【刑事事件】SNSで知り合った18歳未満と会っただけで、罪になる?

若井亮

若井亮

テーマ:刑事事件

この記事は、2026年10月時点の刑法(2023年7月施行の改正で新設された「16歳未満の者に対する面会要求等の罪」を含みます)と、東京都青少年の健全な育成に関する条例をもとに解説しています。刑罰の表記は、2025年6月に施行された拘禁刑への一本化を反映しています。条例の内容は都道府県ごとに異なります。


「SNSで知り合った相手と一度会って、カフェで話しただけ。後から高校生だと分かったが、何かの罪になるのか」。ご相談の現場では、このような不安の声をお聞きします。反対に、ご家族の立場から「子どもがSNSで知り合った大人と会っていた。相手の責任を問えないのか」というご相談をいただくこともあります。

 インターネット上には「18歳未満と会うだけなら問題ない」という説明と、「会った時点で罪になる」という説明の両方が見られます。どちらも特定の場面では当てはまりますが、何によって結論が分かれるのかまでは示されていないことが少なくありません。

 この記事では、性的な行為に至っていない「会った」という場面に絞り、罪に問われるかどうかを分ける事情を整理します。会う前のメッセージのやり取りについてはSNSで知り合った未成年とのやり取り|どの段階から違法になるかで解説しています。なお、この記事は年齢確認をすり抜ける方法や責任を軽く見せる説明を示すものではなく、子どもを守るために設けられた規定の内容をお伝えするものです。

18歳未満と「会うこと」そのものを禁じる法律はない

問われるのは「会い方」と「会った目的」

18歳未満の人と会うこと、たとえば昼間に人目のある場所で食事をしたり話をしたりすることそのものを、一律に処罰する法律はありません。年齢差のある友人関係や、趣味を通じた交流もあり得るためです。

 ただし、「会った」という同じ出来事でも、どのような目的で、どのように誘い、いつ、どこで会い、その後どう行動したかによって、成立し得る罪が変わります。「会っただけ」と感じていても、法律の側から見ると、会うまでの経緯や時間帯が評価の対象になっている場合があります。

年齢の線は「16歳」と「18歳」の二本ある

年齢の線が一本ではないことも、分かりにくさの原因です。刑法の面会要求等の罪は16歳未満の人を対象にしているのに対し、各都道府県の青少年健全育成条例は18歳未満の人を「青少年」として保護しています。場面ごとの主な規定は次のとおりです。

場面問題になり得る主な規定主な年齢の線
わいせつ目的で会うよう求めた・会った刑法の面会要求等の罪16歳未満
深夜に連れ出した・一緒にいた青少年健全育成条例の深夜規制18歳未満(東京都の罰則は16歳未満)
自宅に泊めた・連れ回した刑法の未成年者誘拐罪18歳未満
性的な画像を求めた刑法の映像送信要求の罪・条例の規定16歳未満・18歳未満
性的な行為に至った条例の淫行規制・児童買春・刑法の性犯罪など18歳未満・16歳未満


会うまでの誘い方で問われる|16歳未満の者に対する面会要求等の罪

わいせつの目的で、一定の方法により面会を求める行為

2023年7月の刑法改正で、性的な被害に至る前の段階を処罰する規定が設けられました。わいせつの目的で、16歳未満の人に対し、次のいずれかの方法で会うよう求めることが対象です(刑法182条1項)。

  • 脅したり、うそをついたり、誘惑したりして会うよう求めること。
  • 断られたにもかかわらず、繰り返し会うよう求めること。
  • お金やその他の利益を渡す、または渡すと申し出たり約束したりして会うよう求めること。


 相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為をした人が相手より5年以上前に生まれていることが条件になります。法定刑は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。年齢差の考え方については16歳未満との性的行為|「5歳差要件」と年齢の錯誤で解説しています。

求めた結果として会うと、刑が重くなる

上記の方法で会うよう求め、その結果として、わいせつの目的で実際に会った場合は、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金とされています(同条2項)。

 ここで押さえておきたいのは、この規定は性的な行為があったことを要件としておらず、わいせつの目的で会った時点で成立し得るという点です。「会っただけで罪になる」という説明は、主にこの規定を指しています。

目的はやり取りの内容からも判断される

わいせつの目的がなければ、この規定の対象にはなりません。もっとも、目的があったかどうかは本人の説明だけで決まるものではなく、会う前のメッセージの内容、金銭の申し出の有無、会う場所の選び方などから判断されます。

会った時間帯で問われる|青少年健全育成条例の深夜規制

東京都では午後11時から翌日の午前4時まで

東京都の条例では、保護者の委託や同意がある場合、その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出したり、同伴したり、とどめたりすることが禁じられています(東京都青少年の健全な育成に関する条例15条の4)。相手が16歳未満の場合には、30万円以下の罰金の対象になります。

 この規制は性的な目的の有無を問わず、時間帯と保護者の同意の有無で判断される点が特徴です。「悩みの相談に乗っていたら終電がなくなり、朝まで一緒にいた」という場合でも、問題になることがあります。

都道府県によって時間帯や内容が異なる

深夜の時間帯は全国一律ではなく、午後10時からとする県や、午前5時までとする県もあります。会った場所がどの都道府県かによって、適用される条例が変わる点にも注意が必要です。また、刑法の面会要求等の罪の対象外となる16歳・17歳への面会要求を、条例で規制しようとする動きも一部の自治体で見られます。

会った後の行動で問われる場合

自宅に泊めた・連れ回した|未成年者誘拐罪

18歳未満の人を、保護者の元から離れた状態に置いて自分の支配下に移すと、未成年者誘拐罪に問われる可能性があります(刑法224条、3月以上7年以下の拘禁刑)。SNSで家出の相談を受け、自宅に泊めたという事案が典型です。

 本人が「家に帰りたくない」「泊めてほしい」と望んでいた場合でも、保護者の監護を害したと評価されることがあるため、本人の同意だけで責任がなくなるとは限りません。詳しくは未成年者略取誘拐で「本人が同意していた」は通るのかで解説しています。

性的な画像を求めた・撮影した

会った際や会った後に、性的な画像を送るよう求めたり、撮影したりすると、会ったこととは別に罪が問われることがあります。16歳未満の人に一定の性的な映像を送るよう求める行為は刑法で(刑法182条3項)、18歳未満の人に児童ポルノに当たる画像を不当に求める行為は東京都の条例で(同条例18条の7)処罰の対象とされています。詳しくは自画撮りを求めた|要求だけでも処罰される条例と法律で解説しています。

性的な行為に至った場合

会った後に性的な行為に至った場合は、この記事の「会っただけ」の範囲を超え、金銭の授受がなくても条例の淫行規制(東京都では2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)などの対象になり得ます。この場面については淫行条例違反|「真摯な交際」の主張はどこまで認められるかで解説しています。

「年齢を知らなかった」はどう扱われるか

年齢の認識は罪の成否に関わる

多くの規定では、相手が一定の年齢未満であると認識していたことが必要です。ただし、はっきり知っていた場合だけでなく、「18歳未満かもしれない」と思いながら会った場合にも、認識があったと評価されることがあります。

 認識の有無は、プロフィールの記載だけでなく、会話に出てきた学校や部活動の話題、服装や外見などを総合して判断される傾向にあります。条例の中には、年齢を知らなかったことだけでは処罰を免れず、過失がない場合に限って例外を認める規定を置くものもあります。

自称の年齢を信じたことの評価

相手が「19歳」「大学生」と名乗っていたことは、判断材料の一つにはなります。一方で、それだけで認識がなかったと認められるとは限りません。詳しくは相手が18歳未満だと知らなかった|年齢の確認と認識の評価で解説しています。

心当たりがあるときに考えておきたいこと

相手や保護者に自分から連絡を取らない

不安から相手に事情を確かめたり、保護者に説明しようとしたりする方もいます。しかし、本人や保護者への個別の連絡は、口裏合わせや働きかけと受け取られるおそれがあり、相手側の不安を強めることにもつながります。連絡を控え、まず弁護士に相談することをおすすめします。

やり取りを消さずに残しておく

メッセージを削除しても、相手の端末やサービスの運営側に記録が残っていることが多くあります。削除したこと自体が、証拠を隠そうとしたと受け取られる可能性もあります。いつ、どこで、どのように会ったかを、記憶が新しいうちに書き留めておくと、弁護士に正確な事実を伝える助けになります。

警察から連絡が来たら

警察から連絡が来た場合の受け答えについては「警察から電話が来た」|折り返す前に確認したい3つのことで、相談のタイミングについては【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味で解説しています。

よくあるご質問


昼間にカフェで話しただけでも、警察から連絡が来ることはありますか?

会ったこと自体が処罰の対象にならない場合でも、相手が補導されたり、保護者がスマートフォンのやり取りに気づいたりしたことをきっかけに、事情を聞かれることはあります。その際は、会う前のやり取りの内容や会った時間帯などが確認されます。

相手から「会いたい」と言ってきた場合でも、面会要求等の罪になりますか?

この罪は、会うよう求める側の行為を対象としています。相手から誘われた場合でも、こちらがわいせつの目的で、金銭の申し出などの方法により会うよう求めていれば、対象になり得ます。また、会った時間帯やその後の行動によっては、条例や他の罪が問題になります。

相手が16歳・17歳なら、問題にならないのでしょうか?

面会要求等の罪は16歳未満が対象ですが、条例の深夜規制や淫行規制、未成年者誘拐罪は18歳未満が対象です。16歳・17歳であれば何をしても問題にならない、ということではありません。

まとめ


  1. 18歳未満と会うこと自体を一律に処罰する法律はなく、目的・誘い方・時間帯・会った後の行動で結論が分かれる。
  2. わいせつの目的で、16歳未満の人に一定の方法で会うよう求めることは処罰の対象になる(刑法182条1項)。
  3. 求めた結果、わいせつの目的で会った場合は、性的な行為がなくても重く処罰され得る(同条2項)。
  4. 東京都では、保護者の同意などなく深夜に青少年を連れ出したり一緒にいたりすることが禁じられている(東京都青少年の健全な育成に関する条例15条の4)。
  5. 自宅に泊めるなど保護者の元から離れさせた場合は、本人の同意があっても未成年者誘拐罪が問題になり得る(刑法224条)。
  6. 性的な画像を求める行為は、会ったこととは別に処罰の対象になる(刑法182条3項、同条例18条の7)。
  7. 心当たりがある場合は、相手や保護者に連絡せず、やり取りを残したまま弁護士に相談する。


弁護士法人若井綜合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。SNSで知り合った18歳未満の方と会ったことで警察から連絡を受けた方、これから事情を聞かれるのではないかと不安を抱えている方は、一人で判断せず、早い段階でご相談ください。
ご相談の内容は、弁護士の守秘義務によって守られます。お子さまがSNSで知り合った大人と会っていたことに気づいたご家族からのご相談もお受けしています。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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