも、相手の言葉を信じたというだけで認識がなかったと認められるとは限りません。制服や学校の話題、生活時間帯など、年齢をうかがわせる事情があった場合には、認識があったと判断されることもあります。また、条例の中には、年齢を知らなかったことに過失があれば処罰を免れないとする規定を置いているものもあります。年齢の確認と認識の評価については、相手が18歳未満だと知らなかった|年齢の確認と認識の評価で詳しく解説しています。

相手の保護者に知られた・警察から連絡が来たとき

 交際が相手の保護者に知られたり、警察から事情を聴きたいと連絡が来たりした場合、その後の対応によって状況が変わることがあります。次の点を意識しておくと、判断を誤りにくくなります。

  1. 相手と連絡を取って説明の内容を合わせたり、やり取りの履歴や画像を消したりしないこと。
  2. 相手の保護者と直接お金の話をしたり、その場で念書に署名したりしないこと。
  3. 知り合った経緯や交際期間、会っていた頻度などを、記憶が新しいうちに時系列で書き出しておくこと。
  4. 警察からの連絡に応じる前に、弁護士に相談して見通しを確認すること。


 口裏合わせや証拠の削除と受け取られる行動は、逮捕の必要性を判断する事情になることがあります。また、相手が18歳未満の場合、示談などの話し合いは保護者(親権者)が相手方になります。当事者どうしで進めると話がこじれやすいため、弁護士を通じて進めることが一般的です。警察から連絡が来た場合の初動は「警察から電話が来た」|折り返す前に確認したい3つのこと、保護者との示談については未成年の被害者と示談する|親権者の同意と書面の当事者で取り上げています。

まとめ

 18歳未満の相手と交際していること自体は、罪にはあたりません。ただし、相手の年齢が16歳未満か、16歳・17歳かによって性行為の扱いは大きく異なり、写真のやり取りや金品の受け渡し、深夜の外出など、性行為以外の行為が問題になる場面もあります。「真剣な交際」だったかどうかも、本人の気持ちではなく、関係の実態から判断されます。

 ご自身の状況がどれにあたるのか判断がつかない場合や、すでに相手の保護者や警察から連絡が来ている場合には、早めに弁護士へご相談いただくことで、取れる対応の幅を確保しやすくなります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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