【刑事事件】交際相手に性的な写真を送るよう求めたら、罪になる?

若井亮

若井亮

テーマ:刑事事件

交際相手とのやり取りの中で、性的な写真を送ってほしいと頼んだことがある。後になって「あれは罪になるのでは」と不安になり、検索をしている方もいらっしゃると思います。結論からいえば、相手が18歳以上で、脅したり見返りで釣ったりしていなければ、求めたこと自体が直ちに犯罪になる場面は多くありません。一方で、相手が18歳未満であれば交際していても条例や刑法の対象になり得ますし、相手の年齢にかかわらず、求め方や受け取った写真の扱い方によっては別の罪が問題になります。この記事では、分かれ目になる事情を順に整理します。

本記事は2026年10月時点の法令(2023年改正後の刑法、東京都青少年の健全な育成に関する条例など)を前提にしています。条例の内容は都道府県ごとに異なり、個別の事案で罪が成立するかどうかは具体的な事情によって変わります。


まず分かれ目になるのは「相手の年齢」と「求め方」


相手の年齢求めただけの段階写真が送られてきた場合
18歳以上脅し・見返りなどがなければ、通常は罪にあたらない受け取ること自体は通常問題にならない。その後の扱いには注意
16歳・17歳拒まれた後の要求や、困らせる言い方での要求などは条例違反となり得る児童ポルノの製造・所持にあたるおそれ
13歳〜15歳上記に加え、5歳以上年上であれば刑法182条3項の対象となり得る同上
13歳未満年齢差を問わず刑法182条3項の対象となり得る同上


 表はあくまで大まかな目安です。以下、それぞれの場面で何が問われるのかを見ていきます。

相手が18歳以上なら、求めること自体は直ちに罪にはならない

 成人どうしの交際で「写真を送ってほしい」と頼み、相手が自分の判断で応じた場合、頼んだこと自体を処罰する規定は基本的にありません。弁護士ドットコムなどの相談でも、成人の相手に頼んで送ってもらっただけで脅しなどがない事案では、犯罪にはあたらないという回答が一般的です。ただし、次のような事情が加わると評価が変わります。

脅しや弱みを使って送らせた場合

 「送らないと秘密をばらす」「送らないと家に行く」など、相手やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げて写真を送らせた場合には、義務のないことを行わせたとして強要罪(刑法223条、3年以下の拘禁刑)が問題になります。送らせるに至らなかった場合でも、未遂として処罰の対象になり得ます。

 さらに、脅して裸になる姿を撮影させたり、ビデオ通話で見せさせたりする行為については、相手に直接触れていなくても、強制わいせつ罪(現在の不同意わいせつ罪、刑法176条)として処罰の対象とされた例があります。交際中であっても、同意できない状態に追い込んで性的な行為をさせれば罪が成立し得る点は、通常の性犯罪と同じです。言い方によって罪名がどう変わるかは、恐喝・強要・脅迫はどう違うのか|言い方で罪名が変わるで詳しく解説しています。

断られた後も繰り返し求め続けた場合

 一度断られた後もしつこく求め続ける行為は、成人どうしでも問題が生じ得ます。特に別れた後や、相手が交際を終わらせたいと考えている場面で、性的な写真を繰り返し要求すると、ストーカー規制法が定める「性的羞恥心を害する事項を告げること」などのつきまとい等にあたるかどうかが検討されることがあります。刑事上の問題にならない場合でも、精神的苦痛を理由に損害賠償を求められる可能性は残ります。

相手が18歳未満なら、交際していても話が変わる

 相手が18歳未満の場合、「交際していた」「相手も嫌がっていなかった」という事情があっても、罪の成否は別に判断されます。愛知県は条例改正の説明の中で、恋愛関係にある場合や冗談であっても、青少年に自画撮りを求める行為を禁止すると明記しています。

東京都の条例|拒まれた後の要求や、困らせる言い方での要求

 東京都青少年の健全な育成に関する条例18条の7は、18歳未満の青少年に対し、次のような方法でその青少年自身の児童ポルノ等の提供を求めることを禁じており、違反すると30万円以下の罰金の対象となります。

  • 青少年に拒まれたにもかかわらず、提供を求めること。
  • 青少年を威迫し、欺き、または困惑させる方法で提供を求めること。
  • 対償を供与し、またはその約束をする方法で提供を求めること。


 交際相手との関係で注意したいのが「困惑させる」という類型です。千葉県は同種の条例の説明で、「送ってくれないと別れる」「好きなら送れると思うけど」といった言い方を困惑させる要求の例として挙げています。恋人どうしの何気ない言葉のつもりでも、条例の上では処罰の対象となる求め方に含まれ得るということです。要求の段階で処罰される条例と法律の全体像は、自画撮りを求めた|要求だけでも処罰される条例と法律で整理しています。

刑法182条3項|16歳未満の相手への要求

 2023年の刑法改正で新設された刑法182条3項は、16歳未満の者に対し、性交等をする姿や性的な部位を露出した姿などをとって、その映像を送信するよう要求する行為を処罰します。法定刑は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。条例と異なり、拒まれた後かどうかや、威迫などの方法をとったかどうかは要件になっておらず、要求した時点で成立し得ます。

 相手が13歳以上16歳未満の場合は、要求した側が相手より5歳以上年上であるときに限って対象となります。13歳未満の相手であれば、年齢差は問われません。いわゆる5歳差要件については、16歳未満との性的行為|「5歳差要件」と年齢の錯誤もあわせてご覧ください。

写真ではなくビデオ通話で見せてもらう場合

 写真を送ってもらうのではなく、ビデオ通話で性的な姿を見せてほしいと求める場合も、考え方は大きくは変わりません。刑法182条3項は「映像を送信すること」の要求を対象としており、保存を伴わないリアルタイムの映像でも対象になり得ます。条例は「児童ポルノ等の提供」を求める行為を対象としているため、通話の映像がこれにあたるかは個別に検討が必要ですが、通話の画面を録画・保存すれば、児童ポルノの製造や所持が問題になるおそれがあります。「画像として残していないから大丈夫」とは言い切れない点に注意が必要です。

実際に送られてきた場合|児童ポルノの製造・所持

 求めに応じて18歳未満の相手が自分の裸などを撮影して送ってきた場合、求めた側が児童ポルノの製造(児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)に問われることがあります。撮影したのは相手本人でも、求めて撮影・送信させた側が製造したものと評価されるのが実務の扱いです。送られてきた画像を保存し続けていれば、所持(同法7条1項)の問題も生じます。受け取った側の責任については、未成年から送られてきた画像を保存した|受け取った側の責任で解説しています。

年齢を知らなかった、同年代どうしだったという事情

 相手の年齢を知らなかったという主張は、確認の状況や外見、やり取りの内容などから判断されます。条例には、年齢を知らなかったことを理由に処罰を免れることはできない(ただし過失がない場合を除く)とする規定が置かれていることが多く、単に「聞いていなかった」というだけでは通りにくいのが実情です。詳しくは相手が18歳未満だと知らなかった|年齢の確認と認識の評価をご覧ください。

 なお、求めた側も18歳未満の同年代どうしの交際である場合は、条例上の罰則の適用や、少年事件として家庭裁判所で扱われるかどうかなど、成人の場合とは手続の進み方が異なります。

受け取った写真の扱いで、別の罪が問題になることも

 相手が成人で、求めたこと自体に問題がなかった場合でも、受け取った写真のその後の扱いによっては罪が成立し得ます。交際中の関係がこじれた後に問題になりやすいのは、次のような場面です。

  • 友人に見せる・送る、SNSなどに載せるといった行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)の公表罪・提供罪などにあたるおそれがあります。
  • 別れ際に「写真をばらまく」と告げた場合は、脅迫罪や強要罪、金銭を求めれば恐喝罪が問題になります。
  • 不特定の人が見られる場所にわいせつな画像を載せれば、わいせつ電磁的記録の公然陳列などにあたるおそれがあります。


 それぞれの詳しい内容は、画像をばらまくと言ってしまった|脅迫・強要と私事性的画像の規制、【刑事事件】性的な画像を友人に見せた|性的姿態の提供として問われる場面、同意を得て撮影した画像を持ち続けている|削除する義務はあるのかで解説しています。

不安を感じたときに整理しておきたいこと

 「求めてしまった」と気づいた段階で、慌てて相手に連絡を取ったり、やり取りを一方的に消したりすると、かえって状況を複雑にすることがあります。次の順で整理しておくと、相談の際にも経緯を伝えやすくなります。

  1. 相手の年齢と、やり取りをしていた当時に年齢をどう認識していたかを整理する。
  2. どのような言葉で求めたのか、相手が断った経緯があったかを、やり取りの記録に沿って確認する。
  3. 写真が送られてきたかどうか、受け取った写真をどこに保存しているか、誰かに見せたり送ったりしていないかを確認する。
  4. 相手やその家族に口止めをしたり、謝罪を迫ったりする連絡は控える。
  5. 画像やメッセージの扱いは自己判断で決めず、弁護士に相談したうえで方針を決める。


 特に相手が18歳未満の場合、画像を持ち続けることには所持の問題がある一方で、消し方や時期によっては、後の手続で事情を説明する際に影響が出ることもあります。この点は撮影データを消してしまった|証拠隠滅と復元の実際も参考になります。すでに警察から連絡が来ている場合は、【刑事事件】警察から電話が来た段階で弁護士に相談する意味もあわせてご覧ください。

 交際相手に性的な写真を求めた行為が罪になるかどうかは、相手の年齢、求めた言葉、写真を受け取った後の扱いという複数の事情の組み合わせで決まります。同じように見えるやり取りでも結論が分かれることがあるため、不安を感じた段階で一度事実関係を整理しておくことが、その後の対応を考えるうえでの出発点になります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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